[携帯モード] [URL送信]



【ROLL】エントランスホール――

開け放たれた入り口を潜った先、広がった光景に目を覆いたくなった。

幾人が倒れ、血を溢れさせている。気絶していたり、ただ呻いていたり……原型を留めていなかったり。

"徹が組織【ROLL】を潰すために暴れてる"

その言葉を思い出す。この惨く目を覆いたくなる光景を徹が作ったのか。

"徹は彩の為に"

俺がとった行動が導いた結果を改めて実感した。

鉄の臭いが立ち込めて頭が痛く、見慣れない光景に目が眩むのを隣にいたくーたんが支えてくれる。くーたんには助けてもらってばっかりだ。

「……だいじょうぶ?」

聞いてくるくーたんの様子は変わらず、慣れているようだ。頷くとくーたんは俺の手を引いて先を進む。

「こっち」

「く、くーたん解るの?」

「騒がしい」

何も聞こえないけどくーたんは指差した方をぐいぐい進み、コンクリートで囲まれた廊下をしばらく歩く。途中いろんなのを見て跨ぐことになった。走って逃げたくなる状況をなんとか耐えて、漸く開けた中庭に出た。
硝子張りの天窓から太陽の光が差し込み、中庭を照らしていた。ここにも徹が通ったであろう痕跡が幾つもあり、草木を血で濡らしていた。


「……」

くーたんが腕を強く掴み、俺の前に出た。紺色の髪が視界を狭めて良く見えなかったが、中庭の中心にある樹を挟んで向かい側にいたあれは、確かに、

「徹……っ」

血まみれの徹だった。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!