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Wind of Adventure
1-7
「久しぶりのベッドー!もふもふだー!!」
久しぶりの宿屋に興奮してか、フェイはダイブして枕を掴んだ。その時クリスは壁にもたれかかるようにベッドの上で、ミカエルはそばにあった椅子に座り、フェイの様子を見ていた。

「………ガキ」
「まあまあ……久しぶりの宿屋なんだし、大目に見てやれば?」
いつもどおりフェイに対して鋭い目線を向けるミカエルを、今回はクリスがなんとかいさめていた。

「それにしても、こんなに平穏な街に異変はなさそうだし、このまま城下町に行っちゃっても大丈夫な気がするけどねー」

枕を固く抱きしめながら、フェイが言った。確かに、これといった点はないうえに住民も普通の生活を送っているようなので、このまま城下町に入っても何ら問題はないように感じられた。むしろ、城下町に何か大きな異変が起こっているような気がしてならないと、クリスは心の奥で思っているのである。

「このまま何も起こらないのなら、フェイの言うとおり明日にでも城下町に入るのも悪くはないな」

クリスはこう言った後、ミカエルの方を見た。フェイの言うことなど気にも留めていないようで、窓の外をしきりに見ていた。夜になったからかメインの通りからはひと気がなくなり、家々の明かりが見えるほどである。ハラマスの町自体が周辺を森に覆われていることもあってか、ますます暗く見える。

「じゃ、疲れたからボクはもう寝るね!お休みー!!」
そういうと、フェイは掛け布団を頭まで覆って眠りに就いた。
「……お前は寝ないのか」
フェイの寝る姿を見てか、カーテンを閉めてクリスのほうを見た。
「うーん……まだ早いかなと思ったんだけど、もうちょいしてから寝るよ」
「……そうか」

クリスはミカエルの言葉に妙な取っ掛かりを覚えた。短い言葉ではあるが、何かを伝えたいようなそんなニュアンスを含んでいるようである。

「そう言うミカエルは、いつになったら寝るんだよ?」
クリスがそのことからいったん離れて、会話の続きを聞き出した。すると、ミカエルはいつもの口調で答えた。

「……お前が寝た後だ。遅くまでは起きていられるからな」
「あ、じゃあさ、トイレ行ってきていいか?ここって部屋ごとに無いわけだし、階段近くまで行かないといけないからさ」
クリスがこう言うと、呆れたようにミカエルがため息をついた。

「………行ってこい。つうか、別に言わなくてもいいことだろ」
「癖でさ……一応行先は言っといた方がいいかなぁ……なんて思ったから」

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