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『揚羽蝶』
終/二

季節は巡り、
“僕”は、いつの間にか“俺”になっていた。

長過ぎる髪は、何度か切らなくてはならない時があったが、俺はめげずに髪を伸ばし続けた。


四半世紀を生きた頃。

俺は、子供を一人引き取った。


『花』
という。
五つになる少女。


文字通り、花の様に笑う娘で、君のいない生活にも何とか耐えられそうだ。


もし、あのまま君と一緒にいる事が出来たら、

俺達の間にも子供がいたかな?




「お義父さん。」

それから二十年。
娘が言った。

「結婚したい人がいるの。」
「えぇ〜。ショックぅ〜。」

全然ショックに見えない俺に娘が笑った。

「…絶対、言うと思った!」
反面教師というのだろうか。
俺は花を必要以上に甘やかさなかった。
褒める時はしっかり褒めて、叱る時はしっかり叱る。

『自分の事は自分でする』
『働かざる者食うべからず』
を家訓にして、花はスクスクと育ち、立派な大人になっていた。



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