『pinch or chance?』
☆6
席を立つと、回れ右!
このままダッシュすれば、この体力差だ逃げ切れるだろう。
まさに走ろうとした、そのとき!
「…どこに行くのかな?」
構うものか!
「青木和弥(かずや)くん。」
!!なぜその名を!
振り返ると手に生徒手帳を持っている。
まさか…。
制服のポケットを探ったが、やはり無い。
いつの間に!
困る!あそこには稚葉ちゃんのプリクラが貼ってあるのだ。
山田がどこからか貰ってきたものを一枚500円で買ったものだ。
「稚葉と同じクラスだね。あれ?これは?」
「か、返して下さい!」
まさに手を掛けようとしたその時
「おじいちゃん!?」
!この声は!
「さっきから何騒いでるのよ。」
まさか…。
「あれ?…青木くん?」
!
ぎこちなく、振り返ると彼女が立っていた。
私服姿で、背中まで伸びた髪を一つにまとめて結い上げている。
いつもと少し違う感じがまたイイ!
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