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【RX+師弟悪魔】
ソレが二つある理由 1

「今日も逢えないの?」
「申し訳ございません…局長は御自身のメンテナンス中ですので」

哀しそうに見上げる雷帝の御子息を優しく宥めながら
対応に出た文化局の局員は、申し訳なさそうに答える
だがこの局員を責めた所で、どうにもならない事は
ライデンが一番良く知っている

自身のプライベートエリアに籠もってしまっている時の
局長…ゼノンの結界は、魔界最強のモノだからだ
文化局の局員ですら、その内部に踏み込む事はおろか
中の様子を伺う事すら出来ない…ただ一名を除いては

特にゼノンは、『平常では無い自分』を他魔に見られる事を極端に嫌う
まるで『本来の自分』を晒すのを過剰に恐れているかのように
頑なな部分がある事は、親しい間柄の者には【暗黙の了解】の様なモノだ

だから『お籠もり』が始まれば…自分から出てくるまで放置するのが【愛情】
それが一番の気遣いで、気配りである事は解っているのだけれど

流石に今回は長すぎる…もうかれこれ2週間は経つ

何事にも用意周到な彼の事だから、
自身の不在の間に、文化局の業務に支障が出ない様に
下準備をしてからの籠城なのは常なので、職員達には動揺は見られないが

俺は違うよゼノン…逢いたいよ…顔が見たいよ、声が聴きたい
一度閉じこもってしまえば、出てくるまで一切連絡が取れない
それが堪らなく哀しいし、寂しいのだが…

この感情をゼノンに理解して貰うのは難しい
生粋の『孤独を愛する生き物』だから

決して冷たいワケでも、身勝手なワケでも無いのだ、
飄々としているようで、細かい部分の気配りは誰よりもするし
有る意味?どんな悪魔よりも【世話焼き】な部分も多いくらいなのだが

それ以上にプライベートな【独りの時間】を尊重するタチなのだ

だからその時間は、邪魔しちゃいけない
彼との良好な関係を守る為には、彼の息抜きの時間に足を踏み入れない
それがベストなのは解っている、解りすぎているのだけど

でも寂しいんだ…どうしても…

そして気に入らないのが、唯一その結界の中に入れる尻尾の生えた弟子

『お籠もり中』とは言え、長期間になれば必要なモノも出てくる
そういった時、外部との【使いっぱ】の様な役割をしているのがゾッドだ
どういうワケだか、ゾッドはゼノンの結界を飛び越えられる体質らしい

最初は「ゾッドだけにソレが許されているのはズルイ」と駄々をこねたモノだが
ゼノンが、意識的にゾッドだけを招き入れているのではなく
ゾッドには元々?全ての結界を無効化して、侵入出来る能力があるだけと聴いて

半分は納得したけど、半分は納得出来ていない

言ったら何だけど…俺の方が遙かに魔力は強いのに
何故その能力が俺には無いのだろう?ゾッドにはあるのに?

「まぁ俺もデーモンも飛び越えられない壁だから、諦めてやれよ」

情報局長官ですら飛び越えられない壁ならば、俺が無理なのは仕方がない
解っている…解っているけど、でも寂しいんだよ

しょんぼりと肩を落とし、文化局を後にする
馬車を用意すると言われたけど、そんなの要らないや
夕闇迫る夜の空の色も悪くないから、ひとっ飛びしよう
せめて上からなら?結界内部も見える?そんなわけないか
比翼を広げふわりと空に浮き上がった俺の視界に
緑の間に見え隠れする、ふさふさの尻尾の切れ端がうつる………

俺が帰るまで隠れていたつもり?詰めが甘いよ…まったく

「ちょっと待って!ゾッドっ!」

言うやいなや、逃げるゾッド進行方向に向かって特大の雷を落としたのは
別に嫉妬とか我が儘とかじゃないからね、怒ってるワケでもない
こうでもしないと、止まってくれないでしょ?ゾッドは?
敷地の地面が焦げちゃったのは悪かったけど、多分許してくれるよね?ゼノン?

※※※※※※※※※※※※※※

「馬鹿野郎!!!殺す気かっっ!!!」

運んでいた荷物を盛大にぶちまけて、焼け焦げた地面の手前で尻餅をつくゾッド
咄嗟に落雷は避けたみたいだけど、多少の感電くらいはしているみたい
足腰が痺れているであろう様子は、上空から見てもすぐに解る
何時もの3倍ぐらいに膨れた尻尾からも、微弱電流がバチバチと音をたてている

絶対に逃がさないと思っていたからこそ、空から飛び降りてくる俺を見て
怯え狼狽えた表情を、一瞬見せたゾッドだったが
すぐさま、諦めとも自嘲とも取れない?苦笑いを漏らすと
ロクに動けもしないくせに、俺の身体を上半身だけで受け止める

反動で地面に倒れたゾッドの広い胸板の上で
俺は何故だか急に哀しくなってしまい、ポロポロと泣き出してしまった

「おいおい…痛い目にあってるのは俺の方だろ?」

痛たたたと、半身を起こしてくるゾッドは困った顔をしながらも
まだ少し放電している俺の肩を撫で、頭を撫でてくる 子供をあやす様に

「だって…だって…俺ばかり仲間外れなんて嫌なんだもん」

いよいよ堰を切った様に泣き始める俺を見て、ゾッドは更にヤレヤレと溜息をつく

いや【仲間外れ】にしているワケじゃないのだが、結果的にはそうなるのか?
調子が悪いからこそ、他魔にその姿を見せたくない
心配をかけたくないからこそ沈黙を守る、そういう心理はまだお子様には、
早すぎるのかもしれない?いや本来は、過剰に世話を焼かれる身分が高い者故に
ソレを強要するのは酷な話か?何れにしても、このまま諦めるとは思えない

「おい…ゼノン聴こえてるだろ?どうする?皇子様は酷く御立腹なんだが…」

ひっくひっくと泣きじゃくるライデンの肩を抱きながら、ゾッドが大声で叫ぶと
音にならない心音?空気の振動の低い声が、何処からか帰ってくる

『もう…お前は本当に詰めが甘いね…仕方がない
ココで帰ってとも言えないんだろうね、一部結界を解くから二名ともコチラに』

何の前触れも無く、目の前に現れる次元の隙間

隙間から現れたのは、身長30cm程の苔むしたゴレームの小人達
拡散した荷物を拾い集めると、丁寧に運び入れるはじめる

「今回だけは特別だぞ、後でゼノンに怒られても俺は責任は取れないからな」

そう言うと巨漢の悪魔は、俺を抱き上げたままヨイショと立ち上がる
さっきまで痺れていたくせに、落雷の影響はもう無いの?
自他共に丈夫で頑丈と言われるのは解っているけど、本当に凄いよね

俺は慌ててその首に腕を回す、ちょっとでも持ち上げてもらいやすい様に

こんな強引な方法、絶対怒られる…いくらゼノンが俺に甘くても
でも…心音で声が聴けただけでも、ただ嬉しかった
生身のゼノンに逢えるなら、多少怒られても構わない

それに…今俺を抱き上げてくれている、ゾッドの事だってキライなワケじゃない
ただ大好きなゼノンに【特別扱い】されているのが、羨ましいだけで
それさえなかったら、こんなにも親しみやすい悪魔は他には居ないから

「ごめんね…ゾッド…いきなり雷を落としたりして」

小さな声でポツリと呟くと、大きな手がわしわしと頭を撫でる

「当たって無いから大丈夫だ、でも他の奴には絶対に絶対にやるなよ
俺様みたいに頑丈な奴はそうは居ないから、シャレにならないだろ?」

苦笑いをしながらも、結局は許してくれるゾッドも俺には甘いのだろう
俺はギュッとその首に抱きつく ゴメンね…やっぱりこんなの良くないよね

おいおい…勢いでもそんなに抱きつくなよ、後で師匠の【報復】が恐いだろうが

抱きつかれたゾッドがあさっての心配をしていた事に、ライデンは気がつかない

※※※※※※※※※※※※※※

ゼノンがお籠もり状態になる時は、見慣れたプライベートエリアにも変化がある
そんな話をゾッドから聴いた事があったけど…
何なのかな?このおかしな空間は?壁と言う壁が緑と苔に覆われていて、
全体が緑に呑まれてしまった様な状態?になっていた
いつの間にか100年程放置されたのでは無いか?と錯覚してしまうほどに

生温い室温は、何時もより湿度が高いのだが、変に心地が良い
何時もは居ないゴレームの他にも、見たことも無い羽虫や
小動物があちこちから顔を出して、コチラの様子を伺っている

「ゾッド…コレって…」
「ああ…治癒魔法を爆発的に強化するとこんな状態になるらしいぞ
この植物が結界強化の手助けをしている…全体が複合体で生きてるからな
一部が欠損しても直ぐに塞がってしまうからな、エースでも手が出ないらしいぜ」

『余計なお喋りは不要だよゾッド、早くライデンをコチラに結界を閉じるから…』

「へいへい解りましたよ、お師匠様、仰せのままに」

俺を片手で抱き上げたまま、廊下を進むゾッドの横を
おもちゃの様なゴレーム達が、荷物を持ってチョロチョロと従う
俺とゾッド、そしてココの主以外誰も居ないこの空間
異様な光景であるハズなのに、何故か恐怖心はあまり湧かない

空間全体から、ゼノンの気を感じるからだろうか?
恐怖があるとしたら、今回強引に入ってしまった事への後ろめたさ
でも逢いたかったんだもの…例え今の彼がソレを望まないとしても

やがて到着したのは、ゼノンのプライベートエリアの仮眠室
仮眠室と言っても、殆ど文化局から自分の屋敷に戻らないゼノンにとって
事実上?ココが彼の再奥のテリトリーと言っても過言では無いだろう
より深い緑と苔に覆われたソコは、かろうじて扉が開けられる
そんな状態になっていた…ゾッドは慣れた足取りで緑の根を乗り越えるが

それがゼノンの【頑なさ】の現れ様に思えて、俺の胸はチクリと痛む

「やっぱり俺…酷いことしてるのかな?」

小さな声でポツリ呟くと、ゾッドが小声で返してくる

「いや…今回に限っては、そうとも言い切れないかもしれないぜ」

※※※※※※※※※※※※※※

薄暗い部屋を想像していたのだが、寝室は思ったより明るい
何時もはカーテンが降ろされている、背の高い窓が開け放たれている分
中庭の柔らかな日差しが、部屋の奥まで差し込んでいた

その窓辺の安楽椅子でゼノンは休んでいた、何時ものラフな法衣を着て
静かにお茶を飲んでいる様なのだが、何処か様子がおかしい
頭部に幾重にも巻き付けられた、その包帯は一体どうしたの?

「みっともない所を、君に見せたくは無かったけど…
引き換えにゾットを黒焼きにされるワケにはいかないから、仕方ないね…」

少しだけ怒っているようなその声に、びくりと震えるが
それ以上に、コチラを振り返ったゼノンの顔に驚いてしまった

幾重にも包帯が巻かれた両目…右目の有るべき場所からは
うっすらと滲んだ血の様なシミが浮き上がっていた

「ゼノン…その目どうしたの?」
「それがな、良く解らねぇから困ってるんだよ…」

自嘲気味に笑うばかりのゼノンの代わりに、ゾットがその問いに答える
「解らない」なんて言葉は、絶対に口にしたくないであろう師匠に代わって

「大丈夫見えなくなるワケじゃないから、君は心配しなくていいよ」

二名を見比べながら、途方にくれる俺…大変な時に来てしまったんだ
子供みたいな駄々をこねて…シュンとしている俺の耳元にゾットがそっと囁く

「そう落ち込む事ないぞ…ライデン
ゼノンの奴、平気そうな顔してるけど、内心おだやかじゃないから…
ずっと側にいてやれよ、その方が落ち着くと思うぜ、今回ばかりはな」

俺に手伝える事なんてあるのだろうか?

当惑する俺をそっと床に下ろすと、ゾッドは足早にゼノンに近づく
ゴレーム達が持ってきた荷物をチェックしながら、何かを話こむ二名
ゼノンの手をそっと取ると、ゾッドはそのままゆっくりと誘導する
どうやら研究室に行くようだ

「お前も一緒に来てくれ」とゾッドに促され

慌て俺も後についてゆく…出来る事なんて本当にあるのだろうか?

※※※※※※※※※※※※※※

見慣れたハズのゼノン専用の実験施設も、すっかり緑に覆われている

机の上に置かれた、小さめの培養カプセルの中に収まっているのは…
眼球?いやこれはバイオ義眼?なんだか縁に金属製のパーツは着いてるし
幾つもの厳重な封印に拘束されている…何これ?普通の義眼じゃないの?

ギョロリ

単体では意志を持たないはずの義眼が、反射的に?此方を凝視しているのか?
その動きはヤケに生々しく怖い…思わず一歩下がると、
その気配に気がついたのか?ゼノンが少し申し訳なさそうに笑う

「ごめんね…天使の眼球を組み込んだ特別製だから、
僕の身体から離れると、自己意識が復活しちゃうんだ…」
「えっ………」

今サラリと物凄い事言わなかった?ゼノンの片目って義眼だったの?
いやソレ以前に悪魔なのに、【天使の眼球】を装着してるってどういう事?

「とりあえず普通の義眼で急場は凌ぐけど…いいのはあったのかい?」
「一応…術者が使う一般的なモノを魔女達に揃えて貰ったが
どれがいいかはアンタ自身が選んでくれ、俺にはよく解らないから」

箱の中から取り出されたのは、さらに一つづつ小さな箱に収められた
義眼の数々…素人目に見ても解るかなり高度な術式を掛けられた特別製ばかりだ
魔女達とも関係の深いゼノンの事だ、彼女達にも心配されているのだろう多分
例えダミアン殿下であろうと、これだけの品を短期間に集めるのは不可能だ
気位の高い彼女達からも、絶大な信頼をされている…その証でもある

手探りでそれに触れながら、包帯の下でゼノンはニタリと笑う

「その場しのぎにしては、勿体ないくらいのモノばかりだね」
「ドレを選んでも、後々モメそうだな、魔女同士が…」
「有り難い話だよ全く…まぁ【右目】との相性もあるしね」

すまないけど、包帯を外してくれるかな?
傍らに立つゾッドにそう頼む様子を見て、俺はごくりと生唾を飲む

あの包帯の下は…一体どうなってしまっているのか?

シュルシュルとやけにゆっくりと外される包帯とガーゼ
患部に刺激を与えない為の気配り
と解っているけど、妙にまどろっこしい

やがて…全て取り払われたゼノンの左目蓋は、少し落ちくぼんでいる
アノ義眼が収まっていたのはコチラ側なのか?
そして血液のようなシミが、浸みだしていた方の右側は…

特に損傷していると言うワケでは無いようだが…異様な状態になっていた
ゆっくりと開くその瞳は、何故か何時もの鳶色ではなく、真っ赤な深紅に…
そして溢れ出すのは、出血ではなくて【赤い涙】
後から後から流れ出すソレのせいで、右目の回りは全体的に腫れ上がっていた

「完全に見えないワケじゃないんだけど、【鬼の目】の方の具合が悪くてね」

このままじゃ…他魔の前に出られないし
何よりもあの【特別製の義眼】の反発する力を押さえ込めないんだよ

自嘲気味にそう言うゼノンの顔が、何処か寂し気で、何時もより頼りな気に見える

「う〜ん、あんまり状態は変わらないなぁ…」

ゼノンの目の腫れを覗き込み、確認するゾットの手には
右目から外されたガーゼが握りしめられている
内側に塗られているのは…得体のしれない軟膏
一応自分で治療はしているのに、効果が無いなんて事あるの?ゼノンでも?

このまま治らない…なんて事絶対無いよね?

ゾットの背にすがりつき、肩ごしにそれこそ半泣き状態で
コチラを覗きこんでくるライデンの顔を見ながら、僕は精一杯の笑みを作る

病みやつれた情けない顔を、君には見せたくはなかったよ
ああ…そんな哀しそうな顔しないで…僕の方が心配になってしますから
でもその反面、何処かで「嬉しい」とも思っている

誰かに心配されて「嬉しい」なんて感じるだなんて
全く何時もの僕じゃあないね、気に入らない…
自分で思っている以上に、参っているみたいだね僕自身が

早めに決着をつけなくちゃ…もうそろそろ時間切れだ
実務に差し障りがある前に、決着をつけなきゃ自分自身の為にも

※※※※※※※※※※※※※※

机の上に列ぶ義眼を順番に、腫れた右目の上に翳してゆくのだが
なかなか相性?が合うのが無いのか?
ゼノンは困ったように、何度もソレを持ち替え比べる

そして比較的?拒絶反応の少ない一つを見つけたのか?

ケースからそれを取り出すと、空洞状態の左の眼孔にカポリと填め込んだ、
人形の眼球の様だった義眼が、クルリと回転しながら周囲を見回すと、
すんなりと、ゼノンのソコに同化はするのだが…

右目から相変わらず【赤い涙】が、止めどなく溢れ落ちる

ゼノンは溜息をつくと、右目に新しい軟膏をつけたガーゼをあてがう
ソレを待っていたかの様に、ゾッドが包帯でその上を手早く縛る
途中挟み込まれているのは、右目そのモノを封印する呪札のようなモノか?

そうやって【涙】を一時的に堰き止めているみたいだけど…
堰き止め切れない涙が、赤い染みを包帯の上に作る

「やれやれ…気は進まないけど、ヨカナーンの意見も聴くべきなんだろうね」

左目のピントの微調整をしながら、ゼノンがボツリと呟くと
その名前に反応したゾッドは、露骨に顔をしかめる

「げっ…あの爺、まだ生きていやがるのか?」
「当たり前でしょ?【エンジェル・アイズ】が元気なんだから…」

最近は僕専用の図書館に閉じこもってるよ…面白い古文書を見つけたとか言って

「ねぇライデン…この先は、ちょっと君には刺激が強すぎるから
僕の仮眠室でお茶でも飲んでいてくれた方が、僕としては嬉しいんだけど…」

俺達の他に、まだこの結界の中に【誰か】が居ると言う事実にも驚いたけど
この二名の反応を見ると、俺にはあまり逢わせたくない奴らしい事は解るけど

でもココで素直に引き下がったら…また俺だけ部外者の様な感じになってしまう
無理してココまで入って来たのに、ココで諦めていいのだろうか?

「大丈夫…俺、ゼノンやゾッドが思ってる程、純粋培養じゃないし子供じゃないよ
ココまで来て中途半端な事しか解らないで帰っても、もっと胸につかえると思う
迷惑かけないから、俺も二名と一緒に行きたい…俺だけ知らないなんてもう嫌だ…」

大きな目が、真っ直ぐ過ぎる程僕の顔を見上げてくる
この視線に弱いんだよ僕は…君は気がついていないみたいだけど

勿論、単純に魔界と雷精界の外交関係の悪化も恐れてはいるが
悪魔とは全然違う純粋さが初々しさが、可愛くてたまらないから、
ソレを穢したく無いんだよ…一度穢してしまったら、
多分歯止めが利かないから、僕自身がね…君をグチャグチャにしてしまうまで

「まぁ【エンジェル・アイズ】の事もバレちまったし、他の奴ならともかく
ライデンには、話しておいた方がいいんじゃねぇか?良い機会だろうし?」

絶妙のタイミングで【雷帝の皇子】に
要らない助け船を出す不詳の弟子を、キッと睨みつけるのだが…
あさっての方向を見て口笛を吹いている 僕の立場も考えてくれよ全く

「解ったよ…ついておいで、ソレで君が僕に幻滅するのも仕方が無いかもしれない」

珍しく?力なく肩を落とし、歩き出すゼノンの背中を見て
「本当にいいのか?」と心配そうにゾッドの顔を伺うライデン
それを見た大柄の悪魔は、そのほわほわの頭を再びくしゃくしゃと撫でる

「まぁもうお子様じゃないだろ?お前にも知る権利があると思うからな…」

〜過保護すぎるのが、愛情とは限らないだろう?なぁゼノン?〜

先にズンズン行ってしまった、ゼノンを追いかける様に
小走りの二名が続く、廊下の先にはゼノンの専用の図書館が…
ソコはゼノンの仮眠室と同じくらい、鬱蒼とした緑に覆われていた………




続く


久しぶりの執筆が、拍子抜けのエロ無しで
腐女子のお嬢様方には、まずはゴメンナサイ
展開によっては?多少のエロは出てくるかも

ライデン殿下は、どうもエロに結びつかなくて………
幾つになられても、色気より喰い気というか?小動物的な可愛さが
どうしても全開にでてしまいがちなので

なので…腐れ爛れきったサイト、『擬似月砂の城』ではどうも出番が少なめ
でも殿下がキライなワケじゃないのよ〜ライトエロでも書きたい〜
と挑戦したのが、今回のシリーズかな?(^_^;)(^_^;)(^_^;)

でも代わりにギミック系のグロ展開が、多少?いや大分出てきます
若造の和尚が【エンジェル・アイズ】を手に入れるまでの
イタタタた設定もありますので、続きを読む方は御注意くださいませ


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あきゅろす。
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