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復活
指先で合図


「もうすぐ春か…」

桜の花の蕾を見ながら雲雀は呟いた

彼ももうじき卒業になってしまう
あと2年、1年と桜を見ながら考えていた自分が懐かしく思える

卒業式、一番に会いに来てくれた
いつでも好きな学年と言っていたのに
そう言いながら笑顔でおめでとうと言ってくれた

沢田の為にとは絶対に言わない
自分が強くなる為にマフィアになることを選んだ
並盛は草壁に任せ、1人イタリアに飛んでいった

彼は止めなかった
ただ、待っててと一言だけだった

その言葉を律儀に待ってなんてやるものか
そう思っていた
彼のことだから止めてくれると、泣いてくれると
勝手に思っていたから

少しだけ淋しさが残る似合わない笑顔を向けないで

いつものように笑って


「雲雀、」


たった2年
だけど、その穴を埋めるのは誰でもなく


「山本」


彼との距離が疎ましく、地面を蹴った
久しぶりの暖かさ
伸びた身長に、変わらないその声


「雲雀が待っててくれなかったらどうしようかと思った」


はにかんだその笑顔は僕が心から望んだもの


「良かったね、僕の気が長くて」


つられて笑った僕の顔は2年前に閉じ込めた本当の笑顔









おかえり

桜は別れの花
だけど、これからは再開の合図





END



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