『揚羽蝶』
終/三
「別にいいよ?おめでとう。」
軽い俺の言葉に、花は苦笑いだ。
「それで、婿に入ってもらいたいんだけど、いい?」
「えぇ?なんで?」
折角の新婚なんだから、二人で仲良く暮らせばいいのに。
花の宣言に聞き返すと、
「だって、私が居なくなってお父さんがボケたらどうするのよ。」
…俺はまだ四十五だが?
「今軽く、父の事を馬鹿にしただろう。」
「…そんなこと無いよ?」
わざとらしい。なんて奴だ。
「それよりも、お父さん、驚かないでね?」
?
「…相手なんだけど…“こうすけ”っていうの。」
!こうすけ!?
「…よりによって、なぜ“こうすけ”?」
「たまたま?」
たまたまかよ。
「たまたま好きになった人が、お父さんと同じ名前だったの」
花は、やっぱり花の様に笑うと、
「今度紹介するね。」
と言った。
…“こうすけ”か。
どんな奴なのか楽しみだ。
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