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二人の日.2
※二人の日、続き
呂佳17才、利央14才設定
二人の日.2
利央は目をキラキラさせた。
コンビニ行くだけなのになんでそんなに喜ぶんだ、と呂佳は思ったが、聞く元気もなかったので利央の後について玄関へ向かう。
靴を履いている間も利央がふにゃふにゃ笑っているので呂佳は、きもい、と一発頭を叩いてから家を出た。
それを受けた利央は、怒るどころかますます笑顔になる。
まさか、叩きすぎたせいでとうとうおかしくなったのか。
「利央。その気持ちわりぃ顔やめろ」
「ひどい!だってさぁ」
ぷくっと膨れた利央の頬を思わずつつきそうになった呂佳の指先を、利央の言葉が停止させた。
「兄ちゃんとコンビニ行くなんて、久しぶりだよねぇ」
更に、
最近兄ちゃんかまってくれないんだもん、嬉しくなったっていいじゃんか。と続けた。
その言葉を聞いた呂佳は、弟にうざがるような視線を送る。
しかし実際は、そんな弟を可愛いなぁと思いながら、にやけそうな顔になるのを抑えるので必死だった。
しばらくして、やっと一言ひねり出す。
「ばっかじゃねぇの」
その言葉を聞いた利央がまた頬を膨らませるので、今度こそ、呂佳の指がそれに触れた。
「……おい」
「兄ちゃん、ケーキとシュークリームどっちがいいと思うー?プリンも美味しそー」
「おいって言ってんだろ、聞け」
「あ、3つ買えばいいじゃん!兄ちゃん、お金足りる?」
「ばか利央」
呂佳は利央の頭を軽く叩いた。
「俺たちはな、夕飯を買いに来たんだぞ。甘いもんでメシ済ますつもりかお前は」
コンビニに入ったとたん、利央はデザートのコーナーに真っ先に走り、それまで穏やかだった呂佳の顔が歪められるのに時間はかからなかった。
「つーかお前なんか、あれで十分だろ」
そう言って、呂佳はドッグフードを指差した。
「じゃあ兄ちゃんはプロテイン食べなよっ、オレはシュークリーム食べるもん」
「てめぇ……」
言いかけて、呂佳は店員の視線が二人に向いていることに気付く。
まぁ、こんだけ騒いでりゃ迷惑になるよな。
「わかった。優しい兄ちゃんが可愛い弟のためにシュークリームの1つや2つ買ってやる。だから主食も決めろ」
利央はぱっと顔を明るくさせた。
「ほんと?兄ちゃん大好き!」
――大好き――
どくっ、と呂佳は自分の血の流れる音が聞こえた気がした。
不意を突かれて顔を赤らめる。
大好き、ね。
コイツバカだから、どーせ誰にでも言ってんだろ。
そう考えた呂佳は、一瞬でも浮かれてしまった自分に苦笑いした。
「はいはい」
自分があしらわれたのがわかったようで、グラタンとサンドイッチを兄の腕に放り投げた利央は少し拗ねて、一足早く店から外へ出た。
呂佳はそんな弟の様子を横目で見てレジへ向かう。
……ガキくせぇ。
俺もガキだけど。
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