徹×彩
ある休みの日、彩はいつもの様に徹の家でダラダラしていた。
徹は彩から離れた所で椅子に座り何かをしているようで背中しか見えない。気がつけば彩がソファでゴロゴロし始めて1時間は経つ。急に物寂しさを感じたのだ。
「とおるー、暇!」
徹の背中へ抱き着いて頭をすり付ける。
「構って。てゆーか何してるの?」
徹は彩の方へ振り返り抱きよせた。
「報告書」
「へー、珍し……って…ッ!」
振り返った徹と向き合った彩は目を見張った。
徹はメガネをかけていた。黒縁の少し大きめにフレームをとられたファッショングラスに近いやつだ。
「徹……メガネ!?」
その迫力に思わずしり込みしてしまう。キラキラと目を輝かせて頬を赤らめる彩のその表情は何とも珍しく徹は魅入ってしまった。逆に見つめられてしまうので彩は顔を真っ赤にしてしまう。
「たまにね。彩メガネ好きなの?」
「…………引いた?」
「いや。興奮してる彩、珍しいなって思って」
ぽーっと返事も曖昧に徹を見つめたまま動かない彩。漸く彩が動き出した。ふるふると何かを我慢しているような仕草をし、口を開く。
「キスしていい……?」
頬を赤らめ控えめに断らないでと伝わってくる聞き方に徹はグッときて即答する。
「いいよ」
「ん…」
積極的な彩のキスを受けて堪らず舌を入れようと口を開いたそのとき、その隙間に彩の舌が入り込んできた。彩から絡んでくる舌。荒い息遣い。ゆっくりと首後ろに絡ませてくる腕。その全てが徹にとってツボだった。彩の舌を絡めとり根元まで貪る。
漸く唇が離れぐったりしている彩を徹の膝の上に乗せる。このまま事に進むならメガネは邪魔だと外そうとしたとき、腕をガッと彩に捕まれた。
「彩?」
「外す、の?」
外さないでって彩からの強い視線で伝わってくる。徹は苦笑いを浮かべ何もせず手を下ろした。
「じゃあ外さない」
すると彩はまたうっとりとした表情を浮かべて言った。
「とおる、かっこいい…」
「……」
――そのカッコイイは8割“メガネをかけている俺”になんだろうな…
――ま、メガネかけただけで彩が積極的になるならいいか。
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