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『揚羽蝶』
六\三

だけど、
首を横に振った。

「!どうして!?僕の事嫌い?」

好き…。

泣きそうな顔の貴方。

だけど、首を振るしか出来ない。

「それじゃ…。
一緒にいてよ…。」

駄目。
私と一緒にいたら、きっと貴方が不幸になる。


「あげっ!!」

私を呼ぼうとした時、発作が起きた。

「…!」
胸を押さえて苦しそうに蹲る貴方を見て、堪らず助けを呼びに走った。



縁側によじ登り、勢いよく襖を開けると廊下を駆け抜けた。

誰か!

誰か!助けて!!


離れから飛び出そうと扉に手をかけると、外側から扉が開いた。

「…っ助けて!」


そこにいたのは、男の人だった。

「君は?」

誰でも構わない。とにかく、
「康介さんを助けて…」


名前を聞くと、男の人は一目散に彼の元へ向かった。


その人の対応は適切だった。
持っていた鞄から薬を取り出すと、それを飲み込ませ部屋まで運んでくれた。


意識のないまま布団に横たわる姿を見て、泣きたくなった。


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