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【side露影 彰】
「はぁ……」
部屋でひとり、ため息ひとつ。
「あぁ、なぁーんて優しいんでしょぉー。俺」
彩とくーたんがこの家を去ったあと、自分を褒め称えた。
やっと、やっと会えた愛しい弟とずっと一緒に居たいのに、彩自身の為に易々と神庭崎 徹に渡してしまった。
俺と、彩と、くーたんと、3人で3人だけしか入れない絶対の世界を造りたい。
それで3人でくーたんの料理いっぱい食べて、いっぱい笑って、いっぱい愛でる。
それが俺が情報屋を始めた頃からの夢だ。
キラキラと光る美しい世界。
それが生きる糧だったのに。
「あー……泣きそう……」
なんて嘆いている暇はない。
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