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朝(時計は5時を指している)目が覚めると同じベッドで寝ているくーたんが擦り寄ってきた。可愛い。この無防備の表情なんて見れるのは限られた人だけだ。優越感に浸ると共にこの黒髪をわしゃわしゃしたいが寝ているのを邪魔しちゃ駄目だ。
起こさないようにベッドから出てリビングのキッチンカウンターに置いてあるノートパソコンを立ち上げた。この待ち時間はコーヒーの準備に丁度いい。
毎朝恒例の情報集めをゆっくりと始める。
マウスのクリック音とキーボードの音が響く。
パソコン画面に集中していた頃、布が擦れる音がした。
「あきら……」
顔を上げる。あの低血圧朝は機嫌悪いくーたんが一人で起きてくるなんて。
毛布を頭から被って幽霊みたいにしてリビングの入り口で立ち止まっていた。
「起きたら、居なくて……」
ゆっくりと近づいてくる。寝ぼけているのか。
「んーごめんねぇ、仕事ー」
椅子に座った俺の横に来たくーたんがパソコン画面を覗き込む。揺れる眼前の紺色の髪があまりに魅力的で手にとった。するすると指を抜ける髪が物惜しく感じさせる。
「ひとり……」
「ごめん。ひとりは嫌だったよねぇ、寂しかった?よしよし」
なでなでと頭を撫でると素直に頷くくーたん。
「うん……」
か細い声、そして俺の服の裾を掴んで俯く仕草に一撃で殺られた。
「ぐはっっ!くくくーたんっ!?」
可愛すぎて殺られた。
こんなに俺が言うことに素直だなんて、珍しい!デレ期か!?デレ期なのか!?
手出しちゃうよ!?いいの?いいの!?襲っちゃうよ!?
「……」
なんとかこころ落ち着かせて様子を伺うようにくーたんの腰に腕を回した。
そしてくーたんの首後ろに手を添えて俺に近づかせる。
キッチンカウンターの椅子は高いから、俺より小さなくーたんと座ったままでも目線は同じぐらいになる。
ゆっくりと触れる唇。当てがうだけで、くーたんを見た。
昔、くーたんが可愛すぎてキスをしようとしたら殺されかけた。いや、冗談じゃなくて命を。
くーたんは恥ずかしがり屋もいいとこで、そういうことを俺から一方的にしたら頗る機嫌が悪くなりご飯を俺の分作ってくれなくなる。だから焦らずゆっくりとタイミングを図るしかないのだ。
舌でくーたんの唇をなぞると、ビクついて唇を開いた。そこに舌を滑り込ませてくーたんのに絡ませる。
「んっ、ぁふっ、ぁあ……」
くーたんの甘い声。滅多に聞けないそれに興奮して抑えが効かなかった。
薄く開いた瞳が捉えたのは、気持ち良さそうな表情、上がる呼吸、一生懸命息をする様、飲み込みきれなかった唾液が口端を垂れた、そんな俺の理性をぼっきぼき折ってくれるものだった。
唇を離すと重力に引かれ俺の肩に顔を埋めた。落ちそうな体を俺の脚の上に乗せる。
もうここまでくれば天国だ。俺のやりたいあーんなことやこーんなこと、なんでもできる!
そもそもこの子は痛感は耐えられるが快楽に滅法弱い。それに溺れたくーたんが俺に力で勝てた試しがない。
俺の腹辺りに寄せた下半身が小さく主張していることが何よりの証拠だ。
落ちた毛布。
くーたんのスウェットの中に手を滑り込ませた。
「んっ……」
あんま可愛い声出さないで。
たまらん。
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