『グリーングリーン』
5...
彼女の声は透き通るように美しく、どこまでも高く、遠くに響いていった。
まるで歌にあわせるかのように風が木の葉を、そして彼女の髪をさらっていく。
僕はただその声と姿に聞き惚れて音程や歌詞なんて気にしちゃいなかった。
歌が終わった後、何か期待するようじっと見つめてくる彼女に気づき慌てて拍手をした。
遅い!とやっぱり叩かれた。
それでも僕は幸せだった。
この時間が永遠に続けばとただそれだけを願っていた。
そして今、“二度とかえって来ない遠い旅路”に出かけ、
決して再び会うことは無い彼女のことを思う。
あの時と同じ場所、同じ丘の上に立って。
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