Novel 悪癖 俺はすぐ人を好きになる。悪癖だと思う そのくせ好かれると上手く返せない。悪癖だと思う。 しかし治らないし直せない。貧乏揺すりは止められても鼓動は止められないのと一緒だ。 あの子は俺を嘘つきだと言った。 私だけを見てくれるんじゃなかったのか、と。 あの子は俺を最悪だと言った。 あの子はなんと言うのだろう。 あの子は… 俺ははっきり言ってモテた。 なにせラブポーションだ。媚薬だ。誰でも落とせる自信がある。 自分から告白してふられたことはない。 勿論見境無く女を喰うような下種ではない。 関わったからって好きになる訳じゃない。女友達もいる。 キューピッドハートなんかは常につるんでる一人だし(キューピッドハートは可愛いからキューピッドハートと一緒にいて嫉妬されたこともある)ダイキュリー姐さんとも良い師弟関係だと思っている。女友達から恋の相談を受けることも少なくなく、コットンキャンデーちゃんもすごく可愛いが妹みたいだと思う。 実際、数人と付き合ったが、はっきり言って、そんなに、好きじゃ、なかった。 楽しかったし、充実してた。 でも、なんか違う…っていう。 恋してたけど愛せてなかった。 「ラブポ〜まぢ暇いんだけど〜ラブポまぢ顔険しいしwwwまたバニラの事考えムグッ!!」 無言でキューピッドハートの口を手で塞ぐ。 「…バニラって、人の事ばっかり考えてそうで何も考えてないよな。」 「〜っ!ふは…!てかラブポ告れば??バニラから来ることはないとおもうなぁ…」 告白。君が好き。 そんな事言って馬鹿にされたら。 怖い。 「考え込んでも始まるものじゃないよ、恋って。」 肩に置かれた爪を綺麗に整えたキューピッドハートの手がやたらと頼もしい。 「…てか、それって何時も俺が言ってる事じゃね??」 女友達にアドバイスするときによく言ってる事。 「そだよ〜だから有言実行!君は口だけ君の童貞野郎なのかなぁ〜?」 俺の肩に置かれたキューピッドハートの手が退けられて手をひらひらさせながらキューピッドハートは出ていった。 嫌みなやつだ。 考え込んでも始まるものじゃないのは知ってる。 それでも恋は考え込んで考え込んで考え込むもので。 好き。好き。 君が好き。 バニラが好き。 俺、バニラが好き。 ねぇ、君ってなんて返してくるんだろ。 恋なんて建前だけの感情論だとでもいうのだろうか。 それでも俺は君が好き。 愛したいのは君で。 そろそろ限界。 「好き。」 (君の前だと話せないこれも俺の悪癖。) [*前へ] |