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Wind of Adventure
Turn.1:夕闇の攻防1
夕闇が迫るころ、四人は茂みの方を深く見つめる。町の通りから大きく外れ、遺跡の一部分が侵出しているといわれている地区である。市街地からは大きく外れており灯りは殆どなく、すぐ横に迫る森林によって不気味さが漂っている。

「うーん……あっちの方が怪しいといわれてもなぁ……」
フェイが目を凝らしてみるが、ただ新緑の葉が多い茂る森が広がるばかりである。その新緑も今の時間帯ではただの陰影にしか見えず、可視出来る範囲は狭まっている。

「でも変な気配はするな、分散してるけど。」
「……獣なりに、考えているらしいな。どう攻めていくかが問題だが」
クリスが遠くを見ながら呟くと、ミカエルは隣で腕を組み何かを考えているようである。
「……オレには、次元が違いすぎてついていけない……」
アルファンスは、頭上に疑問符が幾つも浮かんでいるようであり、首を傾げている。

「じゃあ、ハラマスに帰れ。戦力外になる奴は必要ない」
冷めた口調でサラリとミカエルが言った。
「うっわ……冷たい言い方。せめて言うなら表現和らげようよ〜……」
「……フェイ君までも、オレは戦力外と言いたいんだね。まあ、否定しないけど」
「そっ、そんな意味で言ったんじゃないよ!この人の言い方じゃマズイってことをね……」

半ば覚悟していたのか、アルファンスは呆れたように言った。それに対しフェイも何とか取り繕うと必死に弁解する様が、この場を和ませているようにも見える。
「アル、オレは一緒に来た方がいいと思ってるから。」
クリスが肩を叩いて言う。
「確かに……今から帰ろうにも知り合いの人は多分帰っちゃっただろうし……泊まろうにも空いている宿は無いかもな」
深いため息をアルファンスが付くと、今度はフェイが肩を叩いた。アルファンスがそちらの方を振り向くと彼はいつになく真っ直ぐな目で見つめている。
「それに、『とんでもない話聞いちゃったから放っておけない』って感じだし、帰る気無いって顔してるよ?」
フェイがそう言うと、後ろにいたミカエルが鼻で笑った。
「……たまには場を読める発言もするんだな、お前は」
「“たまには”が余計なお世話だよ!ボクだって、空気は読めるんだから!!」
「…………………自覚なし、か」

ミカエルは感心したような言い草をするも結局は小声で呟いた後、見慣れた呆れ顔に戻っていた。あのような言葉もフェイには嫌味にしか聞こえないらしい。


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あきゅろす。
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