12
【side八重 葎】
――こんなに心浮いたことはあっただろうか!
顔の筋肉が緩んで仕方ない。
いつもの様に気分が不意に落ちてしまっても直ぐに沸き上がるモチベーションはとんでもない幸福感を連れ込んでくる。
足どりは軽く、次の展開を早く知りたいって気持ちが押していく。
なんだか動かないのはむずむずして、適当に歩きだす。
徹が彩ちゃんの元に着く前に俺が行ったら、楽しいだろうな。
そうしたいのは山々なんだけど、残念なことに彩ちゃんの場所知らないし、徹の方が早く移動できる。
まだ駒は残っているかな。徹に殆ど壊されただろうけど。
徹へ残りをやって、その前に彩ちゃんがどこにいるか聞かないと。
エントランスホールの近くを通り過ぎたとき、静かだと思っていた中庭が騒がしい……気がした。
もしかしたら徹か、彩ちゃんかもしれない。まだ動ける奴に連絡をするのを一先ず止め、そちらへ足を運んだ。進む先は、中庭になる。
この通路、徹が通ったらしい。徹がここまでするなんて少し、意外だな。イリアに言いくるめられ仕方なく始めたこの人殺し仕事を徹はどうも好きになれないらしく、無駄に人を殺さないらしい。
なんて考えてると、なんともタイミングよくお目当てのものが聞こえた。
「おいどうした!?彩っ?彩っ!?」
俺は運がよかったのか、なんて考えながらスキップを踏んでいた。
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