[携帯モード] [URL送信]

【RX+師弟悪魔】
『メトシェラとアルピリア』2 R-18 X×百合カプ? 暗黒設定有り注意

半分鳥の様な異形の姿に変わっていても、ソレがあの子である事はすぐに解った
いや今更、そんな事に驚きはしない、私だって変わってしまったのだから
罰によって醜く…でも、それでもまだ足りないと言うの???
まだ苦しめと言うの?目の前で、あの子が苦しむ姿をただ見せつけられて

まどろみから冷めた時、何故か私は、水の中に浮かんでいた
なのに何故か苦しくはない…それにとても温かい…
水の浮力のせいなのかしら…枝葉のに覆われ、
鉛の様に堅くなっていた筈の両腕が、少しだけだが自由に動く
無理に大地から引き抜かれた脚も、人間のカタチのソレを見るのは久しぶりだけど
傷は既に塞がり特に欠損は無い様だけど、膝下からは新しい根が生えはじめて居る
徐々に思考が、視界がはっきりしてくると、どうやら自分は巨大な水槽の中に居るらしい
水槽の外側は…少し歪んで見えるけど、錬金術か何かの実験室?それとも図書館
水槽の内側は淡い光りに満ちているけど、外側の照明はかなり抑えられている
金属製の壁には、時計とはまた違う計器やランプが並んでいて
薄暗い室内をぺかぺかと照らしていた

そして…不安気に辺りを見回していたその視線を、フッと下に向けた時
私はすぐに気がついたの、水槽の直ぐ側の診察台?の様なベッドの上に
何か黒い固まりが寝かされている………目を疑ったわ
あの子がどうしてココに、目の前に居るのかしら
地獄の森で、私の目の前で、バラバラにされて、魔物に喰われてしまったはずなのに
何故かあの子はここに居た…半分鳥のような姿になってはいるけれど

どうしてこんな事になったのか?そんな事はもうどうでも良くて
無事ならば、生きているなら、その瞳がみたくて、私を見てもらいたくて
水槽の内側から必死に声を掛けるのだけど、彼女はぴくりとも動かない

「君も目が覚めたかい?メトシェラ…現世の名前は、もう忘れてしまったんでしょ?
だから僕がつけてあげるよ、呼び名が無いと、色々不便だからね…
マスターの僕が、君を【姫様】と呼ぶのも、何だか可笑しな話でしょ?
彼女の方はアルピリア、どう?綺麗な名前だと思わない?」

不意に聞こえてきた男の声に驚いた私は、慌てて声の主を振り返る
すると…照明の光の届かない暗い場所から、何かが近づいてくるの
何時からそこに居たのかしら…彼女の事しか、見えていなかったから

闇から浮かび上がるのは、白い顔に赤い模様…そして二本の角
そう…この子を犯して、生きたまま貪り喰ったあの青い肌の男と同じ
水槽の中で後ずさる私を見て、男は肩を振るわせて笑った
大丈夫…君に危害を加えるつもりは無いよ、君は何れ転生するだろうけど…
それまでは、僕と文化局の保護を受ける事になったのだから、安心していいよ
この子と同様に、君は僕のペットになったのだからね

ペット?何を言っているの?この男は…険しい表情で彼を睨み付ける私の目の前で
男はあの子の肩を撫で回す、ぼんやりと目を開いた、鳥の少女を抱き起こすと
背後から包み込む様に彼女を抱きしめ、剥き出しのバストと揉みしだき
羽毛に覆われた太腿に隠れた下腹部に手を伸ばし、その内側をまさぐる

意識が混濁しているのかしら、大嫌いな男に触られているのに
抵抗どころか、嫌がるそぶりすら見せない彼女
その身体がヒクリと大きく震えると、小さな声が漏れ始める

やめてっその子を触らないでっ

私は叫び、収められた水槽のガラス面を叩くのだが
すでに樹木化しているその腕は、まるで箒の様に空しく壁を撫でるだけ
羊水に満たされた肺から洩れるその声も、空気の泡になってしまうだけ

また何も出来ないの…見ている事しか出来ないの?
あの法廷の様に、谷での再会の時のように…彼女が苦しむ様を見るだけなの

ところが…何時もと様子が違うのだ…

青い鬼に蹂躙されている時も、牢獄で無数の男達に犯されている時も
苦痛の悲鳴しか上げなかった彼女の声が、まるで違った声に変わっていた
男の愛撫を受け入れて、腰をくねらせ発する、艶を含んだ甘ったるい声は…まるで…
懺悔室の中で背徳行為に耽る、あの修道院の尼僧達と同じでは無いか

「アル…ちゃんと股を開いてごらん…大好きな姫様にアレを見せてあげなさい」
「はい…マスター…」

熱の籠もった目を男に向けながらも、尚も躊躇する少女は此方を見ようとはしない
その様子に薄く笑った鬼は、彼女の太腿の裏に手を射し込むと一気にそれを押し広げる

「ーーーーッ」

あまりの事に私の目は見開かれる、
箒の様になってしまった手では…顔を覆う事も出来ない
あの子が鳥の姿になってしまった事にも、さほど驚きはしなかった
だけど…そんな馬鹿な事が、それだけは許容出来なかった
大きく開かれた彼女の脚の間には、有るはずの無い器官が有ったからだ
青い男根が頭をもたげてひくついていた、その奥で濡れる女の部分を従えるかの様に…

「心配しなくていいよ…コッチはまだ女知らずだよ、彼女のモノになってからはね
どうしても最初は、メトシェラ、君が良いそうだよ、最初なんて上手くいかないから、
大事な人とする前は、練習した方が良いよって、教えてあげたのに、聞かないんだよ
君も初めてでしょ?潔癖主義の王女様?君を慕って、魔物にまでなった彼女に免じて、
今度こそ、抱かれてあげてくれないかな?君だって彼女の事が、嫌いじゃないんだろう?
もう彼女を嫌がらないでよ、拒否しないでよ…」

まるで私に凝視される事を恥じらう様に、震えるソコを撫で上げながら、
男は此方を見るとニタリと笑った

「いきなりそんな事言われても、どう答えていいかなんて、解らないよね?
男をよく知らないのは、君もこの子も、たいして差は無いみたいだからね…」

だから君はソコで、この子が僕に抱かれるのを見ていればいいよ
男嫌いの筈この子が、快楽に溺れる姿を見れば…少しは解るでしょう?
睦み合いが、暴力行為でも、背徳行為でも無い事がね…

そう言って男は、自身の前をくつろげると、背後から一気に彼女のソレを貫く
充分に濡れていたソコは、何の抵抗も無いのだろう
黒い羽毛の間から見え隠れするソレは、嬉しげにソレを飲み込み卑猥な音を立てる
コレは背徳行為だ見てはいけない、そう頭では解っているはずなのに
二名の睦み合いから目を反らす事が出来ない、気持良さげに喘ぐ彼女の顔を凝視してしまう

嘘でしょ…こんなの間違ってると、恥ずべき背徳行為だと、あれだけ教えたのに
私の前では淫らな行為はしないと、誓った貴女なのに…何でこんな…
みんなその男が悪いの?その男に抱かれたから、貴女は変わってしまったの?

だとしたら…コレは重大な裏切り行為じゃないの…ねぇなんでこんな事に…

王女の両目を伝う涙が、サラサラと水槽の中の水に溶けてゆくのだが
快楽に溺れる小間使いは気がつかない、
教え込まれたばかりの感覚に酔いしれ、ただ甘い声を上げて腰をくねらせる
そんな両者を見比べながら、僕はニヤニヤと含み笑いをする

やれやれ…コレは思ったより時間が掛かりそうだね、打ち解けるまではねぇ
でも時間が掛かった方が、より楽しかったりするモノさ、ねぇアルピリア…

一度目の絶頂を迎えたのか、気持良さ気に背を反し、震える彼女の内側に、僕の熱を吐き出せば
絡みつく肉壁は、さらにその先をねだり、僕のソレを締め付ける

本当に可愛いよ、アルピリア、君の無垢すぎる素直さが
そして嫉妬の感情と本質に気がつかない、気がつきたくない、メトシェラ、君もね
魔界の女達では、味わう事の出来ない感覚だよ、人間の中でも希かもしれないけどね

メトシェラの厳しい視線と目があったのだろうか?
不安気に此方を振り返るアルピリアの顎を持ち上げると、その唇を深々と重ねる

大丈夫…今は怒っていても、あの娘もすぐに零落できるからね

舌を貪りながら、こっそり送ったテレパシーに応えているのか
アルの舌が僕の舌に絡みついてくる、エロスと言うよりも…幼子が母親の乳首を求めるようなソレの様に

焦らなくていいよ…僕等の夜は、始まったばかりなのだから

※※※※※※※※※※※※※※

そうだ…私は確かに一度死んだはずなのだ…曖昧になりつつある記憶を拾い集める

生きていた頃の私は、赤子の内から、修道院に幽閉されていた私は、【忘れられた王女】
王家の血筋でありながら、権力争いに負け、滅ぼされた一族の最後の一名だった
【存在してはならないモノ】として、辺境に追放され、生涯子を成す事も許されず、
ただ神に仕え、修道院で朽ち果てるのが運命…そう教えられ、自覚して来たと言うのに

本国で起こったクーデターは、私を静かに放置してはくれなかった

新政権を担う新王は、自らの正当性を主張する為に、私との婚姻を希望する
30も離れた相手、愛なんてあるワケもない、外に出ても尚、私はただの傀儡人形なのだ

多額の支度金と寄付金を前に、掌を返す様に新王に靡いた院長の態度も、
国家の都合で、再び表舞台に放り出され、振り回される事も耐えられなかった
今更、修道院の外に出る事も、男のモノになる事にも嫌悪感しか覚えなかった
純潔を守って来たこの身体に、今更…女の喜びとやらを教え込まれる事にも

そして…ソレを私の身体に刻みつける役割が、あの子に振られる事にも

あの子は何一つ悪く無い…それが修道院での、彼女の役目なのだから
他の修道女達に、無理矢理ベッドに拘束された、惨めな姿の私を見ても
貴女は顔色一つ変えなかった、何時もの様ににっこりと微笑むと
柔らかなその手は、震える私の身体をやさしく撫で上げ、丁寧に口づける、
何も怖く無いから、ほんの少し気持良くなるだけだからと、囁きながら

でも嫌だった…他の誰にされるよりも、母親の様に貴女に読み書きを教えた私が
妹の様に私を慕う貴女に、こんな姿を見られるのは絶対に嫌

だから…行為の最中に自害した、隙をついて手にした短刀で、この喉を切り裂いて
「拘束が苦しい」と嘘をついて、慌てて紐を切り、緩めた彼女の手から奪い取った短刀で
首の傷口から噴き出す自分の鮮血の向こうで、目を見開いたあの子が此方を見て居る

何が起こったのか解らない…何でこんな事になったのか、解らないと言った目で

ああ…そんな顔をしないで、貴女は何も悪くはない
悪いのはみんな外の連中よ…私は清いままでいたいのよ、このままで居たいのよ
還俗なんて絶対にしたくない、厳しい世界になんて、もう戻りたくないのよ

視界が急速に狭まり真っ暗になった、凍えてしまいそうな程寒くて…何処かに堕ちてゆく

そして…気がつくと、曇天の空の下、私は尖った岩だらけの坂道に居た
辺りを見回せば、生気の無い顔の人達が、フラフラと、何処かに向かって歩いてゆく
直感的に解った…ここは地獄の入口なのだと…
当然よね、自殺は神に許されてはいないもの、その理由が還俗を嫌ったモノだとしてもね

亡者達はみな裸足で、岩だらけの道は、その脚を無慈悲に切り裂く
坂道は彼等の流す血に塗れて、真っ赤に染まっていた
でも…立ち止まる事は出来ない、誰もが上へ上へと、ただ登ってゆく
仄かに光るその先に、吸い寄せられる虫の様に…私もただその後に続いてゆく

苦労して辿り着いたその先には、遠い東方の国のお城の様な建物が、聳え立っていた
怖い顔をした門番が、トゲのついた棍棒を振り回して、亡者達を門の中に追い立ててゆく
まるで怯えた羊の様に、城内に追い込まれた私達は、その先の中庭に、列を作る様に言われるの
その列の先には…深紅が基調の巨大な社殿が建っていた、
外からココ光って見えていたのは、この建物の光りだったのね

なかなか進まない列に並びながら…その先を盗み見れば、
どうやらコレは裁判の列らしい事が解る
噂に聞く、天国行きと地獄行きを決めると言う、冥府の法廷なのかしら?
裁かれるのは仕方が無い…罪を犯したのは、間違い無いのだから…

それでも私は、自身の【潔白】にだけは自信があった、清々しささえあった
自身の理念と純潔を守る為の【自害】と言う行為に、何一つ問題は無かったと

やがて…私の順番が回ってきた
恐ろしげな姿の魔物達が、居並ぶ法廷は、人間のソレと変わらない様だ
亡者を立たせる被告席の他に、左側に弁護役が右側に検事役が居るのが解る
そして正面最奥には、裁判官と覚しき悪魔が、書記官を従え此方を見ている

人のソレとは違う点は、何故だか巨大な鏡がある事だ
ちょうど昔話に出てくる様な、鏡の精霊でも住んでいそうなモノだ

「被告人△△△よ、前へ…」

書記官がそう告げるのだけれど、まるで実感が無い…ソレが私の名前だったかしら?
ぼんやりとする私の背中を、衛兵の槍が柄がこずいてくる
幽閉中の身とは言え、まがりなりにも皇族なのだ、無礼ではないか
そう叫ぼうとするのだが、最早自分の名前も、私の国の名前すら思い出せない…
ああ…記憶が大切なモノが、音をたてて崩壊してゆくのが解る、何これ…どうなっているの?

「罪は罪だが、浄化の速度は速そうだな、名も思い出せないならソレでいい」

意味深な言葉を吐いたのは、中央に鎮座する裁判官の悪魔だ
ここに居並ぶ誰よりも、恐ろし気な姿で、厳つい顔をしているくせに、
その鳶色の目は、妙にやさしく感じるのは気のせいなのかしら?

彼がパチンと指を弾くと、鏡面が歪み映し出されるのは、私の一生
修道院に幽閉されたままの、代わり映えの無い風景の中で、ただ育ってゆく私
そしてあの政変…静かで何も無かった、田舎町になだれ込んでくる軍隊
多額の支度金を手にした院長が、尼僧仲間が、私の引き渡しに応じるソレに続き
あの耐えがたい屈辱の場面が…思わず顔を手で覆う私の前で、映像は中断される

検察官と思われる魔物が、高らかに私の罪を読み上げる

「被告自身のツマラナイ生涯に、これと言った罪はございませんが…
王族でありながら、その職務と義務を全うしなかった件及び
未だ余剰の有る命を、むやみに捨て去りし件については、見過ごす事はできません
例え【忘却】が始まりかけていても、それ相応の罰を受ける必要がございましょう…」

ツマラナイ人生で悪かったはね…少しムッとする私を余所に
反対側から、さらにけたたましい声の反論が響く

「王族の職務を全うしなかったと貴殿は言うが、結果的にはソレを果たしているではないか?
クーデター軍は、彼女と言う口実が得られず、充分な賛同者と援軍を揃えられなかった
結果…戦乱は短期間で集束、無用な戦乱の長期化と、犠牲を出すには至っていない
偶発的とは言え、この功績は加味するべきである、自害の罪状など消し飛ぶに値するのではないか
それが証拠に…忘却と浄化作用が、既に始まっているではないか?」

そう…あのクーデターは失敗したのね、そう簡単に揺るぐ様な、国家ではなかった筈
【捨てられた王女】などに構っているからよ、当然の報いだわ…
言い争う二派の魔物達を前に、私はうつむきながらも、ほくそ笑んだ…
やはり…私の選択は、間違ってはいなかったのだと

「ゴチャゴチャうるせぇぞっっ!!!お前等っっ!!!」

突然振ってきた、ぶっきらぼうな言葉が、その場の喧噪を切り裂く
一斉に押し黙った魔物達と、私がそちらを見れば
頬杖をついた裁判官が、先程とは替わった様子で、
少しイライラとした表情を浮かべながら、此方を見下ろしてる

「王族の勤めとか、全体的な死者の数とか、そんな問題じゃ無いだろう?
おい…△△△…じゃなかった、もう現世の名は、忘れちまったんだったな
お前が喉を切り裂きくたばった後、どうなったか?知りたくはないか?」

あの後?あの後ですって?そう言えば…どうなったのかしら?

不安気に彼を見上げる私の目に満足したのか、彼はもう一度指を鳴らす
同時に再び映し出されるのは、あの惨劇の部屋、私の知らないその後の光景だ

噴き出す私の血を全身に浴びながら、断末魔の様な悲鳴を上げるあの子
その叫び声に気がついた修道女達は、控えていた廊下から部屋の中へなだれ込んでくる
泣きじゃくるあの子を、私の骸から引きはがすと、懸命に蘇生を始めるのだが
生き返るはずも無いのだ…だって絶対に助かりたくなかったのだから
自らの首を、半ば千切れかかる程に切り裂いた精神力には、我なが呆れるばかりだ

最早蘇生が叶わないと、諦めた院長は、私の骸を清め綺麗に死化粧を施してはくれたが
旗印としての利用価値のある、私が死んでしまいました…では申し開きがたたない
しかも還俗するのを嫌って、嫁ぐのを嫌って自害した等では、院長の責任問題にすらなりかねない
しかも…この街は今、クーデター軍に制圧されている、今更本国に救援も要請出来ない
下手をすれば…修道女全員が監督不行届と、処刑されてしまうかもしれない…

ソレを恐れた修道女達は、自分達の命乞いの為に、生け贄を差し出す事にする
勿論標的となったのは、小間使いで性具のあの子だ

私が自害したと言う事実は隠蔽され、あの子が私を殺害した事になってしまった
長年共に生活をした私との別れを哀しみ、共に死のうと無理心中をしたと言う事に

半狂乱のまま、私から引き離され、地下のワイン倉庫に、閉じ込められていたあの子
血に塗れたその身体を清める事も出来ず、
ただ泣いて、私の名を呼び続ける彼女の前に、現れたのは屈強の兵士達
ワケも解らず捕まえられ、首枷と手枷が一緒になった、木製の板枷を填められてしまう
そのまま外に引き摺り出された彼女は、私の骸と共に街頭を引き回される

尊き血族を殺した魔女として、街の解放者の婚約者を殺めた反逆者として

少女の弁解など誰も聞く耳を持たない…
沿道から投げつけられた小石が、少女の肉と骨を打ち、皮膚は破け血が流れる
田舎町の住人とは言え、本心では解っている…コレが濡れ衣である事を
男女に関係無く厳格な施設では良くある事、
同じ性を持ちながら、性処理に使われるモノが居る事も
厳格すぎる教えに心酔するあまり、還俗を嫌い自害するモノも珍しくない事も

しかしソレを高らかに発言すれば…【姫の奪還】に失敗した兵士達の怒りの矛先が
自分達にこの街に向いてしまうのだ…ソレは困る、だから罵声を上げる、石も投げる
この身寄りの無い少女に犠牲になってもらえば、この街は、自分達は、助かるのだから

コレは尊き犠牲だ…ゴルゴダの丘を登った男と同じ意味の…
そう言い訳をしながら、彼等は見捨てるのだ、関わりの無い不運な少女を

「何で…何であの子が、こんな事にっっ」

あまりの惨状に絶叫する王女の前で、惨たらしい現実は更に続く

占領軍の本部まで引かれていった少女は、
この作戦の司令官とその側近に、更に手酷い暴行を受けた上で、一方的な異端審問を受ける…
弁護人も用意されない、簡易的な裁判と共に、下された判決は死罪…しかも火炙りに
ここに辿り付くまでに、既に心も体もボロボロになった少女は
他人事の様にその判決を聞き、そのまま城壁の塔に牢獄に放り込まれた

枷も外してもらえないまま、冷たい床に放り出される少女の受難は、まだ終わらない
「どうせ明日には、薪と一緒に燃やされてしまのだろう?だったら最後に良い目をみせてやらないとな…」
そんな身勝手極まりない言葉を吐く兵士達が、傷付いた彼女の身体を一斉に、弄り襲いかかる
響き渡る悲鳴と下卑た笑い声…ここでも彼女に情けを掛けるモノはいない

修道女では無い彼女は、処女と言うワケでは無いが
オモチャとしての役割を果たす為に、作為的に同性愛者に育て上げられている
男を過度に恐れ嫌悪し、女主人達に奉仕する事を、喜びと感じる様に
そんな彼女が、複数の男に一方的に嬲られるなど、
下手な折檻や拷問行為よりも恐ろしかったに違いない、普通の娘以上に

また心中騒ぎを起こされては叶わないと、口に布きれを押し込まれ
生身の男には慣れない前ばかりで無く、触られた事すら無かった後ろまで無残に犯され
苦しみ藻掻き、泣き喚く少女の姿に、閻魔大王府の魔物ですらも顔をしかめる
長年の精神操作のたまものか?その身体や精神の損傷を護る為の脳内麻薬すらも、分泌されないのであろう
鏡の中の少女の叫び声には、一欠片の快楽すらなく、救いは何処にもなかったからだ

「やめて…もうやめて………」

最早立って居る事も叶わず、被告席の床に崩れ堕ちてしまった彼女に、裁判長は尚も残酷に続けた

「これが…お前の自害がもたらした結末だ、これでも我が身は潔白と言い切れるかい?
更に…この後不味いことになっている、お前はそこまで知る義務が有ると思うがな」

更に不味い事ってどう言う事?コレ以上酷くて、残酷な事なんて無いじゃない…

震えながら、再び鏡を見れば…男共がようやく彼女を解放した場面だ

傷だらの身体は更に傷つき、肌は血と汗と体液に塗れてしまっている
無残に蹂躙された下肢は血まみれで、自力で動く事すら叶わないようだ
「あばよ…不運なお嬢ちゃん…」そんな台詞を口々に吐くと、部屋を出て行く兵士達
重々しい扉の鍵が閉まり、彼等の足音が、遠ざかってゆく音を確認しながら
少女は口の中の布きれを、器用に吐き出す、唾液と共にうっすらと混ざるのは血
口惜しさから唇を噛みしめすぎたか?最中に殴られて中が切れたのか?
そんな事は最早どうでも良かった、あと数時間…この苦しみに耐えれば楽になれる
そんな諦めからか…心は静かだ、目の前で死なせてしまったあの人の所に逝けるのなら

自由になった口から最初に出るのは、大好きだったあの人の名前
名前を呼び続け再び泣いた、どうしてこんな事になってしまったのか?

「やれやれ…ココで待っていたら、大物が引っかかると思ったのに、まぁいいかな?」

不意に響き渡るのは、低い低い男物の声、しかし姿は見えない
目を見開いた少女は、枷を填められたままの身体を縮め、ただガタガタ震える
また違う男がやってきた、きっと、惨めな自分を痛めつけ苦しめる為に

「そんなに震えなくていいぜ、お嬢ちゃん、俺と取引をしようじゃないか?」

少女の目の前から、石敷きの床から、ぼわんと派手な煙りが上がると、
唐突に現れるのは、東洋風の衣装を身に纏った、2m強いの不自然に細長い人影…
いや…ソレは人では無い、その肌は青翡翠の如く碧く、ギラギラと光る目はまるで獣だ
ザンバラで、腰まで伸びた茶褐色の長髪の間からは、山羊のような角が二本覗いている

「美味しい…血と涙をありがとうよ、小さい魔女さん、俺はザムザ、青鬼のザムザ
アンタの血と涙が、絶望が、俺をココに呼んだのさ、だから取引をしようぜ…
アンタの魂と血と肉を引き替えに、どんな願いも三つ聞いてやるよ
どうせ明日は火炙りになっちまうんだろ?なら悪い話じゃないだろう?」
「あんた…悪魔???」
「そうだね、国によっては、そうとも言われるね、どうする?取引するかい?
アンタが望むなら、こんな牢獄から直ぐに連れだしてやるし、良い暮らしもさせてやる
但し望みは3つまでだ、さぁどうする?もうすぐ夜明けだ、処刑場のタイコの音が聞こえてくるだろう?
アンタ等の教えじゃ、火炙りになった者は、天国に逝けないんだろ?
このまま死んでも無駄死にだろ?大好きな人に逢えないかもしれないのに???」
「………………」

そこで映像はプツリと途切れる、ほんの少しの間、砂嵐の様な残像を残すと、
鏡面はゆっくりと、元の鏡に戻ってしまった

「悪魔召喚をしたか…あの極限状態なら、ソレもやむを得まい…」
「しかし、あのザムザとやらのやり方は、協定には違反しないのか?」
「グレーソーンと言った所ではあるが…完全な協定違反とは言い切れぬであろう」

ざわつく魔物達の中央で、亡者の女王は、尚を立ちあがる事が出来ない
あの子が…私の自害のせいで、あんなに酷い目にあっただなんて
しかも…神職に近い身分でありながら、禁じられた悪魔召喚をしてしまうなんて

これはあの子の罪ではない、コレは全て私の罪ではないか

死んでしまえば、全てから解放されて、楽に成れると思っていた
名ばかりの王族、その勤めから逃れられると思っていた、でも違っていたのだ

何が潔白だ、何が崇高だと言うのだ…
都合の良い時だけ、高貴な身分であると、思い上がっていた自分が恥ずかしい
私はただ…背負うべき【負】を他者に押しつけただけだ
何も解らない、何も悪く無い、何の後ろ盾も味方も居ない、不運なあの子に

自分の価値を…他者が私を利用する場合のソレを、完全に見誤っていた
ソレに付随する責任の重さは、私が権力を望む、望まない、など関係無いのだ
王族に生まれたからには、背負わねばならぬ、責務の全てを放りだし
最悪なカタチで、あの子に背負わせただけだ…ただソレだけだったのだ

ガクガクと震え嗚咽する彼女に、裁判官は更に畳みかける

「アンタの時間軸は、切れてしまった後の出来事だ…残された者が勝手にしでかした事、
冥府の裁判では、そう弁明する事も出来るが…そうは思えないよな?お嬢ちゃん?」
「はい…あの子は、あの子は、この後どうなるのですか?」
「普通だったら…悪魔に魂を喰われて終わりだが、
多分あの娘は、アンタの前に現れるだろう…アンタが地獄にある限り」

コレは半分俺の勘みたいなモノで、確実とは言えないけれどな
此方を探る様な目を向けながら、そう付け加える裁判官を前に、私は言い放つ

「罰を…私に相応しい罰を与えて下さい、あの子ともう一度逢う為に
あの子をココで、地獄で待ち続けていられる様に………」

願い事は三つまでだ…と、あの子に取り憑いた悪魔は言った
ならば…ソレを使い切ってしまう前に、彼女を止める事も出来るのでしょうか?
彼女を神の御手に、戻す事も出来るのでしょうか?でなければ…あまりにも哀れだ…
彼女は、何の為にこの世に生まれたと言うのでしょうか?

一気にまくしたてる私の問いに、裁判官も他の魔物達も、答えてはくれなかった
しかし…彼女を待ち続ける事、もう一度逢う機会を与えられる事だけは認められた様だ

「皇女△△△…移送先は第七圏・第二の環・迷宮の森、刑期は追って沙汰を出す… 」

打ち鳴らされる木槌の音と共に、肘の下から小枝と葉が生え始め、身体が硬く動かなくなってゆく
再び遠のいてゆく意識の下で、私は、ただあの子の事だけを考えていた

再びあの子に出会えたその時は、もう絶対に離さない
例えあの子がソレを嫌がり、拒絶したとしても

こうして亡者の王女は、自殺者の森の樹木の一つとなった
何れは自分を追って、地獄に堕ちて来るであろう少女を、待ち続ける為に



続く


2〜3回じゃすまないかも…あんまり長くはしないつもりですが

ド根暗ワールド全開です、ド鬼畜和尚も、まだまだ暴走します

閻魔大王な親分が、若干?東山の金さん状態ですが…まぁ気にしないで下さい
多分?管理人の頭の中では、唯一の常識人(悪魔)なので…箸休めだと思ってください

閻魔大王府の他の職員もまた?多少は?人間に好意的なんですかね?
出なければやってられませんよね、悪魔召喚も出来ない、魂だけの人間の相手なんて
悪魔サイドとしては、何一つ美味しくは無い役職ですからね

メトシェラの方は、どうやら【性欲ツンデレ】(そういう行為を必要以上に汚らわしいモノと思うタイプ)みたいですが…
この後はどうなるんでしょうね?なんせ相手は、あのド鬼畜様ですし…
逃げ切れるワケないですから、精神的にも肉体的にも、多分グチャグチャのドロドロに

そういうのが大丈夫!むしろ大好き!と言う方のみ、続きをお楽しみください

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!