とある兄弟の日常 4. 「……何?」 「何ってご飯。って!何その顔ぶっさいく!」 とりあえずテーブルにおかゆを置いて もぞりと動く、蓑虫みたいなお兄ちゃんの 顔を覗き込みに行ったら思わず吃驚しちゃった。 泣きはらした目はボンボンに腫れていて、 鼻水はだらだら垂らして顔が真っ赤っかだった。 いつものイケメンって女子にちやほやされる顔が台無しだ! 「ぶさいくで悪かったな」 「あ、ごめんごめん。 そんなに具合悪いの?」 「…………なあ、俺のこと嫌いになった? 俺、お前に嫌われてこんなに凹むだなんて……我ながら情けない。ごめんな」 ――ッ、 僕の腕を掴んでじっと見つめてきた。 捨てられた子犬みたいなショボンとしたその目に 僕は身動きがとれなかった。 僕は何てバカなことをしたんだろう。 皆にどう言われたって僕は気にしない。 同級生に色々言われるよりも お兄ちゃんの懇願するような今の声の方がツライ。 シュンヤお兄ちゃんを悲しませる方がツライ。 「嫌いじゃないよ好きだよ。この一週間、ごめんね。 また一緒にご飯食べよう。はやく良くなってね」 この大きな蓑虫をぎゅっと抱きしめてお願いをした。 僕だって、この一週間ツラかったんだ。 普通じゃなくていいから、お兄ちゃんを好きでいさせてください。 [*前へ] |