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【見習い拷問官と教官】
『廃城の砂猫』 1 プロローグ R-18 D×J⇔獣J×D有り注意

甘い声を上げながら、しどけなくシーツの上に身体を投げ出し
吾輩のソレを、ぺちゃぺちゃと丁寧に舐め上げる猫の頭を優しく撫でてやる
教え込んだのがエースだからか、やり方は少しだけ彼に似ている

だが…しゃぶりつき、奉仕するその仕草・姿に関して言えば、
ジェイルの方が格段に色気があるな…先の快楽を期待してくねる身体も
美味そうに舐め上げる、その表情と痴態だけでもゾクリと来る
猫の魔性と言うのだろうか?他種族の男と女とも違う、一種独特なモノだ
本魔にこの事を言えば、きっと気を悪くしそうだが

漠然とそんな事を考えながら、いつの間にか、吾輩をの背を追い越した体躯をもう一度眺める
初めて出会った頃は、やせっぽちで、病弱な少年だったのに…
キスの仕方も満足に知らない、純朴な子供だったのに…
気がつけば色情魔神と双璧を成す程の、ド鬼畜のエロ猫に育ってしまった

その環境が良かったのか、悪かったのか…

外では「最悪の拷問官」と恐れられるままに、悪ぶっては居る様だが、
プライベートの吾輩の前では、子供の時と同じ様に素直なのだ、時には少し面食らう程に
甘え上手な様で、変な所では不器用でもあるからな、この男は

ジェイルが私邸を訪れるのは、何時もアポ無しで突然なのだが、空振りは無い、
吾輩が不在の時に絶対にやってこない所を見れば…
何処かでスケジュールをチェックしているのだろう
例えば?情報局のエースの端末にでも、無断アクセスでもしているのか?

忙しいと言う点では、吾輩も情報局長官と、さほど変わらないのだが
馴染みの甘さもあるのだろう、ジェイルの来訪を拒んだ事はない
それにジェイルが、一名でふらりとココにやってくる時は、
何かしらの「事情」を抱えてくいる時の方が多い

最も彼は「核心」は語らないし、吾輩も無理には聞き出したりしない
ただ無防備に抱きつき甘えてくる猫を、受け入れて身体の熱を分かち合うだけ

「今日はやけにご執心だな…さて…どっちが良い?」
「……ん………閣下の好きな方でいい……」

チロチロと舐め上げる舌が、内股も擽るが…前に執着するばかりで
後ろに触れて来ない所を見れば…挿れて欲しいのだろう?
素直にそう言わないのは、彼なりの恥じらいか?
変な所で恥ずかしがり屋な所も有り、意地っ張りだからな

「もう充分だから、おいで………」

奉仕を中断させると、顎を持ち上げ口づけてやる
先走りが残る舌は、少しザラザラしているが、柔らかく熱い…
そのままそっと抱きしめると、押し倒してやると
まだコチラからは殆ど何もしていないのに、既に興奮しているのだろうか?
露出度の高い衣装の下の肌は、既にピンク色に染まっている
堅くなった胸の突起を吸い上げてやりながら、ボタンを外し前を確かめれば…
舐めているだけで、そんなに興奮していたのか?爆発寸前だなコレは…

このまま扱いてやって、一度イかせてやってもいいが、少し惜しいな…

そのまま触ってもらえると思ったのに、欲情を確かめられただけで、放り出されたソコが熱いよ
何?今日はそういう意地悪な、焦らしプレイなの?そう思って、閣下の顔を確かめ様とすれば、
いきなり下着ごとパンツを下ろされ、尻尾の奥を後ろを弄られる
思わず洩れてしまいそうになる、悲鳴を飲み込むのだが…

背筋をゾクゾクと這い上がる、この感触が堪らない
筋肉の少ない細い指と爪が、弱い内側を翻弄していると思えば尚更に
ああ…気持がいいよ、まだ潤いが足りなくて、痛いはずなのに
自分で思っていた以上に、飢えていたのかな

「あぁ…やぁっ待って閣下、まだ早い…ああっ」

潤滑剤は塗ってやったのだが、いきなりでは流石に痛かったのか
細い身体がビクリと震え、形ばかりの抵抗をするが、構わずシーツの上に押さえつける
女の様に濡れはしないからな、ぬめりを追加してやりながら

「早いと言うワリには…随分柔らかくなってるではないか、そんなに欲しかったのか?」

意地悪も兼ねて、そう囁いてやれば、恥ずかしいのか?そっぽを向いてしまう
が…身体の方は正直なモノだ、他者とする時は、どうなのかは知らないが
吾輩にされる時は、少々痛いくらいの方が、好きだろう?お前は?

少しばかり乱暴にぬちゃぬちゃと、中を掻き回してやっても、もう大丈夫だ
気持がいいのだろう?身じろぎ喘ぎはしても、ジェイルは腕の中から逃げない
魔力の差はともかく、体格的には吾輩を押しのける事など、簡単なはずなのに
充分な潤いさえ与えてやれば、女のソレの様に絡みついてくる内壁が
きゅうきゅうと指を締め付けてくる、早く其の先をとせがむ様に

「ふぅん…ああっ…あん」

シーツに爪を立てながら、甘ったるい声で啼く猫の声とその痴態に、思わず喉が鳴る
可愛い…とろんとした表情も、柔らかい身体も、素直なソコも
同じ悪魔であっても、時には薄ら寒さを覚える程の、過度の加虐と極悪面で
虜囚を嬲り、その返り血を浴びて笑っている拷問官とは、とても同一悪魔とは思えない程に…

中を刺激しながら、肌の好きな場所を重点的に、たっぷり愛撫をくれてやれば
もう慎みなど無用だとばかりに、喘ぎ、猫の様に悩ましく啼く声が、堪らない
指示もしていないのに、腰を高く上げすり寄ってくる様が、淫らで浅ましくて
これ以上の焦らしも、お預けを食らわせるのも酷な事だろう?
獣の様な姿勢のままに腰を引き寄せると、一気に後ろから刺し貫いてやる

「はぁん…ああっ」

短く上がるのは悲鳴か?嬌声か?もうどっちだかは解らないが
知り尽くした身体だ、中のイイ場所も、もう熟知しているから心配はいらない
ソコを重点的に責め上げてやれば、あっと言う間にソコは吾輩もソレに馴染んでしまう

他魔の事は言えないが、全くもっていやらしくて、淫乱すぎる身体だな
嬉しげにソレを飲み込んでいるソコは、熱くて、柔らかく、気持が良すぎる
気を抜けばこちらが先に搾り取られ、貪り喰われそうだな

「そんなにイイか?何があったのかは知らないが…寂しかったのか?」

言葉は喘ぎ声にかき消され、明確な答えは返ってはこないが…
シュルリと頸に巻き付いてきた尻尾が、吾輩を更に自分に引き寄せようと引っ張る

「そうか…まだ物足りない無いか?困った奴だな…」

遠慮は無用と言う事なら、それでも良いだろう、職務に差し支えない程度ならばな
金の悪魔はニヤリと目を細めると、その尻尾を引き掴み、落ちかけた腰を引っ張りあげる
同時に奥を強く抉られ、跳ね上がる肩をマットに押しつけると、更に中を強く蹂躙してやる

「ひっっあっああんっ、あぅああっ」

急に加速された圧迫感と、快楽に耐えきれないとばかりに、ジェイルは喘ぎ髪を振り乱すが、
程なく一度目の劣情を吐き出してしまう、前を殆ど触れてやってもいないのに…
少し遅れて急激に締まったソコに誘発される様に、コチラもたっぷり中に出してやるのだが
内側は尚もソレに喰らいつき、離すまいと内へ内へと絡みついてくる
吾輩も一度で許してやるつもりはない、久しぶりの逢瀬だ、存分に楽しませてもらうか

「満足するまで付き合ってやろう、だが先に誘ったのはお前だ、加減はしてやらないからな」

※※※※※※※※※※※※※※

事が済んでも、ぺっとりと吾輩の腰に抱きついたままのジェイルの髪を撫でてやる
流石に疲れたのだろう、ぐにゃりと横たわるその姿は、やはり大型の猫の様だ

「そう言えば…今更なのだが、吾輩は見た事がないな、砂漠の民の方の姿を」

フッと思い出した様にそう呟けば、途端に不服そうな目がキロリとこちらを向く

「そうだっけ?ガキの時は魔王宮でも良く戻ってたけど?」
「たまたま、吾輩の居ない所が多かったのだろうな…一度くらい見てみたいものだが」

「ん〜閣下のお願いでも…ソレはちょっと…」

自分はもう完全に悪魔のつもりだから、元の種族の形質が、色濃く残るあの姿には
あまり戻りたくは無い…と言うか、相手が彼だからこそあまり見せたくは無い
瘴気と血の拒絶反応に苦しむ自分を、彼に献身的に治療してもらった身としては特に

「そうか…ソレは残念だな、とても綺麗だと聴いているのだがな…」

誰に聴いた?なんて聞き返す方が野暮だろう
ただ…無理強いはしないその顔が、残念そうと言うより、少し寂しそうに見えて
ジェイルはポリポリと頭をかきながら、身体を起こすと、ぶるりと身体を震わせる

瞬時に肌に広がる美しい斑紋と、艶やかな毛並み 低い獣の唸り声
体格は元とそう変わらない、細身の豹ともチーターともつかない、大型の猫がその場に佇む、
耳をパタパタと振り、縞模様の尻尾を大きく持ち上げると、一度グンと身体を伸ばす
少し照れくさそうに顔をこすりつつ、金色の瞳がじっと相手を見る

「これで満足?閣下」

獣の姿になっても、不思議と声と目だけは少しも変わらない、
グルグルと喉を鳴らすソレの頸に、副大魔王はそっと抱きつく

「閣下?」
「想像していた以上に美しいな、手触りもとてもいい…」

このままコートにしてしまいたいくらいだな…
冗談とも本気とも着かない溜息をつくと、デーモンはそっと獣に口づける

「このままもう一度シよう、今度はお前が上でいいから…」

耳に囁かれるその提案に、一瞬呆れた表情を見せたジェイルだったが
直ぐにニヤリと目を細めると、抱きしめられている頭をグイと押しつけ、今度は逆に小柄な身体を押し倒す
両方の二の腕に感じる肉球の冷たさと弾力、獣は爪を立てずに相手を組み敷くと、
少し大きくなった舌で、ワザとぺちゃぺちゃと音を立て、其の首筋を舐め上げてくる、
こんな体勢で誰かに押さえつけられるなんて、他はダミアン殿下とエースぐらいなのだが
悪魔の姿でされるソレとコレでは全然違う…やや高圧的な目で見下ろされながら、
鋭く危うげな牙が、少しくすぐったい髭が、頸部の急所を掠め、肌の上を移動する様は
何故だか新鮮で、相手の獣がジェイルだと解っていても、ゾクゾクとする

それでも…汗でしっとりと濡れる肌に、ふんわりと当たる柔らかい毛皮も心地がよく
愛撫の移動と共に解放された両腕で、もう一度その頸をしっかり抱きしめれば
相手も徐々に勝手を掴んだのだろうか?苦痛に感じないギリギリの加減で、爪をたてられる
その肌を薄く掠める刺激にすら、馴れ始めてしまうと…
戯れの提案だったとは言え、何時もとは違う刺激と感覚に、
酷く興奮している自分に気がつき、金の悪魔は自嘲気味に笑った

「あんまり派手な傷はつけないでくれ、またエースが、変に動揺するからな…」

熱の籠もった物憂いげな瞳をあげて、自らにのしかかる獣にそう囁くのだが
かえって相手の悪戯心を刺激してしまった様だ
突然カプリと頸の後ろ側を食いつかれると、身体の下に組み敷かれてしまう
丁度さっきこの男を、抱いてやっていた時と同じ様な体勢で

「こら…吾輩の話を聞いて……」

慌てて身体を起こそうにも、強めに頸を押さえつけられては容易には抵抗できない
相手の都合を考えれば、自分で解すつもりだったその場所を、掠めて当たる熱い塊に、思わず息をのむ、
いくらなんでもまだ早い、このまま無理に押し入られてはたまらない

「ちょっと待て、自分でするからっっ」
『いっぱい舐めたから大丈夫だよ、痛くしないから、身体の力を抜いて閣下』

唸り声と、何時もの喉を鳴らすあの音の向こう側から、
軽い口調の心音がかえって来るが…そういう問題では無い、
何とか這い出そうとする腰を、背後から器用に抱きしめられてしまう

「ひっ…ああっあっ」

角度の問題もあるのだろうか?性急にねじ込まれたソレには、思っていた程の痛みは無かった
だが…何時もとは明らかに形状の違うソレは、四つ足の獣のモノだからか?
やや細身の様だが…やたらと奥に届き、通常とは違う圧迫感で中を突き上げてくる

「ふっ…あっあああっ、あんっ」
「気持ちが良い?閣下?、いっぱいサービスするから、沢山啼いてね」

ようやく頸を離したジェイルが、耳元を舐め上げながらそう囁いてくるが、まともに返事が返せない、
何だ?内壁を傷つける程では無いのだが…入ってしまったソレから、急に広がる突起が…
有り得ない場所にトゲの様な刺激を感じて…身体に上手く力が入らない、感覚をうまく逃がせない
痛いのか?むず痒いのか?解らないその刺激に、更に追い詰められ、震え喘ぐ吾輩を
金色の瞳が、愉快そうに見下ろしている

「あっそうか…コッチは初めてだよね?馴れれば痛くないから、悪くないでしょ?」

こっちの姿の俺とシたいって言ったのは、閣下なんだから…存分に楽しんでよ
そう言ってコチラの返事も待たずに、大きく腰をスライドし始めるから、堪らない

「ひぃっああっっ、待ってっあああっ」

痛い痛い…まだその感覚に馴れきっていないのに、そんなに激しく動かれては、粘膜をこそげ取られてしまう
のたうつ身体を押さえつけられ、一方的に中を抉られる行為は、苦痛でしかなく
泣き喚きボロボロと流れる涙が、シーツを濡らすのだが…そんな痴態に更に興奮したのか?
程なく内側でグンと大きくなったソレから、腹の中に溢れ出す、炎症の為か?滴りが酷く熱く感じる…

だが…そんなにも無体を強いられながらも、身体の方はまんざらでは無いのか?萎えてはいないのが不思議だ 
一度目のソレを出し切ってしまったジェイルは、息も整わない吾輩の様子をジッと伺うと
欲情の程を確かめ、 チェシャ猫の様な目で、もう一度ニヤリと笑う

まだまだ解放するつもりは無い様だ、挿し込まれたままのソレが再び大きくなると、
休みを与える事もなく、容赦なく内側を責め立てはじめる、
中に出された劣情が助けになって、一度目のソレよりかは快楽が大きいとは言え
こんな無茶なやり方に付き合っていては、身体が持たないだろうに

「うっ…ああっ…待ってと言うのに」

何とか身体を起こそうとする、努力すらやんわりと阻まれ
半泣きの目で睨みつける吾輩の目元を、ジェイルの舌がぺろりと舐め上げる

「エースが出来ない事をしてあげるよ、自分じゃ出来ない所も触ってあげるからね」

囁きと共に落とされる口づけは、行為とは裏腹に優しくて、ズルイだろお前は
こんな調子で、年下の猫の無茶を容認したくなってしまうのは、きっと吾輩だけじゃないのだろうな
朦朧とする意識下で、漠然とそんな事を考えるのだが…結局は許してしまう
黙ってジェイルのキスに答えると、身体の力を抜く

たまには、こんな夜もあってもいいか… 明日のスケジュールが気にはなるがな

全く…今更ながら、育った環境が良くなかったのか?
こんな事ならエースに任せっきりにしないで、もっと干渉するべきだったかもしれないな

※※※※※※※※※※※※※※

魔界の西の果てには、広大な砂漠地帯が広がっている
そこは【魔神】と呼ばれる者達の聖域 並の悪魔なら近寄る事すら出来ない禁断の地だ
ソコは悪魔より先に…より古い時代から、魔界に君臨していた者達のエリアだからだ

かつては…魔界の覇権を巡り、両種族は、幾度も血みどろの戦いを繰り広げたが
環境の変化における適応能力の差が、明暗を分ける事になる

純度の高い古い時代の種族にとって、今の魔界の大気は【瘴気】が濃すぎるのだ

やがて…自らの血統の適応能力に、限界を予見した【魔神】達は
時間経過と共に、緩やかに不利になるであろう【戦乱状態の続行】を良しとせず
新種族である【悪魔】 達と、【不可侵条約】を結ぶ事になる

肥沃な中央部を【悪魔】に明け渡す「代償」として、
魔界内に【完全独立エリア】と置く事と【自治権】を要求したのだ
西側の広大な砂漠は【魔神】の地として、一切の干渉を禁じる事
大気の鮮度を保つ為に、独自の結界を張る権利を認める事を絶対条件とした

そうする事でしか、自らの一族の未来を守れないと理解しながらも
誇り高く、【悪魔】の何倍の歴史を持つ【魔神】にとって、それは「苦渋の決断」だったに違いない

「そんな特例を認める事は秩序を乱す」と、血気にはやりる家臣達の反対を押し切り
初代魔王ルシファーは、【魔神】達の要求を受け入れ承諾した
いずれは…緩やかに滅んでゆくであろう、古い種族とは言え
成体の魔神の戦闘能力は、ずば抜けて高い その備蓄した英知も侮れない
天界との本格的な争いを踏まえた上で、魔族同士の無駄な争いを良しとしなかったのだ

かくして…停戦条約の元、先住種族であった【魔神】達は、西の砂漠に去り
以来両種族は、互いの干渉はおろか、接触する事すら良しとぜず
無接触・無干渉による平和を保っていた… そうあの事があるまでは

※※※※※※※※※※※※※※

西の要塞都市…火炎系悪魔が多いその地は、砂漠との境界線でもある
万が一【魔神】との戦闘が始まった場合は、戦闘能力においては、最強の火炎系悪魔が
直ぐに迎え打てる様に、そのような属性配置になったらしいが…ソレは杞憂と言うものだ、
【魔神】と【魔族】の衝突は【不可侵条約】以降、全く発生していない

それどころか、【魔神】の姿を見る事すら殆ど無いと言っても過言ではない

魔神の治外法権と言っても、少数ながら砂漠の生活に適した【悪魔】も暮らしている
本来【悪魔】との接触を拒む【魔神】が、何故ソレを認めるか? 答えは簡単だ…

【魔神】の子供、成体に進化する前の状態は、どういうわけか【悪魔】に良く似ている

【魔神 】は定期的に多くの子供を持つのだが、その中で【親神】に進化出来るのは極僅かなのだ
その殆どは…その前段階の【悪魔擬き】の姿のまま歳を重ね、【親神】に進化する事なく生涯を終える
子供は特に【瘴気】に弱く、砂漠の清浄な大気の中でしか生きられない【虚弱体質】故に、
砂漠の外では生きられず…外の世界を殆ど知る事なく、滅んでしまう儚い存在だ

悪魔に良く似た「擬態」を持つ、その子供達は、【砂漠の民】と呼ばれて居る

砂漠に住む事を許された一部の【悪魔】は、いわば彼等を守るダミーの様な存在だ
同時に彼等は、【交易】と言う形でも、先祖代々の関係を持っている
砂漠にしか存在しない鉱物や植物は、中央に持ち込めば高く売れるからだ
当然【魔神】の一族はそれらの採集・育成には長けている、
砂漠に住まう【悪魔】は、それらを買い取り現金化するだけでなく、
外から必要物資を砂漠に持ち帰っているのだ

西の最果ての街・バステトは…言わばその交易の拠点 でもある場所だ

かつての要塞都市には最早その面影はなく、迷路の様なその内側も外周も
闇市から派生した商店が建ち並び、異国情緒溢れる怪しげなバザールが続く
誰が【悪魔】で、誰が【擬態】なのかは、一目では解らない程に、賑わってはいるが
土地の者に言わせれば、伝統的な種族毎の衣装差や、微妙な雰囲気の違いで
直感的に解るものらしいのだが…慣れるまでは要注意だな

エースは、そう呟きながら辺りを注意深く見渡す
今のところ、コチラの存在や正体に気がついた者はいない様だ

無用な混乱を避ける為に、街に住む下級悪魔と同じ衣装に着替えはしたが
ゼノンの法衣にも似た、アラブ風の衣装は慣れない自分には、どうにも動きにくい
なおかつ、自分一名であれば、まだ行動も取りやすいのだが…今は厄介なツレが居る
自らも火炎系悪魔でありながら、魔王都育ちの生粋の貴族の自分には
どうも西側の、砂漠方面の生活環境には疎いのだ、今回の件に適してるとは思わない
本来なら…土地の者もお守りに付けるべきなのだが………

「お前さ…俺を便利屋か何かと間違えてていないか?」

目的の相手の情報を聞き出すと言いながら、地酒の売り子に、良いように丸め込まれ、
暢気に値段交渉に入る男を、ジッと睨み付けてそうボヤけば
フード越に申し訳なさそうな緑の目が、上目遣いにコチラを見上げる

何時もは一段高い場所でふんぞり返っている、魔界の皇太子も
特徴的な金髪を隠し、無理矢理に魔力を押えこんだ上で、市井人に変装していれば
何処にでもいる?育ちのいい商人のぼっちゃん?と言った所か?
砂漠の民族衣装を纏っているだけで、こうも印象が変わるものか?

まぁ…また何時ものごとく俺に【無理な依頼】をしている分、
気弱になっている事もあるのだろうが

「忙しいエースを便利屋だなんて思っていない…ただもう時間が無いだよ」

あの子を誘き寄せるには…もう私の腕では役不足だからね
少し遠い目をしながらそう言うと、皇太子は立ちあがる

「行こう…どうやら夜にならないと、彼には逢えないみたいだ」

【兆し】が現れてからと言うものの、特に私を意識的に避けているみたいだから
ここ数ヶ月は顔を見てはいないけど…まだ何時もの場所に頻繁に現れるらしい
【砂漠の民】と直接取引の出来るキャラバンは、何度か彼を見かけているみたいだよ

「しかし…流石にマズくは無いか?まだ【砂漠の民】とは言っても、翼が生え始めたガキだろ?
下手をすれば不可侵条約に抵触するだろう?今回は?」
「ああ…それも覚悟の内だよ、ただ話し合いの余地は、まだあるだろうね
彼が親神に進化するなんて、彼の実親ですら、考えていなかった筈だからね…」

いざとなれば…親神と族長には、私がサシで話はつけてこようと思っている
幸い今回の「彼」の件も含めて、知らない間柄では無い相手だからね…

「本当にもう時間が無い…彼が親神に進化してしまうまでの猶予が無いんだ
その前に知りたいんだよ、あの子が本当はどうしたいのか、ちゃんと聞けていないからね」

おいおい…皇太子ともあろうお方が、よりによって【魔神】スフィンクスの幼生と、
何時の間にか懇意になった挙げ句、その親神とも顔見知りとはおそれいる

やれやれ…この放蕩皇子にも、ほとほと困ったモノだ
皇位継承者の自覚に欠けるこの行動は、俺の大きな頭痛の種の一つだ
余程の相手でなければ、遅れは取らない、絶対的な魔力の持ち主とは言え、
警護も付けずに魔界の彼方此方をほっつき歩き、お忍びの視察などと称してはいるが…
下手をすれば、相手につけいられる隙や、口実を与える事になると、
口を酸っぱくして進言もとい説教はしているのだが、ダミアンは聴く耳を持たない

今は、【停戦状態】とは言え、ココは【不可侵条約】に護られた、【緩衝地帯】だ
ソコを単独で闊歩した上に、【魔神】の幼生にちょっかいを出しただけでなく
今、親神に進化しようとしている、そのガキを惜しんで、砂漠から連れだそうとするなんて…
場合によっては、再び【悪魔】と【魔神】の戦乱の火種にともなる行為だ
とても正気の沙汰とは思えないのだが…

それでも皇太子殿は、危うい橋を渡ってでも、そのガキをどうしても確保したいらしい
そしてそのガキを介して、その親神とも懇意にしているとは…一体どういう事なのか?

正論で頭ごなしに、その行為を諫めても、逆効果なのは、嫌と言う程に経験済みだ
こういう時のダミアンは、そう簡単に諦めたりはしないからな
中途半端に俺に隠れ、無茶な行動に出られても、後始末が余計にややこしくなるばかりだ
それくらいなら、現地まで同行し、臨機応変に事の成り行きを見守り
場合によっては、協力するも良し、強制的に止めるも有り、の状況には持ち込んではいるものの…

どうやら?必要な事項の全てを、まだ俺に暴露はしていないようだな…コイツは

お目当ての標的が、現れるのが夜なら、まだたっぷり時間はありそうだ
それまでに全てを説明して頂かなくては、動くに動けないだろうが
困った皇子様だぜ、全く………

だが、同時に興味も有る、そこまでコイツが執着するその子供にも

ダミアンとて馬鹿ではない、相手はスフィンクスと解っている
後々面倒な事になる事を承知の上で、関わりを持ち執着しているのなら

その子供は、相当に「好みのタイプ」だったと言う事になる

例え思惑や下心があったとしても、その立場上、
相手の方に、献身的な態度を取られる事が多いせいだろう
皇太子は、【特定の相手】に対して、あまり執着や関心を持たない
例え一時的に愛着を持ったとしても、その思いは移ろいやすく
悪く言えば、すぐに飽きてしまいがちなのだが…どうやら今回は勝手が違うらしい

そしてコレも困ったモノなのだが
コイツの好みと、俺の好みのタイプは、かなりの確率で被ると言う事だ

そこまで御執心と言うなら…結果はどうであれ、
どんな奴か一目見てみたくなるのも、俺の悪い癖なのかもしれない

「まぁいい…詳しい話は、道々でじっくり聞いてやるよ
お前の言う砦までは、かなり距離があるみたいだな、適当な足を調達するか」

魔力で飛ぶなり、位相転位も出来ない距離では、無いのだが
仮にも緩衝地帯である、上級悪魔の魔力を、放出させるワケにはいかないからな
面倒だが…何か適当な乗り物なり、魔獣なりが必要になりそうだ
幸いココは交易の要の街だ、その手のモノは幾らでも揃うだろう
目立たない様に、ざっと市場を見回していると、脳天気な声が背後から降ってくる

「ああ…そうしてくれると助かるよ、私が作ったゲートを使うと
私の気配を察知して、あの子は、現れないかもしれないからね…」

………緩衝地帯に専用ゲートまで開いていたのか?コイツは?

有り得ない事実確認や、頭痛の種が、これ以上増えない内に
とっとと現地入りしてしまった方が、良さそうだな…全く楽しい旅になりそうだ

何時もの事とは言え、エースは大きく溜息をついた




続く


冒頭の閣下と代官の絡みは何なのさ?と聞かれれば、えっ単なる【趣味】ですよ
しかもよくよく読み返せば、結構エグイし、変態やし…相変わらずダメだコリャ
ようやく?プロットが良い感じまとまりかけている?かもしれない?
『砂漠の代官編』における、まだトッポイ砂漠猫と、鬼畜エロ猫に育った後との
差分?的なモノを表現出来たらな〜と、プロローグ的に触りエロだけ書く予定だったのに
何だか長くなってもうたのは…変なスイッチが入ったからでしょうか?うぬぬぬぬ
 

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