『揚羽蝶』 終/六 後で知ったが、幸助は俺の子供だった。 アメリカで妊娠に気付き、出産。 その後、父代わりで育ててくれていた先生が病に倒れ、女手一つで育てたらしい。 「もっと早く会いにきてくれれば良かったのに。」 自分は揚羽を探し出す事が出来なかった。 しかし、揚羽は会おうと思えば会えた筈。 「怖かったの…」 彼女が言った。 「やっと日本に戻れたのは、十年以上経ってからだった。 あの頃と変わってしまった、私を見せるのが怖かったの…。」 目に涙をいっぱい溜めて、俺を見る瞳はあの頃のまま。 「ずっと、愛しているよ。」 そう言うと、きつく抱き合った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |