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【RX+師弟悪魔】
『メトシェラとアルピリア』5 R-18流血暗黒表現+鬼畜Xの独壇場…苦手な方注意

目蓋の上から強い光に目を射貫かれて、俺は露骨に顔をしかめる
まぶしい…ココは何処だ?その前に…俺は、あの後どうなったんだ?

「おや…目が覚めていたのかい?君は女の子の方?男鬼の方?どっちかな?」

のんびりとした口調の声が、聞こえて来ると、相手は俺の顔を覗き込んでくる
角?二本角の鬼?まぶしくて、焦点の合わない視界の中でも、それだけは目に焼き付く
そうだ…あの谷で、鳥女達に襲われて…その最中に、見慣れない鬼が出てきて
敵か味方かは解らないいままに、胸を何かで、貫かれて………
断片的にたぐり寄せた記憶に、ドッと冷や汗をかいた俺は、慌てて身体を起こそうとするのだが 、
どうした事か?身体はピクリとも動かない…
何かが身体中に巻き付いていて、寝かされている台から少しも動けないのだ

「ああ…駄目だよ、急に起き上がっちゃ、まだ手術の途中だからね」
「手術だって…貴様っ一体何者なんだ、俺を…この女をどうするつもりなんだ」
「何だ鬼の方だったのか、残念…でもまぁいいや…
君の方にも色々事情を聞いて、意思確認しなきゃならないからね…」

そう言ってニンマリと笑う相手は、俺の目の前に、切り取られた腕を差し出す
半分黒い羽根に覆われたその下から見えるのは、青い肌…考えなくても解る俺の左腕だ
手術灯の強い光に、ようやく慣れてきた目で、自分の身体に目を落とせば…
診察台に拘束されているソレは、痛みこそ感じないが、酷い有様だ…まるで生体解剖だなコレは
自分がまだ生きている事が不思議な程に、徹底的にバラされていては、
現実味がなさすぎて悲鳴すら出てこない
開かれたままの腹部の中で臓物が脈打ち、部分的に切り取られたパーツは、
かろうじて膿盆に乗せられてはいるが、無造作に散らばっていた

先程の腕は…まだかろうじて、部分的な神経が繋がってはいるのだが…
「身代わりのダミー作成の為に使わせてもらうと」宣言され、そのまま取り除かれてしまうらしい…
俺の身体と言っても…外見上は殆どが女物だ、
半分鳥の様なアルピエ擬きのソレは、大半がアイツのモノの様なのだが
露出している内側の方は、俺のパーツの方が多いみたいだな…
見慣れた人間の内臓は少なく、二名分のソレが歪んだ形で絡み合っている
そして外側にも…俺の部分がやはり絡みつく様に混じっている、青い肌を晒して

「本当は、【君の部分】だけ取り除きたかったけど、中を開いてみて解ったよ
君のパーツもある程度は無いと、この不安定な身体は維持できない様でね
彼女の寿命を削らずに、完全分離するのは、無理みたいだからねぇ…」

同じ【鬼】のよしみで、助けてあげるから、僕の【お願い】も聞いてもらえないかな?
何、簡単な事だよ…脆弱な彼女を、このまま内側から支えてあげてよ、
無理に身体の主導権を握ろうと、反発するのはもう止めてさ
かなり無茶な状態で、魔族化したからね…彼女の寿命はそんなに長くは持たないのは、君にも解るだろう?
だからその間だけでいいから、中で大人しくしてもらえないかな ?
彼女の寿命が尽きたその時は、その身体から君だけ出してあげるよ、一緒に滅んでしまわないようにね

「けっ…勝手に俺を切り取って、始末しようとしたクセに、何を言っていやがる」

左腕を切り取ったのも、ソコだけは完全に男物だったから、躊躇がなかったダケじゃないか
アイツの左腕は…本体よりも先に切り取られ、俺の魔力の増幅媒介に使われていたからだろうか?
この新しい身体もその部分だけは、完全に俺のパーツだったらしい

例えそうだとしても「片翼では…コイツは飛べもしないじゃないか」そう叫ぶ俺に、男は平然と応える
移植用の腕を、女物の腕を細胞から製作中だと?たかが人間の女の為に???
俺みたいな下級悪魔には、縁の無い高度治療じゃな いか?ホントに何者だコイツ ???

「君には興味が無いけど、君と融合した子と、あの樹木の子には、利用価値があるからね、
みすみす天界には渡したく無いんだよ」
「何だよ…天界からコイツの引き渡し要請でも来ているのか?」
「当たり前でしょ?あれだけ派手に荒らし回れば…渡したら即殺処分だろうね、
君に喰われても尚、必死に魔族化したかいもなくね…」

だから君の協力も、ある程度は必要なんだよ…どうする?取引に応じる気はあるかい?
俺の前髪を掻き上げながら、優しげな笑みを零すが…目は全く笑ってない
殆ど最初から脅迫と一緒じゃないかっっ
俺の思考中枢を脳をちょん切られないだけマシだろう?とでも言わんばかりだな

「………はじめから俺に選択肢など無いだろ?アンタの好きにしろよ…それでコイツが生き延びるならソレでいい…」
「そう…此方の要望を聞いてくれる限り、君にも悪い様にはしないから…さぁもう少し眠って…
いくら鬼でも、自分の身体を切り刻まれるのは見たくないだろう?」

やわらかい手が俺の目の上に重ねられると、剥き出しの首筋にチクリと痛みが走る
冷たい薬品が注入されたのと同時に、深い眠気に襲われ、俺はそのまま意識を手放した

こんな展開になるなんて、思ってもみなかったが…まぁいい…アイツが助かるなら
谷底で感じた絶望を再び感じなくてよいのなら、歪んだカタチでも一緒に居られるなら
それでもいいと思った…自らの身体を喰い尽くされ、乗っ取られたと言うのに

いくら惚れた弱みとは言え、酷い女と関わってしまったものだ
堕ちてゆく意識下で、鬼の男はそう思っていた

※※※※※※※※※※※※※※

血塗れの大地の上で、俺はアイツの最後の肉片を口にする…
彼女の肉を食み、全てを手に入れ、吸収したと言うのに、心は少しも満たされない
自らが解体して引き千切り、この世界から自らの手に触れられる場所から、滅したと言うのに
その視線は彼女の面影を探し…感触はその柔らかさと温かさを懐かしむ
そしてそのドチラもが、もう永遠に得られない事を自覚すると
溢れ出す涙と恫喝が止まらないのだ、涙はやがて血の色に変わる
何故だ…何故こんなにも胸が痛い?どうして?

睦み合った相手を、そのまま本能のままに貪り喰ったのは、初めてではない
それが鬼の本能だから、仕方の無い事だと簡単に受け流せていたのに
どうして今回に限ってソレが出来ないのだろうか?

血塗れの口から牙を剥きだし、天に向かって吠える俺を
罪人の樹木達が震えながら見上げている、侮蔑と哀れみの入り交じった目で

だが…今の俺には感傷に浸り、泣き喚いている暇は無い…
悪魔召喚に応じた「責務」がまだ残っている、契約者との最後の約束がある

肩で息をする俺が振り返れば、そこにはあの白い樹木の女が居る
金切り声が途中から聞こえなくなり、妙に静かになったと思えば、完全に気を失っている
この女に限らず、直ぐに気絶する弱い人間が俺は大嫌いだ…それは「弱さ」なんかじゃないから
自分にとって都合の悪い事は、一切受け入れない、完全に拒否にしか過ぎないから
何もかもを背負い込んでいたアイツと比べて、ソレ見届ける義務さえ果たさないのか?
とも思えば…虫唾が走るが…契約は契約だ、反故にする事は出来ない

女を両脇から支えている樹木が、引きつった表情で此方を見るが、そんな物は最早どうでもいいのだ
ソイツ等から奪い取る様に、女の身体を掴み上げると、
俺はその両脇に手を差し入れ、一気に岩肌から女を引き抜いた

叫び声等という生やさしいモノではない、断末魔の様な女の悲鳴が、辺りに響き渡る

いっそ根付いた脚の一本でも、はずみで引き千切れてくれれば…
俺のやるせない気持ちも少しは落ち着いたかもしれないのだが
流石は人間用の地獄だ…かなり乱暴に引き抜いたのにも関わらず、ソレは無い
大地はうねり、尚も罪人を引き留め様とするが、
行為が女を過剰に傷つけると判断したのか?急速に抵抗をやめてしまう

ソレでも相当な激痛はあったのだろう、根が引き千切れた女の両脚は血塗れだ
一度は目を見開き覚醒した意識も、直ぐさま混濁したのだろう、
特に抵抗する事もなく、だらりと俺の腕の中に収まる

半樹木化をしていたとしても、元は柔らかい若い女の身体だ、ふにゃりとした感覚が俺の肌に伝わり
両目と口からポタポタと流れる血に、食欲中枢が刺激されても可笑しくは無い光景だが
何故だか…この女を、貪る気にはならなかった
そのまま荷物の様に女を担ぎ上げると、俺はその場を離脱する…

何処でも構わない、ココよりかは安全な場所に、ソレがアイツの最後の望みだ
しかし…だからと言って何処に???
この人間用の地獄の外は、完全に弱肉強食の魔族の世界、魔界なんだぞ…
中途半端な場所に移動したところで、他の連中の餌食になるだけ
ならば人間界に?と言う単純な話ではない、この女は地獄の罪人なのだから、
天界の奴等に捕縛され回収されれば、脱獄の罪を追加されて…更に深い地獄に墜とされる

本来ならば…地獄のこのエリアから出るのは得策では無い、否、出られない
完全な樹木化が進み、忘却が早まる様に、
水と養分の確保が容易な環境の良い場所に移動するのが、多分最良の方法だろう
刑期を終えるまで、苦痛を与え成長を阻害する、アルピエ共の手の伸びない場所に

だが…ソレではアイツが納得しないだろう…
やはり人間界にしか、逃げ込めないか…俺の魔力レベルでは
この女の「忘却」が完了するまで、俺が隠し守れと言うのだろう、天界からも地獄からも

全く…何でも無い人間の魂一つで叶える様な、契約でも願いでも無いではないか?
釣り合いが取れず、俺にとって分の悪すぎる取引に、何故応じてしまったのか?俺にも解らない

女を抱えたまま、谷に逃げ込んだのは、戻ってきた鳥共の追跡をさけるためだ
薄暗いソコは、上空からは認識しにくいからだ
結界の薄い適当な場所を選んで、人間界への転位ゲートを開こうとするのだが

不意に感じるのは無数の獣の気配…明確な殺意が谷の隙間を駆け抜けてくる

針金の様な真っ黒な毛皮に、ギラギラと光る深紅の目、炎を吐き出す裂けた口…
本来はこのエリアには居ないはずの、ヘルハウンドの群れが迫ってくるのが解る
俺が浴びたアイツの返り血と、抱える樹木の女の流す樹液の後を追って

くそったれっ、やっぱり罪人を抱えて、地獄から逃亡なんて土台無理な話なのか???

先陣を切って飛びかかってきた、黒犬を俺は爪と衝撃波で、一撃の元に引き裂くのだが
後から後から、地面から影から沸き上がる様に出現する、犬共の攻撃の全ては躱せない
一匹一匹は弱くとも、こうも数が多くては、多勢に無勢だ…
手傷を負う度に、派手にあがる犬の悲鳴と血の臭いに、上空の鳥女達も、俺の場所を特定した様だ
曇天が更に薄暗くなる程に、数を増した連中が旋回しているのが見える

完全に包囲されている「絶望」からだろうか、おかしな目眩が止まらない

地獄に侵入した時は…アイツの腕の媒介効果か?力が漲り身体も軽やかだったのに
今は…ただ一歩進むだけでも、変に身体が重くて、苦しくて、俺は地面に膝をつく
攻撃魔法の出し過ぎか?やはり魔力を消耗しすぎているのだろうか?理由は解らないが…
もう何もかもがどうでも良くなる程に…気怠い…もう先に進む事さえ億劫だ

ああ…このまま、連中に食い千切られ、消滅するよりかはマシかもしれない
この忌々しい【お荷物】を渡して、閻魔大王府に投降するべきなのだろうか
朦朧とする意識の下で、俺が漠然とそう思いはじめたその時だ…

「嘘つき………」

耳の奥に聞こえたのは、聞き慣れたあの声…妙に落ち着きはらったアイツの低い声
そんなはずは無い、確かにこの手で殺して、喰らったのだから
俺は慌てて辺りを見回すのだが、アイツの姿は何処にも無い
居るのは樹木の女と、黒犬共だけだ…でも確かに聞こえた
幻聴?人間ではあるまいし、絶体絶命に悪魔の俺も、とうとうヤキが回ったか?

「ここで放り出すのは、契約違反よ…ザムザ………」

押し殺した声は次第大きくなり、旅籠で俺を「役立たず」と罵ったあの時の様に響き渡る
同時に頭部に背筋に走る激痛に、鬼の男は大地に倒れ伏し、苦痛の悲鳴を上げ咆吼する
内側から何かが…何かが俺の身体を食い破り、肉と骨、力の全てを吸収してゆく
振り乱れる茶褐色の髪と、青い肌がの下で、何かが不自然に脈打ち蠢いたかと思えば
内側から引き裂き突き破る様に、破れた肌と肉は…その背に無残な傷を刻み、大量の鮮血が噴き出す

なりゆきを見ていた獣達ですら、その悲鳴に怯えおののき、その距離を縮める事が出来ない
その中心で放り出されたままの、樹木の王女の白い肌に、バシャリと鮮血が降りかかる
そして…血反吐を吐き痙攣する鬼の内側から、メキメキと生えるのは女物の腕だ…
血塗れのその腕は何故だか、黒光りする爪を持ち、黒い羽根に覆われていた

まるで鬼の身体を脱ぎ捨てる様に、背中から出現するのは、半人半鳥の姿の裸体の少女
所々に鬼の部分を残しながらも、その身体を食い破り乗っ取ったソレは
先程鬼に喰われた少女と同じ顔をしていた、右半分だけはあるが…

生粋の魔族であっても、他者を乗っ取る事も、ましてや融合は困難なはずなのだ、
たかが人間の娘に、何故この様な行為が可能だったのかは解らないが
少女にはそんな事など、どうでも良い事なのだろう
未練がましく纏わり付く、左側の顔と角を撫で上げながら彼女は優しげに言う

「お前に責任が果たせないと言うなら、後は私がやるだけよ…ザムザ」

禍々しいその姿に怯える犬達を、うっとりと見渡す少女の目に、唐突に宿る殺意
威嚇の声を上げると、その両腕を一瞬で翼のカタチに変え、彼女は大きく羽ばたいた
生まれたばかりとは思えない俊敏さで、一際大きな黒犬に襲いかかる
鳥のかぎ爪で押さえつけ、その喉元を食い破る様は、先程の鬼より醜悪で手際が良い
リーダ格を失った猟犬達は、統率と戦意をなくし、ジリジリとその場から退散する

その様子を空から見下ろしていた、アルピエ達も黙ってはいない
狭い谷の地形は、翼のある者には不利な谷底の地形ではあるが、何とか事態を収束しようと試みるのだが
罪人を抱え込んだソレは、尚も興奮して反撃を繰り返す
殆ど体格は変わらない、寧ろ彼女等よりも貧弱だと言うのに、
急降下してくる捕縛者達を、逆に捕まえ貪り引き裂いてしまう

その予想外の強さに、怯んだ彼女等は、自力での鎮圧を諦めるのだが
地獄始まって以来の異常事態に、誰もが戦慄し動揺を隠す事が出来ない
人間が自力で、しかも偶発的に魔族化した上に、生粋の妖魔より手練れだなんて有り得ないからだ

遠巻きに包囲され、逃げ道を塞がれながらも…
一時的に攻撃の手が緩んだ事に安堵した娘は、血塗れの王女の身体を見下ろす

「お可哀想な姫様、必ずココから脱出しますから、もう少しお待ちください」

あり合わせのモノで、せめて顔だけでも綺麗に拭き取りながら
その側に転がる男の抜け殻を、哀れみの目で見た理由は、彼女自身にも解らない
男の本体は…今自分の中にある、身体を乗っ取る為の糧として使わせてもらったから
目の前のコレは、魂の抜けた抜け殻でしか無い…
喰いやぶられた腹の中は、まるで人形か作りモノの様に不自然で空っぽだ

それでも…この腕に抱かれた感触を覚えている、その胸板の熱さも

情を交わした事は一度だって無いのに、悪魔なんて利用するだけのつもりだったのに
私を喰らいながら、血の涙を流していた鬼の顔が、妙に焼き付いて離れないのだ
男が自分に惚れて居る事には気がついていた、人喰いの鬼とは思えない感情で
「餌に余計な感情を持ってどうするの?不毛な想いね」と嘲笑ったモノだ、隠すどころか実際口に出しても

だけど今…自分はこの男をどう想っていたのか解らない、なんだろうこの感覚は?
今は考えている暇なんて無いけど、この場を切り抜けたら…ゆっくり考えれば解る事なのかしら

再び上空に集まり始めた敵を見上げながら、少女はただぼんやりとそう思っていた

※※※※※※※※※※※※※※

今回の仕事は、ゼノンの弟子してではなくて、閻魔大王としての公務だ

文化局に出向いたのは、特別に隔離する事になった亡者の為だ
収容場所として新たに作られた温室に、亡者管理用の特殊仕様の封印を施す為だ
地獄の亡者は、あくまでも天界からの預かりものだ、例えどのような理由があろうとも
今回の騒動は、状況説明だけでは治まらない、侵入者を許した件も含めて

天界側は、事の顛末を説明せよと、膨大な資料と必要書類を提出を要求してきた
その原因となった、【侵入者】の引き渡しも含めて…

相手が納得する資料などは、口裏を合わせれば、幾らでも捏造出来るのだが
引き渡されたら最後、 即殺処分されるであろう【侵入者】の譲渡には応じかねる…
困り果てた現閻魔大王は、結局は師匠のゼノンを頼る事になったのだ
問題の侵入者を捕獲したゼノンの方はと言えば…自分が採集した実験個体だと主張する
元より天界どころか閻魔大王府にすら、引き渡す気は、更々無かった様なのだが

その後の娘の扱いを見る程に、ゾッドは、任せて良かったのだろうか?と思わずにはいられない
その方法でしか、ぞの娘の命が助からなかったとしてもだ

森の建設現場から戻ってきたゾッドは、重々しい気持でゼノンの執務室の扉を叩く
中から漏れてくる、小さな啜り泣きに気がつけば尚の事に

「ゼノン入るぞ…」

一応声を掛けてから扉を開けるのだが、 相も変わらず乱雑な執務室には誰もいない
奥の局長専用実験室に立てこもっているのか?照明の光量が落とされたそちらを覗けば…
仄かな光を放つ培養ポッドの前で、絡み合う2名のシルエットが見える
ポッドの縁にしがみ付き、泣き喚く娘の腰を引っ張り上げ弄ぶ
白衣の鬼はその痴態を見下ろしながら、ただニヤニヤと笑っていた

「ひっあああっ…ああっあん、嫌っもう外して、お願い外してくださいっっ」
「駄目…ちゃんと教えた通りにやってごらん…受身の快楽も覚えないと、大好きな人を抱けないでしょ?」

少女の雌芯に咥えさせたディルトを、グリグリとねじ込み弄くりながら
射精管理用に嵌めてしまった枷の上から、はちきれんばかりに大きくなった ソレを撫で上げる
ついこの間まで無かった器官とはいえ、元からあった肉芽とつながれたソレを、嬲られては堪らない
強すぎる快楽を何とか逃がそうと、藻掻く腰を器用に押さえつけると、さらに中を突き上げられる
女の方は既に何度かイッたのか、むせかえるような雌の匂いが立ち込めているが
両性具有になってしまった以上、彼女がソレだけで満足できるわけが無い
押さえ込まれた雄の方には、皮のベルトが幾重にも食い込み、痛々しい姿をさらしている

いや…ソレだけじゃないだろう、作り物を入れられた女の方も、
冷たいディルトだけでは、満足は出来ないはずだ…特にあの手管に一度でも抱かれた後なら
ソレもちゃんと解っていて、冷たく突き放し弄ぶ…中途半端にしか抱いてやらないのだ
ゼノンが、あのモードに入ってしまうと、本当にタチが悪くて困る

「………取り込み中に悪いな、頼んだものは出来たかい?」

呆れ顔で俺が声を掛ければ、ゼノンはとっくに俺の気配に気がついていたのだろう…
こちらを振り返るとニタリと笑うのだが、娘の方は悲鳴をあげる
俺の視線から逃れ様と、何とか物陰に逃げ込もうとするのだが、ゼノンはそれを許さない
彼女を引きつかみ抱き込んでしまうと、ワザと俺の前にさらす様に突き出してくる、
無残な性具を噛ませた淫らな姿のままで

「ほら…ちゃんと挨拶しなきゃ駄目でしょ、
お前のために閻魔大王自らが、骨を折って頂いているんだから」
「嫌っ許して…お願い見ないで…お許しくださいっっ」

いくら魔族化しているとは言え、元はただの人間の娘だ、羞恥心もおそらくは強い方なのだろう
泣き喚く娘は、必死に藻掻き身体を覆い隠そうとするのだが…ソレすらも叶わない
かろうじて残っている、右腕も拘束されしまっている、首輪と連結された短い鎖で
身体を隠すどころか、胸より下に下ろす事も出来ないのだ

最近はココに来る度に何時こんな調子だ…だから気が重くなる
「何ならお前も参加するかい?」とすら言われたが…丁重にお断りした流石に
いくら理由があっても、無理矢理の調教って奴は、どうにも性に合わないのだ

そう…研究室で目を覚ましてからずっと、この少女は手酷い扱いを受けている
短期間でSEXに対する嫌悪感と、反抗的な気質を躾直すと言う名目で

完全に魔族化して、人間ではなくなってしまった彼女は
最早悪魔召喚の対象ではなく、市民権すら持たない下僕でありペットなのだから
新しい保護者であり主人であるゼノンが、どんな躾や加虐を加えようと
他者が口を出すべき事項では無い事は解っているのだが

自慰すら許されず、常に満たされないソレは、生地獄に等しいだろうに…

ゼノンの手管に弄くられた挙げ句、ワザと満たされないままに放置される
その辛さを身をもって知っている俺からすれば、娘に同情的になるのも当たり前だ
俺への礼儀云々以前に「もっと優しくしてやれないのか?」と言いたい所だが
一度ゼノンが、凶悪モードになってしまうと、他魔の話など聞かないのは解っている

「いい加減にしろよ…生粋の魔族ならともかく、狂っちまうだろうに?そんな有様じゃ?」

皮肉も込めて、一応は忠告するのだが…ゼノンがその程度で怯むワケもない

「狂う?栽培の為の大切な持ち駒に、僕がそんなヘマをするワケないでしょ?
手前で調整してるから大丈夫だよ、お前のソレと一緒でね」

一度出来上がってしまった、歪んだ性感帯と価値観を、完全に塗り直すには、荒療治も必要だよ時にはね
そう言って、ニタリと悪そうに笑うゼノンに、ゾッドの尻尾がボフリと膨れる
ゼノンのこういう所は少し苦手だ、目的の為にはストイックな程に手段を選ばない所も
悪魔としては…多分此方の感覚の方が、正しいのだろうけど
やはり俺はどうにも、こういう強引なやり方は苦手なのだ

「頼まれたモノなら出来てるよ…保管庫の中にあるから持っていってよ」

指し示された低温保管庫を開けば、中には見慣れた培養カプセルが並んでいた
そしてその奥の…一際大きな1m弱の高さの【標本ビン】を引っ張り出す
その中に納まっているのは…根元から引き千切れた黒翼の左翼だ、中途半端に青い男の腕に変化しかかっている
折りたたまれた状態で押し込められている、その片腕の隙間には…
部分的にバラバラになった、臓器・肉片の数々と羽根がギッシリ詰め込まれている

少なくとも…コレを見れば、元の持ち主が死滅した事は、間違い無いと思われる質量で

「本当は…何か問題が起きた時の為に、余ったな部位は残しておきたかったけど…
話が大きくなった以上は仕方が無いね…コレで天界サイドには、言い訳がたつかな?」

一応…手術で摘出した余剰部分 を、追加培養したモノじゃなくて
アルピエ達の攻撃で、破損したモノの様には偽装しておいたけどね………
と笑うゼノンの顔は、妙薄暗くに楽しそうで、一瞬ゾクリと寒気がする
良く見れば…ゼノンの白衣が変に血塗れなのも納得だ、
おそらく直前まで細工を楽しんでいたのだろう…自らの手で引き千切って

今回の偽装工作に関しては、師匠に任せて正解だったのだろう…しかしな…

「コレで充分に納得するだろうさ、だけど娘の方は…」
「ああ心配要らないよ、本体の方の遺伝情報は、もう弄くってあるよ彼女も鬼の方もね
現場の地表に残してきた、血液や肉片とは、もう一切合致しないからね
その翼の持ち主が、まだ生きているなんてバレないよ、だから何の問題も無いよ」

流石と言うか…此方が思っている以上に抜け目が無さすぎる…
だが俺が言いたいのはそう言う事では無いのだが

「お願い…もう許してくださいマスター…イかせて、お願い助けて…」

ゼノンの腕の中で喘ぐ娘は、一瞬泣き濡れた目で此方を見るが
何度も顔を合わせている俺が助けてやれない事は、もういい加減に理解しているのだろう
諦めた様に下を向いてしまう、その頭を撫でてやれば、髪はしっとりと汗に濡れていた

結局俺はそのまま、偽装用の残骸の入ったカプセルを受け取ると、黙って部屋を出る
俺が居たから、口を出したからと言って、ゼノンの躾の手が緩むワケでは無い上に
余計なギャラリーが入る分、娘のプライドが傷つくだけだからな…

早く慣れればいいさ、拾い上げてやった命なのだから

妖魔に成りはてた自分の在り方に納得して、既存の価値観など捨ててしまえばいい
文化局の管轄である以上は、多少は窮屈かもしれないが、
あの娘達にとっては、そう不幸な生活環境では無いはずだ、おそらくは…
少なくともあの樹木の王女が、全てを忘れて転生してしまうまでは、
ソレとも先に娘の寿命が尽きるまでは、あの温室で穏やかに暮らせるはずだから

※※※※※※※※※※※※※

気に掛けている対象だから?悪魔のくせに相変わらずお優しい事だ
部屋を後にするゾッドの背中と、尻尾を眺めながら僕は思う

閻魔大王の興味は、責任の管轄内の「樹木の少女」よりも
自身の配下を傷つけ虐殺した、不法侵入者の方に向いているのかい?
それも憎しみではなくて、かなり同情的なカタチで?
今回の捏造も…実は先に提案したのは、ゾッドの方だった事も含て、全く悪魔らしくない
コレが僕じゃなくて他の奴なら、失笑されてしまう所なのだが、
あの子らしい反応と言えば…それまでかもしれないねぇ

全く変わった悪魔だよねお前は、お前の職場と立場を滅茶苦茶にした罪人なのに
完全に魔族化した今なら、お前の権限で彼女を処刑する事も可能で
強制執行で、僕に引き渡しを要求する事も出来るのに、何故そうしないのか?
そういう所がこの子のイイ所でもあり、弱点にもなるのだろうな…と思わずにはいられない

まぁいい…僕にも『面倒事』を引き受けるメリットはある

地獄では無いこの場所では、樹木の【毒】の採集には向かなくても
それよりも入手が困難な【花】と【実】の栽培は、充分に可能だろうからね
実際に肥沃な土地で「自殺者」を移植した場合、どのような変化が起こるのか?
その結果には…天界サイドの研究者も、興味を持っているだろうから…
ソレにはその側に寄り添いこまめに樹木の世話をする、専属の伐採人も必要だからね
何も…獄吏の役割だけでは無いのだ、本家本元のアルピエ達も

だから…彼女の【躾】に一切の手心を加えるつもりは無いから

中途半端に女の部分を苛み、刺激していたディルトを抜き取ってやれば、溢れ出す雌の臭いに
両方の角がドクリと脈打つけれど…ソレだけだ、今はまだ抱いてやる必要は無い
濡れそぼり柔らかくなったソコに、指を差し込んで、中を徹底的に弄くってはあげるけど
その先を、欲しがる楔は与えてやらない…ひくつく男の方も触ってはあげない

それどころか…あふれるソレを後ろに塗り込めると
欲しがるソコを完全に無視して、別の場所に楔を打ち込んでしまう…それも中途半端な偽物だ

「嫌ぁあ…お願いっっ抱くならちゃんと抱いてくださいっっ」

啼きながら身もだえ、必死に懇願する彼女は本当に可哀想だ
後ろもちゃんと慣らしているからね、快楽は感じるのだろう?
だけど…一番欲しい場所には、ずっとお預け状態な上に、前も押さえ込んだままだから
満たされないソレに、気が狂いそうだろうね
まだまだ解放はしてやらないよ…身体だけでも、君がイイコになるまではね

男も女も関係無い、君をオモチャにして、欲望のままに貪るモノはいくらでも居ただろう
君の反応など見ていない相手に、一方的に与えられる刺激なんて、適度に外に逃がす術には長けているだろうけど
自身の内側から出る、当たり前の欲望のコントロールは、全く出来ていないからね君は
そこから追い詰めてしまえば…何と言う事は無い、難攻不落の城どころか 砂の城も同然だ

姫様を愛するために必要な経験だと言えば、嫌々ながら身体は開いてくれたからね
徹底的に快楽は教え込んであげたよ、最初の夜だけはね
でもレッスンはソコで終わりじゃない、ソコからが本当の始まりだからね
一度快楽を知ってしまえば…欲しくてたまらないだろ?中毒症状を起こす程に?
でも…ガッついて君の身体を貪ったりしない、当たり前の優しさでも抱いてもあげないよ

あの青鬼君の様に、並の男であれば…君の強烈な雌の臭いと色香に誘われて、
ただ本能的な欲望を満たすだけだろうけど、僕はその必要は無いからね

君の【調教】の方が大事だからね、君にとっては辛いかもしれないけどね

相手には不自由していない分、君の中途半端な色仕掛けは通用しないよ
小娘の君に、悪魔をそう簡単に手玉に取れると思われては困るんだよ
利用価値のある下僕に不要なプライドは、全て切り取って塗り直してあげるよ
心はあの王女様のモノでいいけど、僕の言う事を素直に聴ける様になるまで、待ってあげるよ…

例え君の心が半分壊れてしまったとしてもね…

どれだけ強い鉄の意思があろうと、所詮は人間だ魔族化もしている分尚更に快楽には弱い
零落するのは簡単さ…アプローチの仕方を変えればね
青鬼君は下らない支配欲に拘ったからこそ、上手く立ち回れなかった…それだけさ

喘ぐ娘を押さえつけながら、その顔の左側を前髪に隠れた男の鬼面をじっと見る
少女の意識が覚醒している今、彼は表層面に登ってはコレない様だが
憎しみと苦痛の目で此方を見ているのが解る、ジリジリと痛いくらいに

悔しいだろうね、自分の女を契約者を、僕に横から掠め取られた様なモノだからね
でも悪い様にはしていないだろ?君はグタグタ言わずに、ソコから見ていればいいさ

ゼノンは口角を上げると、コレ 以上ないくらい凶悪な表情でニタリと笑う
ソレが娘に対してなのか、男鬼に対してなのかは…本悪魔にしかわからない



続く

あまりにえげつなく成りすぎで、削除しまくったけど…やっぱりえげつない
それにザムザ…何だか哀しくなってきたよ、管理人は
お前…ソレでいいんかい?ソレで???もちっと頑張らんかい!!!!



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