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『君と繋いだ手』
*2



「……」

教室内への出入り口に立ってボンヤリと一点を見つめる俺は、これからどうすればいいのか考えていた。

ガラス戸の出入り口からハッキリと確認の出来る丁寧にかけられた内鍵は、
どうやら俺が寝ている間に締め出された事を示しているらしい。


「はぁ…」

小さく溜め息を吐くと、仕方ないので座り込んだ。


…氷吾、気付いてくれるかな。

勇気や弘史ならともかく、正直氷吾にはあんまり期待出来そうにない。
最悪、誰にも気付かれなかったとしても、戸締まり確認に警備員がくるだろうと、のんびりと考えていた。

今思えば、
そこから声を出せさえすれば、誰かしら気付いてくれるだろうに。

やっぱり俺も子供だったようだ。




既に丸めきっていたしわくちゃな紙を丁寧に伸ばすと、暇つぶしに紙ひこうきを作り出した。


伸ばしても伸ばしてもしわくちゃな紙ひこうきは、どう考えても綺麗になんか飛びそうにない。

出来上がった紙ひこうきを片手に持って、またボンヤリと青い空を眺めていると、


「…ムカつくんだよっ」

男子の声と、女子のすすり泣く声が聞こえてきた。

「泣いてたって誰も来ねぇよ。」
「ばーか、ばーか。」

特に手をあげられているわけではないようだが、泣いているのは、

…佑夏?


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