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Wind of Adventure
1-6
三人が宿を探しながら、街を歩いていた時。
ちょうど、向こう側から男がやってきた。俯き加減で歩いていて足元しか見えていない様子だ。その様子を先に見つけたのが、クリスだった。

「あ、ミカエル。向こうから人来るよ」
「……分かっている」

宿の看板を見つけるためにやや上の方を見ていたミカエルが、クリスの言葉に目線を正面に戻した。ミカエルは人の気配には気づいていたようだが、相手はこちらに全く気づいていないようで、たまたま彼のルート上にいたフェイを無理やり横に引っ張り出して通り道を作った。不服そうな顔をしつつも、フェイも何とか従っている。

「危ないなぁ……」

男が、三人とすれ違う。相変わらず顔を下げたままであり、町にいるほかの住人とは明らかに様子が違っていた。

ちょうど、その時。ミカエルの足が止まった。男がミカエルのそばを通り過ぎて行ったと同時だった。いつもの仏頂面が、はっとしたような表情に変わる。しかし、クリスもフェイもミカエルに気づかずそのまま先に進んでいた。

「……何だ、この感じは………」

ミカエルは慌てて後ろを振り返ったが、男はこちらに気づくことなくどこかに行ってしまった。

「ミカエルー、どした?」
慌ててクリスがミカエルの傍まで戻ってきた。珍しくミカエルの額には冷や汗が滲んでいた。クリスに悟られたくなかったためか、いつも通りの仏頂面に戻す。

「……いや、何でもねぇ」
ミカエルがもう一度彼がいた方向を見る。先ほどまで肌に伝わっていた、異質な何かは感じられなかった。
微かな残響を町中に残しながら、その男の気配はこの場から無くなっていた。

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