Wind of Adventure プロローグ 世界は常に変わり続けている。……なんてこと、どこかの誰かが言っていたような気がするけれど、そんなの嘘に違いない。何にも、変わっちゃいないんだ。 アスゲルド王国、と呼ばれる一つの大陸を治めている国がある。広いゆえに、地域ごとに気候や環境は大きく変わる。地形も、山だったり海だったり、砂漠だったり、古き遺蹟が残るところまで様々だ。 伝承やら伝説やら、歴史を掘り返せば幾らでも挙がるくらい、不思議な大陸に起った国だった。 英雄伝なんて、幼い頃から知ってる。 恐怖をもたらす邪悪を打ち破り、世界に平和をもたらした勇者が幾人も居たなんて、昔から耳にタコが出来るぐらい誰だって知ってる話。 平和なんて、いつ崩れるかなんて知らない顔してる奴がほとんどだ。でも、実は当の昔から平和なんて、崩壊し始めていたんだ。 いつの時代からか、国には厄介なものがうろついている。 人とは違う、動物にも入らない、異形のモノ達。 時に危害を加え、ひどい時には集落一つさえも消してしまう奴がいる。平和とかいいながら、徐々にそれは奴らに脅かされている。常に国民に対しての恐怖の対象だった。 魔をもたらす異形のモノ。 遥か昔から、魔物と呼ばれている。 保たれていた均衡は少しずつ、傾いていく。恐怖の対象と隣り合わせな生活をしていたにもかかわらず、被害がそれほど目に見えてなかった。それがいつの間にか、大きく傾いた時が来てしまったのだ。 Next… [戻る] |