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朝、彩は急いだおかげでなんとか間に合い事務課へ出勤した。いつものように仕事をし、お昼になったころ、事務課がいつもと違ったのは彩の先輩達が異様に騒がしかったからだ。楽しそうに噂話をしている。

「どうしたんですか?」

「彩、彩。それがね大変なの!」

どこかしら先輩は喜んでいるように見える。こういう類いの噂話が大好きなんだろう。仕事のときより三割増しで生き生きしている。

「神庭崎さんがキレたんだって!」

「徹がキレた?」

「そう!ほら、このごろなんとかって奴のグループが勢力上げてきたじゃない?そいつらが意気がって神庭崎さんを狙い始めてたの知ってる?」

「……」

「知らないの……ま、まぁ!で、グループで執行部いる自体チキンなのに、神庭崎くんに何回も手を出したから遂にキレて今日の午前中、神庭崎くんそいつら潰しちゃったんだって。一人で」

「一人で!?徹が!?」

「そう。けど、キレた“モノ”が大変なんじゃなくてキレた“こと”が大変なの!」

「?」

先輩の言うことが分からないといった感じに彩は頭を傾げる。それに先輩は、彩ちゃん可愛い!なんてマリーみたいなことを言う。彩の可愛さは事務課公認らしい。

「神庭崎さんはね、簡単に言えば無関心なの。欲が無い?とも言えるんだけど、だからキレたなんて聞いたこともないの」

マリーが事務課を出掛けていていないおかげで彩彩、五月蝿くなくて話が進む。

「どうして徹はキレたんですか?」

「確か、爆弾しかけられたんでしょ」

「え?」

「おい、誰かいないのかよー」

え、と彩が驚いて詳細を聞こうとしたが受付で呼ばれ仕事に追われてしまう彩だった。




「ってそういえば彩ちゃん神庭崎さんに片付け誘われて家に…」

「!?ってことは爆弾に会ったの!?」

「た、たぶん」

「…ねぇ、神庭崎くんって今までこういう爆弾とか無視してたじゃん、めんどくさいって。それなのに今回はやる気が出てるのってなんでだと思う?」

「いつもと違うって言えば…」

「……うん、彩ちゃん」

「うん。潰しにかかったのって絶対彩ちゃんの為だよね。次狙われない為に」

「……」

「いいなぁ。あたしもあんな風に守られたい」

「あんたじゃ守られる前に潰すでしょ。Lv.壹がなに可愛い子ぶってんの」

「……てかあの二人なんかお似合い」

「あたしもそれ思う」

当事者の二人を無視して話は進んでいくのだった。

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