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Wind of Adventure
1-9
翌朝、部屋の机に再びミカエルは地図を広げた。そばには、昨晩のことを聞いていたクリスと、今朝それを知ったフェイがまじまじと地図を眺める。

「いいか、よく聴け。この街に入った時点で、オレ達は監視下に置かれている。下手な行動を起こせば、何が起こるか分からん。とにかく、町の外には出るな。そして気付かれないように見張りの連中の数と場所を把握しろ。確認次第、ここに戻れ。」
「はいはい……それで、ボクは南東地区でいいんだよね」
嫌そうに言ったあと、フェイが自分の歩く地区を指差す。地図上にある図が密集した様子からしておそらく、この街の住人が居を構える地区であるようだ。

「そして、ミカエルが森に近い北東地区。オレがこの通りのさらに奥……北西地区ってわけか」

クリスが言うと、ミカエルが頷く。そして、各々が身支度を整え始めた。クリスは鞘に収まる剣を腰に携え、ミカエルは上着を入念に確かめている。

ちなみにクリスはこれを昨夜に知ったことだが、ミカエルの持つ槍は折りたたみ式になっていて普段は上着の右袖に隠している。戦闘以外は袖の中にあるため、どうりで武器が見当たらないと思っていた。

一方、フェイは二人に比べて大した用意もなかったのか、すぐに出発できる体勢になっていた。杖は腰のケースに収まっていて、いつでも使えるようになっている。

「町の人は、この事わかってるのかなぁ……」
三人が部屋を出る前、フェイが不安そうな声で言う。その様子に、クリスもどこか確信がなさそうな声を出す。
「たぶん、気付いてないかもしれない。もしここを支配してるやつに脅されていたら、こんなに平和な風景は生まれないと思う。」
ミカエルは、何も言わなかったけれども同じことを考えていたようだ。

「……事態が悪化する前に、なんとかしなきゃな」
クリスが強く言うと、フェイもミカエルも頷く。そして、宿屋の入口でそれぞれが向かう地区へと足を運んで行った。


町の人が誰も知らない中で始まる、それぞれの動き。

謎の存在を確かめるクリスたち。
クリスたちとは別の動きを取っている、男の存在。
平和な中にある、それを脅かす存在。

それぞれが、少しずつ平行線から外れ始めて、交わり始めた。

クリスたちが動き出したこの瞬間、ハラマスのおける水面下での戦いが、幕を開いた………。

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あきゅろす。
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