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『朱色の花が咲く時』
3-4



「蒼生(あおい)が一緒に選んでくれたんですよ。」


喜んでくれて嬉しいです
と照れながら山本さんが言った。


「お兄ちゃんが?」


「はい!何か贈りたいって相談したらそれにしろって。
花とかだったらかさばるから、服にして着て貰えって言われまして。」


…なるほどな。
友達だったのか。

なんとなく見覚えがあったのはだからか。
納得した。



…道理で、新品の服を持っている訳だ。
賭けはグルだったのか。


また騙されたのかと思うと少しショックだったが、
まぁいいだろう。

何だか嬉しいし。


「はい。ありがとうございます。
可愛いので気に入りました。」


…この人、服のプレゼントは脱がせたいって意味がある事とか、知らないんだろうな。

あれ?普通知らないもの?
…まぁ、兄が知ってるのは確実だな。


本当におじいちゃんの血を濃く受け継いでるよ。
私とは違う意味でね。


無垢な笑顔を向けられて、こちらも笑顔で返すと途端に真っ赤になってしまった。


…可愛いなぁ。
どっちが男だか。


「それじゃ、朱音さん。行きませんか?」


「あ、はい。」




でも行く前に…


「これ以上付いて来たら、…ね?」


笑顔を兄達に向けると逃げる様に去って行った。


それでも、帰ったら何かしら懲らしめようと密かに決めていた。


たぶん気付いているだろう。

貢ぎ物が楽しみだ。


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あきゅろす。
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