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Wind of Adventure
1-2
「ともかく、二人ずつで行動する……っつうけど、組み合わせどうすんだよ?」
「………アルファンス、貴様は誰と行く気だ」

間髪いれずミカエルが尋ねると、彼は三人の顔を伺うように眼球を右往左往させる。

「うーん………」
戸惑う様子に、ミカエルは麻袋から銀貨をひとつ取り出した。それを、アルファンスに投げる。

「……コイントスだ。“表”ならクリス、“裏”ならオレと来い。」
両手で水をすくい上げるような形でコインを受け取る。人物が描かれた面と鳥と植物が描かれた面を交互に見つめながら暫く思い悩んでいる様子だったが、銀貨を親指に乗せ、勢いよく弾きだした。夕闇に銀色が少し煌めいて何度も宙で回転した後、アルファンスの右手の甲に着地した。そこをすかさず左手で押さえ、結果を伏せた。

「さて、どっちが出たのやら……」
アルファンスが恐る恐る手を退けると、鳥と植物の面が夕闇に照らされていた。それを見たミカエルは何も言葉を発することなくフェイの襟元を掴んで、茂みに入る。
「………先に行かせてもらう。」
「おう。じゃあ、二人とは反対側を探してみるよ」
「ハイハイー……って、これで決定なワケ?!」
「……貴様に選択の余地はねぇ」

一瞬クリスの声に同意はしたものの、現状況に納得のいかないフェイが声を張り上げた。そんな彼に対し、ミカエルは襟を掴んだまま、一瞥する。フェイも彼の睨みに怯まなくなってきたようであり、彼なりに眉を吊り上げてミカエルの方を見ようとする。

………ただし、完全に相手にされてないが。

「何で?!それに、明らかに……って痛いイタイ!!」
ズルズルと、ミカエルたちは茂みの奥の闇に溶けていった。
「………おとなしく…………、このクソ………」
「だから………そこ………はな………」
フェイの抵抗らしき声も、彼を黙らせようとするミカエルの怒号も次第に遠のいていく。

「……大丈夫なの?あの二人で」
「仲の悪さは仕方ないけど、ああ見えて要所では共闘するし。平気だと思う」

二人の声が聞こえなくなった頃、アルファンスが呆れながらクリスに聞いた。それに対し、少々諦めたようなため息をついた後にクリスは答えた。
「とにかく、アル。オレから離れないようにな。」
「了ー解。」
二人も別方向の茂みに足を踏み入れ、夕闇に姿を埋めていく。

―――そもそも、どのような経緯があって四人は動き出したのか?
それ以前に、あれから、何があったというのか?
それらの答えを握るカギは、今からほんの数十分前。王宮騎士団に連行された直後まで遡ることになる………。


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