3...
(なんか…匂いだけでも変な幻が見える気がするよ……)
「……………はぁ」
思わずため息をついてしまう。
「あ……べ、別にそんなに嫌なら食わなくても―――」
「良いよ」
途端に泣きそうな表情を作った彼に思わずそう言ってしまった。
取り消すことも出来なくて、黒焦げのスコーンを一つ取り上げ口に含む。
「あッ………」
「ん、…………」
数回、黙ったまま咀嚼する。
彼は恐る恐るといった様子でこちらを見つめていた。
「ど、どうだ……?」
耐え切れなくなったのか、見上げるように顔を見つめて問うてくる。
俺は満面の笑みを浮かべてこう言ってやった。
「………相変わらずクソまずいんだぞッ☆」
彼の期待に充ちた表情が一瞬固まった後、徐々に怒りの赤に染まっていく。
あぁ、こりゃくるな。
ま、分かってやってるんだけど、さ。
「……お、お前なんか…お前なんか嫌いだーーー!!」
彼を見てると……ついつい虐めたくなるんだよね。
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