Wind of Adventure 1-8 「お前と、同類だ」 言葉の重圧が、一気にのしかかる。だが、それを聞いて納得もしていた。 どこかクリスと似ているような雰囲気と、何かを抱えている姿勢。……並ではない実力と魔物の気配を察知できること。クリスと比べて冷静だが、立場は同じようなもんだった。 「なんだ……結局は似たもん同士ってやつか」 クリスは軽く笑うと、相手は顔を曇らせた。 「んな顔すんなよ。カタブツかと思わせて、情にあつい部分有るみたいだし。オレと強さを足したら結構いけるんじゃね?」 「……他人とつるむ気はねえぞ」 腕を組み顔を背けるが、クリスの方はやる気が有るみたいだった。顔をそむけた方に体を移動させて、なんとか目線を合わせてみる。 「……でも、何となく感じるんだろ。"選択肢は、ない"って」 少なからず、相手もクリスと同じことを考えたはず。それは理屈では説明のつかない、所謂直感というところだと。それを聞いてか、相手は鼻で笑った。 「……面白い奴がいるもんだな。どうやらオレとお前で目的は違えど、所詮“魔を砕く”力の持ち主だ。こうなることも、何かの縁なんだろうな」 「マジで?!じゃあ……」 相手は武器を収め、クリスに手を差し出す。……その顔は、どこか照れ臭そうであったが。 「……付き合ってやろうじゃないか。お前との“旅”ってやつに」 その言葉に、クリスは心底喜んだ。待ちわびていた、と言わんばかりに。 「オレはクリス。クリス・バスターだ」 「……ミカエル・ターナー。ミカエルでいい」 男同士の堅い握手が交わされた。ミカエルの手は、思ったよりも華奢で、なのにどこか力強い感触がした。 クリスは新たな仲間を得、再び風に流されるかの如く旅を続けた。 …BackNext… [戻る] |