『朱色の花が咲く時』 PM2:30 信号待ちをしている時、充電器を買っていたことを思い出した。 袋から取り出し差し込むと、待ってましたとばかりに携帯が起動する。 夏休みに入ったばかりだ。意外に道が混んでいてあと10分ぐらいはかかりそうだ。 リダイヤルを押すと 驚くヤツが出た。 「はいはーい。何?」 ……? 「…なんで蒼生が出るんだ…?」 「何でって言われても? …俺の携帯だし。」 …嘘だ。 嘘だと言ってくれ!! そのまま切るとすぐにかけ直した。 つまり、朱音には何も伝わっていないということだ。 静かに、 しかし確実に怒りの炎を燃やしている朱音の顔が浮かんだ。 Pu、Pu、Pu、Pu、プッ… ツーー、ツー、ツー、 …着、拒…? 絶望していると後ろからクラクションを鳴らされた。 そうだ…。 運転中だったっけ…。 電話を置くと力無くアクセルを踏んだ…。 その時、間違って電源を切っていたことにも気付かずに…。 *back next# [戻る] |