リアルダウト〜本編〜
その四っ!!!!やさしい人を見つけたよ3
もぉ〜・・・。なっちーの意地悪・・・。
「おい?どした?裕樹・・・」
うつむいた俺のほっぺを掴んでムリクリ上に向ける渚さん・・・。
ちょ、この体制きつい!きついって
「ぐえっ!ちょぉ・・・身長差半端ないんだから・・・それは辛いっ!」
「おぉっ!ワリっ!オメェがチビィから」
「ひどいっ!」
俺は抗議の声を上げ渚さんを睨む。
迫力違いも甚だしいって?!うるさいよ!
「ま、とりあえず中入れや。」
「は!はい!」
「はいって言うなっつってンだろ?」
「ぅぁ!!う、うん!」
「よし!何もねェが、ま、入んな」
俺はたじたじながらも返事をし、渚さんの後につき部屋の中にはいる。
あれ・・・案外きれい・・・。
外見はめっちゃ不良なのにこういう所ではきっちりしてるんだなぁ。あ、でも外見と性格は関係ないか。
その部屋は、まずテーブル一つ 椅子二つ 壁に沿っているL字型のソファ一つ 白いベッド一つ 本棚が壁に沿って二つ そして部屋の角にははしごあり。
んー。シンプルな部屋だなぁ。
兄ちゃんの部屋の感じにちょっと似てるかも。
これで生活してんのかな?ご飯とかどうしてるんだろう。
って、そんなこんな考えてる間に、渚さんはドカッ!とソファのはじっこにすわり、隣の席をポンポンっと叩いた。
え?座れってことかな?
それともなんかもってこいってことかな?
や、それはないか。
俺は、少し考えて、渚さんの隣に腰掛けた。
すると、俺の後ろに手を回し、後ろから頭をナデナデする。
何で皆俺の頭を撫でんだろ・・・。
渚さんに至っては一歳差なのに・・・。
「渚さ・・・、いたたたたっ!!!」
何で撫でるのかを問おうと思ったら、なぜか俺の頭を思いっきり掴んだ。
なに?!すっごい痛かったよ!!!!
「てめぇ・・・。渚「さん」ってやめろよ!!たかが一歳差だろぉが!!」
睨みながらそう怒鳴る。
あれ・・・?さっきより全然怖くない気がする
なんでだろ。ちっとも怖くない。
むしろ、もっと優しい感じ。
「ぁんだ?んなに見て。」
・・・・葵にぃは不良って言ってたけど、すっごいやさしい人だとおれは思うな・・・。
だって、こうやって怒鳴ってるのだって、俺に気をつかわせないために、じゃないかな。おれはそう思う。
きっと無意識だろうけど。
だって、目がすっごくやさしいもん。
確かに目つきは悪いけど、睨まれてるけど、その奥はすっごくあったかい。
そう思ったおれは、渚さん・・・ううん。渚の目をしっかり見る。そして
にっこり
と、笑いかける。
「 渚!
って、呼んでも、いいかな・・・?」
渚、は驚いたように目を見張り、少し間を空けてから、
いたずら小僧のように
にかっ!
と笑って、俺の頭をぐしゃぐしゃに混ぜた。
「ぅわぁ・・・頭がっ!」
さっきの掴まれてんのより痛いぃぃぃいいぃ!!!
「あぁっ!いいぜ!好きに呼べ!!」
俺が今まで見たこともないようなやさしい笑顔でそう言って、俺の頭をなで続ける、渚。
笑うと、目つきの悪い印象なんて微塵もない。
やさしい、やさしい。
「渚は、やさしいね。」
俺が思ったことを口にすると、渚は苦笑して、今度はやさしく俺の頭をなでる。
「そんな事言われたンは初めてだぜ。
ありがとうな。」
そう言って俺の頭から手を離し、ソファから立ち上がる。
その目が少し、悲しく見えたのは、気のせいかな?
「渚、そういえばさ」
「んぉ?なんだ?」
あ・・・もう戻ってる。
俺は、それを確認してから、ずっと気になってたことを口にした。
「さっきの耳、なぁに?」
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