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朝、【ill will】3階・事務課。

この時間のこの場所はとてつもなく混む。

それは執行部の彼らが己の仕事を選び自身のIDに記録するという面倒くさい行為を仕事をする度しなければならない場所だからである。


そんな雑踏の中に神庭崎 徹もいた。


(うるさい……)

彼がこうやってここに来ることは珍しいことなのだ。Lv.零の徹の仕事は報酬はそこら辺の奴とは桁が違う。なので仕事は月一、酷いときは半年に一度で充分暮らしていける。つまり仕事をしない彼は事務課にIDを持って行く機会がほとんど無いという訳だ。実際いまも彼がここに来たのは7ヶ月ぶりという快挙だ。

《次の方、どうぞー》

事務課の片隅にある腹下辺りまで高さのある四角い端末機が機械音で徹に呼びかけた。事務課でもこの辺りが混雑の原因である。この端末機でIDに情報を写すのだ。

徹の指がパネルをタッチして仕事一覧を呼び出す。気に入った仕事を選び、IDを端末機に入れた。いつもなら情報をIDへ移し事務課を後にするのだが、今日は違った。

《ぴーぴー、端末では処理出来ません、IDをお持ちになり受付へ、IDをお持ちになり受付へ》

ぺっと吐き出されたIDを渋々受け取り重い足取りで受付へ向かった。

(めんどくさ……)


幸いな事に受付はさほど混んでおらず直ぐに徹の番はきた。IDを受付に渡ししばらく待つ。


「あー、あんた報告書出さなすぎだよ。情報受け入れる上限越えてる」

「報告書……」

受付の人にそう言われ、この前した仕事は報告書をだした筈だと思い起こす。

「うん……うわっ5個もあんじゃん、ちゃんと出してもらわないと困るのは処理する事務課なんだけど」

(あ、そーいや、忘れてた…ずっと前のやつめんどくさくて出してなかったな…)

「えーと…神庭崎、徹?とりあえず溜まった報告書を書いてここに出さないと次の仕事はできないです!」

突きつけられたIDを受け取らずただ見つめるだけの徹。

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あきゅろす。
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