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【Gt3兄弟@】
『極悪三つ目が通る?』 3 D×A 顛末? R-18 (完) 【改正版】

「助けてくれないか…」

月明かりの差し込む窓から、静かに声をかけられる

屋敷の書斎で持ち帰りの仕事をこなしていた、デーモンは顔を上げる
長く伸びる影の先、バルコニーで、見慣れた長身が佇んでいる
相手の額にギラギラと光る三つ目を確認すると、デーモンは、ふぅと溜息をつく

「そんな所に突っ立っていないで、入ってくればいいだろう?
今のお前に、ウチの通常結界など無意味なのだからな…」

エースは、窓を開く音も立てずに、室内に滑り込んでくる
それを出迎えたデーモンは、彼を長椅子に座らせる、
ソレはこの書斎での彼の定位置、お気に入りの場所の様なモノだ

どっかりと座り込み、サイドボードの酒を勝手に煽りながら、
ピルケースから取り出した何時もの錠剤を、ソレで飲み下している所を見ると
魔格はまだ赤髪の方であっても、ある程度の落ち着きは、取り戻してはいる様だが…

乱れた前髪の下の目は、まだギラつき、息遣いも乱れたままだ
【衝動】はまだまだ収まりきってはいないのだろう…

魔界とは言っても…ココは王都である いたずらに治安は乱せない
戦場では無いこの場所で、無駄な殺戮は流石に出来ない
城外の魔物や魔獣を【狩る】と言うカタチと名目で、血の興奮を抑え発散する処置は一般的だが…

そんなモノは所詮【気休め】にしか成らないそうだ

同族の血又は、対極の存在の同レベルのモノの血でなければ、意味が無い
厄介な性癖で性質だよ…と自身も、凶暴性を抱え込む【鬼】の血を引くゼノンから聞いた

エースの三つ目の【渇望】は、鬼族のソレすらも上回る最悪のモノだと

精神力だけでココまで持たせたのであれば、やせ我慢も大したモノなのだが

特に戦局の分の悪い戦闘中、極マレにこの暴走状態に陥る事がある
敵も味方も区別無く、その場に居合わせた者全てを焼き尽くすのだ
戦場最大の戦力・切り札と も言われる【三つ目】ではあるが…

今尚、本魔がソレを、完全に制御しきれているワケでは無いのだ

昔に比べれば幾分マシにはなり、暴走の発動そのモノを抑えてはいるのだが
いざ【発作】が起こることは、本魔が一番恐れている状態でもあるのだ

そして…暴走状態に陥れば、最後には必ず吾輩の元にやって来る
自分では収める事も、止める事も出来ないと言って、助けてくれと

魔界最強の剣が【諸刃の剣】で有る事を、この事実を知っているのは、吾輩と陛下、
そして、強制的に暴走を抑える【劇薬】を調合するゼノンのみ

今はいい…まだ吾輩の方が、魔力は上だ、圧倒的に
暴走するエースの凶暴性を、魔力的に物理的にも。押さえ込む事は…まだ可能だ
しかし…ソレが永遠に続くという【保証】は何処にもない

何時か…【平和的な手段】で、ソレを止める事が出来なくなった時
その時が来た時、吾輩はどんな選択をしたら良いのだろうか
エースの三つ目を見る度に、そんな薄暗い思いに、捕らわれるのだが

その反面、通常であれば、尊大なまでに自信に溢れ、余裕綽綽なその目が
苦しげに歪み揺れるこの瞬間も、吾輩は嫌いでは無いのだ…

何時もと全く違うエース、他者には、絶対見せられないその顔
吾輩だけに【最弱の部分】を見せ付けていると言う優越感だろうか?

我ながら歪んだ感覚だとは思うのが…
例え陛下であっても、【この役目】を譲る気にはならない

「私邸で大爆発があったと言う報告は、入っているが、一体何があった?」
「何て事はない、ガキ共が要らないおイタをしてくれたダケだ…」

ゴトリとサイドテーブルに置かれた、微量の血液のついた枷
その血の臭いと、エースの肌に、薄く残る呪の痕を見れば…
なるほど…大体の事情は解らなくも無いか………

「2名は どうした?」
「ちょいとお灸はすえたが、ちゃんと処置はしてきた…」

あのまま側に居たら、【衝動】に引き摺られて何をするか解らない
だから…早めにどうにかしてくれ… そんな所か?

天下の副大魔王を捕まえて、無礼千万な上
他愛の無い痴話喧嘩の後始末を、オーバーワークの吾輩に押し付けるとは
随分虫の良い話ではあるが、職務上の激務もお互い様だ
貸し借りの一つや二つ取るに足らない話だ

テロや陰謀じゃないだけマシか?大人気無いには違いは無いが

※※※※※※※※※※

仕事の切り上げを少し遅らせ、ワザとゆっくり近づく 焦らす様に
役目上のトラブルならともかく?半分は自業自得?の様なモノだろうに
せめてこれくらいの意趣返しは、してやっても構わないだろう?

先程飲み下した【制御薬】が良く効いているのだろう
やや恍惚とした目が、吾輩を見上げる、情報局長官のこんな顔を見られるのは
間違い無く吾輩だけなのだろうな、少なくとも今は…

そう思えばこそ、目の前の男が愛おしくてたまらない
汗で貼りついた、その前髪をかき上げやると
ギョロリと此方を見つめる、額の【三つ目】に、これ以上ないくらい優しく口づけてやる

闇の色をさしたその唇に、膨大なエナジーが、吸い込まれるのを感じる

不思議な事に、何故か痛みや苦痛は一切感じない、急激な喪失感はあるが…
例え…このまま魂ごと貪られたとしても、おそらく誰も抵抗できない
この儀式を受ける時は、何時もそんな事ばかりを考える

やがて…一時的に吸い込んだ対象者の魔力と、自らの気を練り上げ、紡ぎ出される
黄金の唄声【封印の子守唄】が、書斎に響きわたる………

この書斎をはじめとした、厳重な封印の中でしか、発動出来ない封印魔法

あまりにも強力すぎるため、周囲の魔力レベルの低い者を、巻き添えにしてしまうのだ
相手を永遠に眠らせてしまう【禁断の呪法】…それくらい強力な封印でなければ
抑え込むことの出来ない【三つ目】は、最強の兵器にして諸刃の剣

うっとりと聞き惚れる【三つ目】は、ゆっくりと眠る様に閉じてゆく
その痕跡も含めて、額の奥の方に消えてゆく…まるで最初から何も無かった様に

強力な呪法であるが故に、術者にもそれなりのダメージを喰らう為
ペタリとその場に崩れ落ちそうになる身体を、大きな手がガシリと支える

「世話になった…すまなかった」
「どうだか………」

髪の色は…燃える様な赤から、何時もの色に闇色に戻っているようだな
腰を支えるその腕につかまり、体勢を立て直しながら、デーモンはニタリと薄く笑った

※※※※※※※※※※※※※※

「他の者はともかく、あの2名には、キチンと事情を話しても良いのではないか?」
「冗談言うな…こんなみっともない事話せるかっっっ」

ようやく収まった衝動に安堵しつつも、エースは極めて機嫌が悪そうだ
今に始まった事では無いのだが、今回も自分で収められなかった事が悔しいのだろう
しきりに何も無くなった額を撫で回し、確認している

黒髪のエースは、制御不能な赤髪の方の魔格を極端な程、毛嫌いしているからな…
この反応も仕方が無いと言えば、仕方の無い事なのだろう

「俺はあいつ等の前では、【恐くて強い兄貴】のままで居たいんだよ」
「変に誤解されてしまってもか?」
「仕方ないだろうっ」
「そんなモノか?」
「そんなモノだ…」

やれやれと、溜息をつきながらも、自らもグラスにワインをつぐ
自身の喉の渇きを潤しながら、長椅子に腰掛けたまま膨れている
意地っ張りなこの男が、妙に可愛らしいとも思ってしまうのは何故だろう

「でなければ…一回くらいヤらせてやれば良かったのでは ?」

デーモンが、冗談交じりにそう言えば、長い腕にグッと引き寄せられる
はずみで、男の上膝の上に倒れ込んだ彼が、顔を上げれば
見慣れた三白眼が、ギロリと此方を睨みつけている

「お前の口がそう言うな、両方させるのはお前ダケだ」

はいはい…悪魔なんだから、そう熱くなりすぎなくても…
デーモンはそう言って、にこやかに笑うと、そっとその頬に手を添えて唇にキスを落とす

「では術と秘密保持の対価を頂こうか?今日はどっちが良い?」
「閣下のお好きな方で…」
「何時もこれくらい聞き分けが良ければ、可愛いものなのだがな」


窓の外にぽっかりと浮かんだ、青い月だけが見ている…



end


一応一連のシリーズは完結です

女体化ネタから、何故ココまで爛れた状態になったのか?
自分でも良くわからないけど…多分私の頭が腐っているからです
お粗末様でしたm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m

2013/10/16…手直し終了です、鬼畜度が増したダケかもしれませんが
楽しんで頂けたのなら幸いです

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