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「起きてぇ彩ぁー!」

ドンドンと腰辺りにきた衝動でハッと目が覚めた。

目を見開いた。なんと露影さんが俺の目の前に、ありえないだろってぐらい近くにいた。2秒経ってベッドの上に居ることと、露影さんは俺の上に馬乗りになって覗き込んで影を作っているんだと気づく。

「………!?」

「おーはよぉー」

「なっ、なに!?なにして!?」

「間男になろうかとぉー」

まおとこ……?
俺の困惑の表情に、かわいーだのちゅーしたいだの言い始め鳥肌がたつ。

「離れて、ください!てゆーかまおとこって何ですか!?」

「えーやだ。敬語使わないでよぉ!今はぁ俺ら二人だけじゃぁーん」

確かに部屋にふたりだけだ。見覚えのない高級そうな部屋。

暴れるが露影さんは全く動じずにニヤリと口角を上げる。

暴れる俺の両手首を片手で掴むと頭上のシーツに押し付けられ身動きがとれなくなってしまった。そんな俺の輪郭を空いた手でゆっくりとなぞっていく。

「たとえばさぁ……」

ゾクリと寒気が走る。陰る表情は何か企んでいるような、恐怖に似た物を感じさせたから。

「俺がここでぇ彩を監禁したらぁ……どうする?」

「監っ……っ?」

「嫌?」

口にするよりも先にコクコクと激しく頷いて拒否の意思を主張する。

「そっかぁー……残念…」

意味のわからない事を言い出す露影さん。だが俺の頷きは止まらない。

「ねぇ、本当に神庭崎 徹なんかのどこがいいのぉ?」

「……っ!」

「"今は言うな空気読めっ!"って気持ぃ?悪いけど俺はぁそんなに優しくないからさぁ」

段々腕にかけられる重みが減りスルリと抜けられた。

「本当に偉いよぉ。彩。誘拐されて暴行された。それを助けに来てくれた恋人に安堵するが、それに浸る暇もなく、恋人が自分の為に無駄な殺生をさせてしまったことに罪悪感を感じる」

露影さんの説明的な口調の言葉を少し遅れて理解していく。

なぜ露影さんが知っているのか。そういえばゲートで露影さんは俺に"がんばった、偉い"と言った。露影さんは何を知っているのか。

「誘拐されたとき神庭崎 徹が彩を守るために今まで多少の無理をしていたことを知った。それに加え今回の罪悪感のこと。そんなことだけで神庭崎 徹を苦しめてしまっていると思い込む」
思い込む、いやそれは違う。思い込むんじゃない。徹が無理をしていたのは事実なんだ。俺といたら徹に無駄な苦労を、不幸にしてしまうんだ。

「少しの時間で彩なりの解決策を見つけ出した。"愛する恋人に苦労をかけてしまう自分は彼から離れるべきだ"と………」

それが一番じゃないか。

「この選択は良くなかったねぇ。最悪の方向へ進んでるよぉ……だけどそんな中褒める事は、俺の所へ逃げてきたことかなぁ」

最悪の方向へって……俺が徹の元を離れれば全てが上手くいくはず。

だってそしたら徹の弱点は俺じゃなくなり、俺は弱味として狙われ無くなるから徹は無理をしなくでよくなる。合ってるじゃないか。

「神庭崎 徹の性格、というかあの状況からして神庭崎 徹は彩を求め続ける。だから確実に逃げれる所に逃げないといけない。【ill will】にいれば見つかる。彩には過度の心配性な白木 宵千には迷惑かけられない。自分の家に居ても見つかってしまう。残るは【46】、露影 彰の所だ。困惑する頭で一瞬で判断した。凄いねぇ」

そして露影さんはにへらぁと笑うと言った。

「あっそうそう。いま全く関係ない話なんだけどさぁ。俺と彩は兄弟だから」

「…………は?」

本当にいま全く関係ない衝撃の事実。

てか露影さん俺のこと名前呼びしていることに気がついた。


「だからぁ言ったでしょぉ?彩と俺はぁ彩が思う以上に繋がってるってぇ」

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あきゅろす。
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