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【金色の時間】
朔の夜に… 1

「あっ…あん」

甘い吐息が心地よい
金色の髪を振り乱し奉仕する身体を下から支えてやりながら
地獄の統治者は目を細め、その艶やかな痴態を楽しむ…

「デーモン…もっと身体を起こしごらん」

熱にうなされながらも、戸惑ったように見下ろすその目に笑いかけると
腰をぐっと押さえつけ、思いのままに突き上げはじめた

「あっ…嫌ぁっやん」
「いい声だ…もっと聞かせておくれ」

もう立って居られないと、泣き濡れる顔をウットリと眺めると
ダミアンは身体を起こすし、繋がったまま体位を変える
震える身体を抱き締め、キスを落とすとゆっくりとクッションの上に寝かせてやると
両膝を裏から抱えあげ更に奥を突き上げる

「あ…あっあっ」
「我慢しなくていい…もっと乱れていいよ」
「はぁ…はい殿下…」

一晩中甘い肉体と声を楽しんだ皇太子は御満悦だ
エキセントリックな香りの煙草をキセルでふかしながら、
手早く身仕度を整えはじめるデーモンの背中を眺める
返答は同じと分かっていながらも、何時もと同じように甘えた猫なで声でささやく

「もう帰ってしまうのかい?」
「臣下として、朝までご一緒するワケには参りませんよ…」
「つれないことを」

それは月の出ない【朔】に決まった主従の秘め事
「無理強いはしない…」それがこの関係のルール

名残り惜しげにもう一度キスをすると、耳元に囁く

「次の【朔】にまたココにおいで」
「御意………」

臣下の礼を取り寝室を退出するデーモンを見送り
パタンと小さく扉が閉まり、その足音が遠ざかるのを確認してから
何時もは気にもかけない警備用のカメラに向かいニヤリと笑いかける
モニター越しに見ていたであろう男に対する
ちょっとした威嚇?嫌がらせの様なものだ

〜アレを先に見つけたのは私だ、お前だけのモノでは無い〜

挑発的なその笑みをモニター越しに見ながら
薄暗いモニター室で強い酒をあおる男は、唇を噛み締める

上等じゃないか…悪趣味な奴だ…まったく

【特別な関係】を周囲に知られる事を嫌う寵臣の為に
朔の晩は侍従も警備兵もプライベートエリアから下げられる

特別扱いが、かえって…目立っている様な気もするが…

などと思いながらも…誰も居ない魔王宮の廊下を急ぐ
今夜は思ったより長居してしまった…
殿下が何時になく執拗だったせいもあるが…
誰かと鉢合わせる事だけは避けたい…その前にここを離れないと

「おい…今日は随分と遅かったな」

ユラリと現れる影に一瞬身体を堅くしながらも
よく知る姿に安堵と溜め息が零れる

「驚かすな…待っているならモニター室で良いだろう」

警備兵まで下げてしまう為…結界は生きているが丸裸になってしまう魔王宮
暗殺陰謀の絶好の好機に見えて、実は【最悪の日】だ

【朔の夜】は…何故だか情報局長官が一名で魔王宮の警備を担っている
コレは表向きにも公表されている…故に下手に近づけは…
王宮関係者で有ろうが無かろうが、容赦なく問答無用で焼却処分だ

故に【朔】の魔王宮に近づく愚か者は誰も居ない………
中で行われている事も、漏れる事も一切無い

「一晩中あんなのを見せつけられて、待ってられるか…」

防犯用のモニターに映るその様子は、余さず見られていたのだろう
男の目は赤く染まり、ツンと強い酒の匂いがする

有無を言わさずきつく抱きしめられ、デーモンは困った顔で見上げる

「今更ヤキモチをやく事でも無かろうに」
「アイツ…俺に挑発してきたぞ」

いくら旧知の仲とは言え…一介の悪魔が、地獄の皇太子をアイツ呼ばわり…
ヤレヤレ…コノ件に関しては両名とも大人気のない事だ

「間もなく警備兵も戻ってくる…場所を移そう」

もっともな説得に納得したワケではないのだろうが…
とりあえずは、解放してくれた男に優しく笑いかけると
身分と顔隠し用のローブのフードをもう一度深めに被り直すと、改めて手を伸ばす

「では…行こうか…」
「………」

差し伸べられた手を無言で取ると、二名の姿は転移魔法でかき消える
ほぼ同時に配置に戻ってゆく警備兵達、魔王宮は何時もと同じ朝を迎える

※※※※※※※※※※※※

朔の夜、あるいは翌朝早くに来るこの二名の金払いの良さは折り紙付きだ
他にも宛があるのか?毎回来ると言うワケではないが、
朔の夜は何時も一番上等な部屋を空けて待っている
ダウンタウンのこの宿の上等の部屋と言ってもたかが知れてはいるのだが…

蝙蝠の様なあの紋は、下級悪魔・魔物ばかりの色街であっても有名すぎる高官だが…
お連れの方は一体?強力な魔法に守られた身分隠し用のローブを被られている為
女か男かすらわからない…だがおそらくは身分の高い方だろう?
そんな2名が何故こんな場末の宿を使うのかは解らないが
余計な好奇心や詮索は己の為にならない…
それを熟知する店主は何も言わずに2名を通す

金払いが良い限り、大切なお客様には間違いない………

部屋に通されると、エースはいきなりデーモンを抱きしめると、その唇を貪る様に口づける
そのまま衣装に手をかけられ、小さくみじろぎする

「待ってくれ…せめてシャワーを…」
「そんなのどうでもいい…」

ローブを剥ぎ取り、軍服調の衣装のチャックを一気に下ろされると
もつれ込む様にベッドに押し倒される
最初は何とか起き上がり逃げだそうとするが…
全身の体重をかけられてはビクともしない
諦めた様に全身の力を抜くと、エースの好きにさせる事にした

「ダミアンの匂いがする」

そう言って首筋にしゃぶりついてくるエースは酷く苛立っている
性急に下半身を弄る手も心なしか何時もより乱暴だ
それでも…弱点を知り尽くされた身体である
一晩中鳴かされた後だと言うのに…簡単に勃ち上がってしまう………

「はん…あっ…あん待って…」

吐息が濡れ始めても、エースは手を緩めたりはしない

もっとよがり狂えばいい…昨晩の事など忘れさせてやる
頭の中を俺の事で一杯してやる…書き変えてやる…

息もつかさず一度目の絶頂を迎えると
そのまま乱暴にうつ伏せにされ…下着ごとスラックスを下ろされる

「まっ待って…」

帰る時に困る…そんな抗議は、全く聴いてもらえない
獣の様な体勢で腰を高く上げさせられると
自分自身の劣情にまみれた指で、未だ腫れの引かないソコをいきなりなぶられた

小さな悲鳴もお構いなしに、内側から確実にいい部分を狙って責めあげる…
一度は萎えた前もまた同様に

ああ…溶ける…溶けるはじめる…

ただ嬌声を上げる事しか出来なくなった頃合いを見計らったかの様に
熱い塊があてがわれるのがわかる…何時もより大きい?

デーモンは息を呑むと目を瞑りシーツを握りしめた

「ひっあっあーっ」

ただ叫ぶ事しか出来ない…
昨晩の名残、処置しきれなかった中のモノが潤滑油の代わりになり、
急激な挿入の助けにはなっているモノの…
先程とは大きさが違うため、ギチギチと中を擦りあげる

「苦しい…待って…待って…エース」

か細い声が切なげに上がるが、
今は責めあげる手を緩めてやる気にはなれない…

「今はそんな声をあげても無駄だよデーモン」

ガクガクと震え、落ち様とする腰を引き摺り上げると、
さらに角度を変えながら中を突き上げ抉る

「ナカが俺のカタチになるまで許さない…」

独占欲と言う狂気は始まったばかりだ…



続く

我ながら…酷いなコリャ…特にダミ様ゴメンナサイ

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