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【RX+師弟悪魔】
ソレが二つある理由 10 義眼 獣姦?表現有り注意(汗)

世話を焼かれているのか?単純に弄ばれているのか?
もう、どちらでも良くなってしまった…
多分後者の意味合いの方が、大きいのだろう

殆どど危険生物と変わらないモノを、一名では制御仕切れない代物を、
取り込んでいるのだから、有る程度の不具合や、それに伴う代償は仕方が無い…

それでも…短期間で僕は、すっかり変えられてしまった
多分これからも…それが空恐ろしくて仕方がない

早く何とかしなくては、僕の全てをあの老獪に支配されてしまう前に

「んっんぁ…やぁ…やめて…」

塗り込まれた潤滑剤が、ぬちゃぬちゃとワザと音を立てられる度に、
羞恥心で気が狂いそうになる… 痛みなんてどうでもいいから、
塗らなければ良かった、今更後悔しても遅い
機械で出来た尻尾が中をまさぐり、内側から僕を限界まで追い詰める
時には自らの甲に噛みつき血を流す程に、必死で口を押さえる僕を笑うと、
生温かい舌が前も舐めあげ、しゃぶりあげ、更に僕を追い込んでゆく
嫌だ…こんな声、少しでも漏らしたら駄目だ、誰かに聴かれるなんて有り得ない

書籍が無造作に積み上げられたソコは
収集はされたものの、解析の緊急性は薄い雑書・蔵書の保管倉庫
まだ個室を持たない僕にとって、そこは一名になりたい時のお気に入りの場所だった
少し前までは…今ではココに来るのが、定期的に引き込まれるのが憂鬱でたまらない

嫌なら逃げ出せばいい…なのにあの赤い瞳で、ひとたび睨まれれば
何故か拒む事が出来ないのだ、何時も何時も…フラフラと誘われるままに、
ココに引きずり込まれれば、倒錯行為とも思えるコレを受け入れてしまう…

「可哀想に…この程度では物足りないかね?」

前をはだけられ着乱れた制服の下は…「どうせ誰も見ないんだろう?」と
無遠慮に散らされたキスマークのが、重なり合う様に散っている
時間の経った古いモノから、たった今付けられた新しいモノまで
剥かれた下半身を脚を大きく開き、小さな獣に蹂躙される僕は
まるで自慰行為に耽る雌のようだ…惨めで情けなくて
吐き気を覚える程の自己嫌悪を感じながらも、身体だけはソレを求めていた
砂漠に迷い込んだモノが、水を求めるのと同じ様に

「二足歩行のボディーも必要かね?でも…こういう背徳感も悪く無いだろう?」

何が悪く無いだ…この変態賢者が…

書庫を訪れるモノは少なくとも、鍵が掛かっているワケではない
文化局の関係者なら、誰でも自由に出入りできるのだ
そんな場所だと言うのに…御大は好んでこの場所を選ぶ

羞恥心と屈辱感に震え耐える僕を眺めるのも、悪くないと言って

「まだ業務が…今日中に片付ければ為らない仕事が…ああっ」

僅かに残った理性が、何とか行為の中断を求めるのだが
そんな訴えは聞き流されてしまう、内側をさらに抉られ追い立てられるだけだ

「駄目だね…まだ許してやらないよ、角のカタチが戻ってないだろ?
発情期なんだろ?外で問題を起こすぐらいなら、今処理した方が楽だろうに」

当分そんな気も起きないぐらい、搾り取っておかないとね…
それとも?大好きな老師に抱いてもらうかね?

そう殺し文句を囁けば、ただ翻弄されるだけだった鳶色の瞳がギラリと睨み返す

「一言でも…ただ一言でもこの事を漏らしたならば、僕は貴方を許さない…」

あの方に知られるくらいなら、例え刺し違いになっても、貴方を滅ぼすまでだ…

こんなにグチャグチャになって居るくせに、それだけは譲れないか?
強情で頑固な子だねぇ…ゼノン君も… 角の本数は違えどダイタリアンも鬼族だ
年若い鬼の発情期くらいで、評価が変わるとは思えないが、そんなに知られるのは嫌かい?
まぁ…その分?この身体を好きに弄くり回せると思えば、此方に不都合は無いがな

「ふん強情な事だね全く…泣く程悔しいのなら、早く衝動を抑える術を手に入れればいい
その眼を一名で押さえ込めるだけの魔力もね、解放されたいワリには努力が足りないよ」

くねくねと中でのたうつソレが、更に重点的に弱点を突き、抉りだす 
零れる悲鳴を楽しみながら、うっとりと僕を見上げるその視線が痛くて
ただ目をつむり耐える僕は、我ながら滑稽だ それでも与えられる刺激を
余さず拾おうとする身体が歯痒くて、涙がポタポタ落ちる

ああ…何時までもこんな事は続けられない 早く…早く…自力で何とかしなければ

※※※※※※※※※※※※※※

そう…以前は【朴念仁】と揶揄される程、蛋白だったハズだった、【行為】に関しては
義務と発情期以外は、敢えて自分からしようとは思ってなかったハズなのに
人間界で、ヨカナーンに抱かれた時からか?身体が…異様な程、快楽を恋しがり
発情期の周期スパンが、以前より短くなってしまったのだ

通常なら…以前なら【その時期】が来れば、休暇を申請して
誰とも会わない様にすれば、やり過ごせば事足りたのだが
今はそんなモノでは、どうにもならなくなってしまった

もう既存の薬物で抑える事も限界で、フラフラと場末の花街に出かけていた
そして…例の【衝動】が起こりそうになる寸前で、彼に止められた
横殴りの衝撃波で、売春宿の壁に叩きつけられ、やっと我に返れば
傷だらけで震える娼婦に、ヨカナーンが治癒魔法をかけていた

「仮にも同胞に対して、お痛がすぎるだろう?
最もコレが君の意志なら、止めはしないが…違うだろ?」

倍の代金を彼女に握らせ、部屋から追い出すと
小さな獣は、ギラギラと片目を光らせたまま僕に近づいてくる

「何時までたっても、私の忠告を聞かないからだよ…」

軽い脳震盪を起こし、壁際にへたり込む僕に乗り上げると
ゆっくりと首筋を舐めてくる 冷えた肌はその刺激にビクリと震える
ああ…身体が覚えて居る、あの時の快楽と熱さを
逃げ場も無いのに、逃げ腰な僕を見て、老獪は薄く笑う

「何故…貴方がココに?」 絞り出す声で、そう訪ねるのがやっとだ

彼の千里眼の能力は、転魔と共に失ったはずでは?

「そう…その通りなのだが、君にとっては、残念なお知らせだなゼノン
見えるんだよ、君の義眼を通して、君が今見ているその世界がね」

そのまま…床で嬲られた時は、ただ口惜しさしか感じなかった
逃げだそうとする僕を、義眼がもたらす頭痛と吐き気で、強引に押さえつけると
殆ど強姦に近いカタチで倒錯行為を強いられた、『お仕置き』だと言われて

それ以来だ…ことある事に、この倉庫に引っ張り込まれるのだ

確かに…殺してしまう前に止めてもらった事には感謝するが
これでは脅迫と一緒ではないか…しかも僕の視界が向こうに筒抜けだなんて
予想もしなかった事態に、動揺する僕を余所に、御大の方は特に何も感じて居ないらしい、

ソレ意外は、過度に僕の私生活に干渉するワケでもなく
変わらず勝手気ままに、文化局内を彷徨き蔵書を漁っている

最近は当然の様に老師の研究室に住み着き、電子工学の文書を読み耽っている
研究室とは続間の局長助手の詰所からは、嫌でもその姿が見えるのだが
僕は気が気ではない、常に見張られている…そんな状況に

さらにタチが悪い事に、義眼に慣れる為の訓練と称して
勝手に義眼が吸収する情報量を、変えられてしまう事も…

初めてコレを装着した【あの時】の様に、無様に倒れたりはしないのだが

片目を押さえ呻き、脂汗を流す僕の姿は、ココでは日常茶飯事になってしまい
他の助手達も気の毒そうに、僕の背を撫でてくれたり
敢えて気がつかないふりをしてくれる始末 そんな時に目を上げれば
必ずヨカナーンが、ニヤニヤと笑いながら此方を見ている

転魔により元の群青から、深紅に染まった片目を光らせて

望んだ事とは言え、とんでもないモノに魅入られた…
否、取り憑かれた…と言った方が適切か?

弄ばれている…完全に、僕は暇つぶしのオモチャじゃない
口に出してソレを言うのは、負けた事と一緒だ…
僕もただ睨にかえすダケなのだが、それすらも彼を喜ばせているだけなのだろうか?

※※※※※※※※※※※※※※

そんな日常の間にも…他にもやらなければ為らない事は山積している
とうとう大魔王宮から、呼び出しが掛かってしまった

偶発的な事態だったとは言え、文化局の暴走は目に余る
『神の目』が奪われた事による、天界との一悶着があるのでは?
内政官と軍部上層部は、当然の様に考えるのだが

ソレを大義名分に、天界が攻め込んでくる様子が無い 気味が悪い程に

「納得のゆく説明をせよ」と、呼び出さるのも当たり前だ

諸侯と豪族・貴族達が居並ぶ謁見の間の中央に、用意された台の上に、
猫の身体のままの彼をそっと置いて、僕はその少し後ろに平伏する、

これでは…まるで裁判を受ける、罪人の様ではないか

ところが当事者は…非難囂々の怒号の中、直接大魔王に拝謁する事になっても、
ヨカナーンは少しもひるまない、頸の男は涼しい顔で答える

「ああ…確かに私は【神の目】だった、正確にはその一部だな
だが同時に神にとって【不要な部分】でもあるからね」

見えすぎる視覚の一部を、自分の分身に移植した…ただソレだけの存在
視覚だけでは無く、全ての余剰する感覚を、部分的に押しつけた【分身】が存在する
ソレが神の最初の部下であり、【賢者】と呼ばれる【特殊な天使】だと言う

「私達は神が、神である為に、切り捨てた余り物のパーツだ
ソレを失った事に、ケチなどつけては来ないだろう?流石にあの男でも
ふむ…魔界に恭順した証に、天界の情報を寄越せ?言い分は最もだが
流石にソイツは漏らせないな、【理】の反するからねぇ」

付き添いでついて来た僕の方が、ハラハラするばかりの尊大で無礼な物言い
どうして彼は反感を買うような、言い方しか出来ないのか?

例え自ら堕天したと言っても、この様な者は野放しに出来ない
即刻処分いたしましょうと、口々に進言する閣僚達に
玉座に座ったままの大魔王は、左手を挙げて発言を制止する

「賢者殿…そこに控えるゼノンの報告によると、かつての貴方は、
情報操作の役目を負い、何処にでも出入りする事が可能だったとか
それ故に私達は、貴方がた【賢者】の存在を正確に把握出来なかった
だが…それだけの能力があるならば、この魔界の機密情報の全てを
天界に軍部にもたらす事も出来たはず、しかし度重なる戦闘で
その様な機密が漏れた形跡は無い様に感じる、ソレは何故か?
それとも全てを知った上で、天界は我らを愚弄しているのか?」

ザワザワとざわつく貴族達を前に、ヨカナーンは平然と答える

「その心配は杞憂と言うものだ、魔界を統べる王よ
我ら賢者は【理】から外れた者、外れた者は天界軍にも魔界軍にも情報は渡さない
【理】を守り調整する事こそ我らの役目、故に直接的に干渉する事は許されぬ
それは魔界の情報であっても、人間界のソレでも変わる事は無い」

シンと静まりかえる謁見の間に、豪快な大魔王の笑い声が響く

「なるほど…貴方の役割はあくまでも中立【傍観者】と言う事か
【理】からはみ出してしまった情報を、軌道修正するための
お優しい事にも、此方の情報を流さないで頂いた事には、感謝いたしますよ
そして自ら堕天される路を選んだ貴方を、排除する権限を私は持たない
ようこそ魔界に…歓迎いたしますよ、こちらの水がお体に合えば良いのだが」

そんな勝手な言い分はまかり通らないっ 大魔王様っ御考え直しをっ
口々にそう言う叫ぶ閣僚に、再び大魔王の喝が入る

「これ以上この件に関して、意見・反発する事はまかり成らぬ、
賢者殿は正式に魔界の客人となられた、御身の預かりは文化局で
それで宜しいですかな?ヨカナーン殿?」

「ああ…そちらで結構だ、元よりソコの若い鬼と契約した身の上だ
仮に王の召還があったとしても、彼から離れるワケにはいかぬのでな」

「私も情報漏洩までは、強要いたしませぬが…
貴方とは、今一度じっくり話がしてみたい…場をまた改めて
これにて、本日の軍議及び客人の詮議は終了するっ 解散!」

打ち鳴らされる【王杖】の音、逆らえば謀反とも取られる、大魔王の評決の印
絶対者の最終決定事項に、それ以上食い下がる者は居ない
渋い顔をしながらも、解散してゆく貴族達の群れを見送りながら
安堵の溜息を漏らす僕を余所に、ヨカナーンはぴょこんと台を飛び降りてくる

「さて…帰るかゼノン、魔界の王は思ったより堅物では無いのだな」
「貴方という方は、もう少し敵を作らない物言いが出来ないのですか?」

場合によっては僕だけじゃなくて、文化局にもダイタリアン様にも迷惑が…

「ああ…その心配は無いだろう?だからダイタリアンも着いてこなかったろうに?」

言われてみれば…そう言えば何故?

「君の人間界行きを許したのは、ダイタリアンだけじゃなくて王もだろ?
もし私が災いなら、災いの持ち込みを許してしまった罪は、王にも降りかかる
そういう事だ…だから多少の事では処分はされない、そしてイイ機会でもある
変に取り繕うより真実を告げてやればいい、不安と不満を持つ者にはな…」

頭でっかちな学問も大切だが、少しはそういう腹の探り合いも学ばないとね

そう言いながらも珍しくお疲れのご様子だ、僕はそっとヨカナーンの身体を抱き上げる

「なんだい…ガラじゃないだろう気色悪い、少しは老体をいたわる気にでもなったかね」
「流石にお疲れでしょう?早く帰りましょう」

実際は僕の神経の方が、どれだけすり減った事か…
圧倒的に悪い立場で陛下を相手にしても、少しも揺るがない精神力
若輩の僕が何をしても叶わないのは、当然なのかもしれない
とにかく今は、早く帰ってゆっくりしたかった、安心出来る文化局に

「お前が、文化局のゼノンか?」

謁見の間から伸びる柱の廊下を、足早に急ぐ僕の前に
ユラリと長身の悪魔が現れる、特徴的な軍服は情報局の局員?
蝙蝠の様な赤い紋は、確か火炎系悪魔の名家の子息のハズ
だが咄嗟に名前が出てこない、学問以外の事には、興味が無かった事も考え物だ

「先に言っておくが、俺は陛下の評決に納得したワケじゃないからな」

元情報操作専門の工作員なんざ、信用しろって方が土台無理な話だ
必ずそのクソ親父の尻尾を掴んで、化けの皮を剥いでやる

歳の頃合いは僕と同じくらいか?火炎系悪魔特有の灼熱の波動が
好戦的で解りやすい殺意が、ビリビリと伝わってくる
そうコレが大半の悪魔の本音だ、不敬罪を恐れるが故に沈黙しただけだ

仮にも大魔王宮内、まだ陛下の耳にその言葉が入ってしまうかもしれない御前で
高らかにそう宣言するとは…この悪魔の若気の至りも相当なモノだ

「情報局…特殊2課、エースだったかな?若手ながら目立つ悪魔だからな…君も
君は気がついていなかったかもしれないが、次元の間でよくすれ違ったものだよ」

僕の腕の中で、飄々とヨカナーンが答える
名乗る前に勝手に身分を明かされ、さらに怒気をふくんだ波動が上がる

「やっぱり気に入らないな、その親父は…何なら今すぐ燃やしてやろうか?」

「出来るモノならやってみろ小僧、情報局の面目が丸つぶれなのは解るがな
だが…王宮での暗殺行為はお前にとっても得策じゃないな?余所でやりたまえ
何時でも相手になってやるぞ、この老賢者の足をすくい上げる術を持つのならばな
それと…情報操作役としては熱くなりすぎだ、表に怒りが出る様ではまだまだ…」

ああ…だからどうして、そういう言い方しか出来ないんだ、この男は

だがヨカナーンを消されてしまっては、僕の義眼も役にたたなくなる
売り言葉に・買い言葉の喧嘩に巻き込まれるのは気がすすまないが
契約を交わした以上、ヨカナーンを保護する義務が僕にはある

王宮内での交戦は、各局の責任問題にもなる、逃げる時間くらいは稼げるか?
咄嗟に構築するのは、対火炎系攻撃に備えた防御壁
大地の力も借りた防御魔法に、強固な結界に守られたハズの王宮の床が震え
張り詰めた空気もピキピキと振動する 鬼の土属性魔族最強の魔力も伊達じゃない

物理的な攻撃を得意とする戦闘系が多い為、術者としての鬼属は軽く見られガチだが
この若い軍魔もそうなのだろう、ヒューと口笛を吹くと
かなり意外そうな目で僕を見る、マトモにぶつかり合えば力は五分五分
多分ソレが解ったのだろう、苦笑いすると、その右手に集まっていた火炎魔法を解除する

「止めだ止めだ、ココで事を構える程、俺も馬鹿じゃないからな」

拍子抜けな程、あっさりと向こうが折れる、不満タラタラの表情ではあるが
戦闘モードの魔力波動が、急速に収まってゆくのを確認すると
僕も結界魔法を解除する、遠巻きに見ていた衛兵達が安堵の溜息を漏らした

「今日はウチの局長の使いで来た、詮議に参加したのはそのついでだ
コレを文化局に返却する様にとの事だ、宜しく頼んだぜ…」

ポケットから取り出され投げ渡されたのは、10cm大の円筒状の透明なカプセル
厳重に封印を施されたソレの中で、小さく収縮した魂がぺかぺかと光っていた
コレはこの波動は…僕の帰還と一緒に地獄に堕ちてしまった天使の魂?

「肉体は既にバラされていたけどな、魂の提出だけはウチが要請して、調査済みだ
そのクソ親父の件も確認したかったからな、なかなか面白いヤツだったぜ
天使にしちゃ珍しいタイプで、尋問しがいがあったがな 何に使うつもりか知らねぇが…
俺だったら殺処分するけどな…その状態では何も出来なくても、禍根になるぞソイツは」

まぁ…人間界での騒ぎを思い出せば、ソレも当然だろう
カプセルをこねくり回しながら、ヨカナーンはニヤニヤと笑う

「お遣い御苦労だったねぇ坊や、お駄賃は何がいいかね?」
「駄賃?そうだなソレで、アンタが問題を起こしてくれる事か?
そうすれば、誰にも憚れる事なく、アンタを焼き払う事が出来る…」

ツカツカと近づいてきた彼は、腕の中のヨカナーンを見下ろすと
これ以上ないくらい凶悪な笑みを漏らす 笑い返す老獪のソレも元天使とは思えない

僕はゾクリとする殺意と殺気を感じながら俯き、ぎゅっと腕の中のモノを抱きしめる

不意に顎下に差し込まれた指に、ぐっと顔を上げられる
交錯するする深緑と鳶色の目、身長差からやや見下ろされるカタチになるソレは
何かを観察されるように鋭く、僕は少しだけ面食らう 何?僕にまで何かあるの?

「お前変わったな…悪目立ちしていた仕官学校時代は、もっと尖っていた
少なくても人間界に行くまではな…そのクソ親父に懐柔されて居ないだろうな?」

鬼族がオクテなのは理解出来るが、キスマークの隠し方くらいちゃんと習っておけ

ぼつりとそう呟かれ真っ赤になる僕を、彼は低く笑う
外には絶対に見えない様に、念入りに治癒魔法をかけていたはずなのに…どうして

「大丈夫だ見えてねーよ、カマかけたダケだ ちょっとした意趣返しだな
契約上お前がその親父の【監視者】だ、もっとビシッとしてもらわねぇと困る
せっかく手に入れた千里眼だろ? 場合によっては協力を頼む事もあるかもしれない
その時は宜しく頼むわ、正式に色々な…」

最もそんな、【危なっかしいモノ】に頼らなくてもいいようなシステムも、
すぐに開発してやるさ…情報局サイドでもな… 学者の好き勝手にはさせないからな

等と好き勝手な事を言い放ち、ヒラヒラと手を振りながら遠ざかってゆくその背中に
嫌なヤツだ…と軽い苛立ちを覚えたが、ヨカナーンの評価は違う様だ

「なかなかイイ観察力だ、味方にするなら、ああいうタイプが良いぞ
敵にするには厄介だがね…文化局にはあまり居ないタイプだろうに?」
「あんな好戦的で、礼儀知らずな者がですか?」
「内に隠されるよりずっといいだろう?まぁこれから、どう化けるかは解らないがね」

転魔前より目は悪くなったが、個を見極める目はまだ有るつもりだがね

宮殿内で安易に戦闘モードに入る様な輩に、そんな価値があるのだろうか?
幾分納得出来ないまま…フッと別な事に気がつく

この老獪にとって、僕自身は一体何なのだろうか?

ダイタリアン様の弟子だったから、サローメの捨て身の行動があったからか?
二つの理由だけでは…どうにもその突飛な行為に説明がつかない
突然眼球を渡してもいいと、堕天してもいいと考えたのは何故なのか?

元々天界における彼の立場は、アンバランスな物だったとしても
その程度の事でこの老獪が、立場を変えよう等と思うものだろうか
自分の霊体を切り裂き、力の一部を犠牲にしてまで

更にワザワザ義眼の制御まで、手伝ってくれる意図が理解出来ないのだ

確かに表面上は協力者ではあるが、完全に弄ばれている自分…
僕との接触も契約に至った経緯も、単なるきっかけすぎない
転魔するための?あるいは、単純に神と決別するための?

だから相手は、【僕】じゃなくても良かったハズだ
ダイタリアン様の弟子に、他の鬼族が居たらの話だが

僕に特別な感情があるとは思わない、サローメには?多少あるみたいだが?

何を考えて居るのかさっぱり解らない…とその機械の背を撫でると
聞き慣れた細い機械音と共に、左目の奥がまたズキリと脈打つ
小さく洩れる僕の悲鳴に、ヨカナーンは振り返らずに言い放つ

「王宮で魔力を解放しそうになったのは、君も同罪だなゼノン?」

余計な事を考える暇があったら、少しは自重したまえ…ダイタリアンの為に

「はい…申し訳ありません…」

反論したい事は山程あるが、実質上かなわない今は、従った方がいいのだろう

「随分素直になったものだな、まぁいい傾向だろう
疲れている所に申し訳ないが、帰りに立ち寄って欲しい場所がある
コレが返却された以上、君のお守りばかりをしているワケにもいかないからね」

ニヤリと振り返る顔は何時もの顔で、少しも悪びれた様子もない
鈍い鈍痛の余韻に汗をかきながら、僕は頷く事しか出来なかった

立ち寄るって…一体何処に?

どうせロクでも無い場所なのだろう、直感的そう思うのもまた仕方がない



続く

ちょっとマニアック路線になりすぎ?と迷ってる内に時間が…
UPが遅れてしまって申し訳ないです
そして全国の和尚衆の皆様…本当にスミマセンです(>_<)
反省はかなりしていますですm(_ _)m 多分?


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