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「今生 彩はなんで【ill will】に入ったのぉ?」

建物を出たところで唐突に聞かれる。

「…なんとなくです」

「んなわけないでしょぉー。だってぇ組織はLv.貮以上の者しか入れない、でしょ?言わないとここ追い出すよぉ」

少し考えてそんなに俺にとって重いことでもないな、と結論に至る。追い出されるぐらいなら言った方がましだ。

「……Lv.惨の、ましてや親無しなんて組織が保護してくれる訳もない。俺みたいな貧民窟の出はその辛さがよくわかるから……組織内から変えられたら、他の貧民窟の奴らが少しは楽になれるように」

言いきって露影さんの表情を伺えば何か考え込んでいる様子で、それは直ぐに笑顔に変わる。

「今日から俺は今生 彩に従いますっ!」

「……………は?」

なぜ今の経緯でそうなるのか、だが露影さんは冗談を言ったような表情はしてない。

「どどどうしてそうなるんですか!?」

混乱する俺に露影さんは続ける。

「ついで言うとぉ、俺は今生 彩の事を大切にしたいと思ってまぁす」

「………………は?」

「ねぇ、どぉしてもアイツじゃなきゃダメ?」

露影さんは俺の腰に手をまわして、足を俺の内腿に擦り寄せてくる。

「神庭崎 徹…今生 彩はあんな女癖が悪い奴のどこがいいのかなぁ?」

「っ!」

みみみ耳朶を噛まれたっ!
それからゆっくりと息を吹きかけられビクッと反応してしまう。

徹の女癖が悪いのは俺と出会う前で、顔がよく仕事も出来るとなれば女が放っておく訳もなく、徹曰く"仕方なく相手してた"らしい。まぁそれは俺と出会ったころには飽きていたらしく、今はそんなことは全く無い。

「あーかわいぃー、最高ぉ!かわいすぎるー!神庭崎 徹にはもったいないよぉー」

「やっ、めろっ!」

「わぁ反抗期ー」

「ふ、ふざけるのもいい加減にしてくださいっ!」

露影さんを押し退けて距離をあけるがそれを許さない彼はまた体を引っ付けてきた。

「全然ふざけてないんだけどなぁー…今生 彩のことはなぁんでも、知ってるからさぁ」

「え?」

「ねぇキスしていい?」

「は、はあ゛っ!?」

いい加減敬語が使えなくなった―――。

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