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くーたんにおんぶをされると、首に腕を回してしっかり抱きつくように言われ、その間に落ちないで、と3度ぐらい念を押された。
落ちないで、この言葉にどう移動するのか少し予想できた気がした。それを想像しただけで冷や汗が出て背筋を凍らせる。
「いくよ」
俺の返事を待たずにくーたんは数歩助走を付けグッと爪先で力み、地を蹴った。
グンッと全身に重みがかかり体験したことない辛い感覚。視界が素早く下にスクロールされていく。フワッとした、くーたんは俺をおんぶしてジャンプしたのだ。
その重力に逆らった行動は、特に首に重みが凄く痛い。
「ぎゃっ」
風を切って、あり得ない距離を飛び上がっている。驚くことに人を抱えたままジャンプしたのに今1・2階分の高さの宙にいる。
重力に従い落ちる体を止める様に壁に足をめり込ませ、再び蹴り上げた。
「――、―――っ!!?」
浮遊感から腹に違和感を感じ、叫びにならない声を喉から出し恐怖に怯える。
衝撃に呼吸も出来ないまま限界を感じたとき、浮遊感も衝撃も止まった。回りを見渡すと建物の屋上に居てくーたんは塀の縁に足をかけていた。
「くーたんやっぱ俺降り、っ!!?」
くーたんの背中は怖いと判断した俺は歩いて行こうと決心しくーたんに降りたいと伝えようとしたが、言いきる前に――というよりか言わせないように――再び飛び上がった。
塀の縁を蹴り上げ飛び上がり、隣の屋上へ着地する。飛び上がりは隣の屋上へ着地する。それを幾度となく繰り返され、死にそうになった。自分で踏ん張り立つ地面が恋しい。
慣れないこの移動だが、本当に早い。一瞬の様に過ぎていく景色の中に【ROLL】街へのゲートがあった。そう認識すると同時に歩くように立ち止まったくーたんの"着いた"の言葉が聞こえる。体が衝撃の余韻でぐわんぐわんする。
ゆっくりと背中から降ろされ、夢にまで見た地を踏んだ。笑えるほどぐらついてしまうのをくーたんは素早く支えてくれた。
目の前の建物、【ROLL】。
目的の地に侵入した。
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