『揚羽蝶』
終/七
縁側に横になっていると、隣りに座った彼女に目をやった。
「…」
「はい。お茶。」
「ん…。」
さらに二十五年の月日が流れ、彼女は今、俺の隣りにいる。
「…おじいちゃん!
図書館は?誰もいないよぉ?」
孫の声に起き上がると、茶を啜ってから立ち上がった。
「おう。今行く。」
着物姿に下駄をつっ掛けると、蝶がモチーフのゴムで束ねた長い髪が風で揺れた。
願いが叶って、一度切ってしまった髪に、
今度は出来るだけ長く一緒にいられる様に“願”を掛けて…。
今度こそ、死が二人を分かつまで。
。・。end。・。
2008/6/22 *緒神*
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