過去1
「……おかえり」
「ただいま」
ベッドに入り瞼を閉じて深い眠りにつく寸前、寝室の扉が開いて人が入ってきた。目を開けなくても感じる恋人の雰囲気。声をかければ直ぐに返事が帰ってきた。
「触っていい?」
「ん……」
「ちゃんと風呂入ったから」
まだ暖かい手が俺の頬に触れる。さらに眠気を誘う。
「帰ってくるの、待とうと……思って……眠くて、」
「ごめん。先に寝ててよかったのに」
「……明日、【46】に…」
「え?あっちへの出張明日から?」
「う、ん…会えなくなる…」
徹が布団の中に入ってきた。無駄にデカいベッドは二人入っても余裕だ。
「嬉しいこと言ってくれますね、彩さん」
徹の体温に自然と擦り寄った。そんな俺を優しく抱きすくめてくれる。
「あったか…」
「おやすみ、彩」
落ちていく意識の中、額にキスされたのを感じた。
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!