Pandora Hearts
A contractor of raven 7
「オレはもう…二度と失うわけにはいかないんだ――…」
小さくぽつりと呟いて彼は再び歩き出す。
その言葉はまるで以前にも大切な誰かを守れなかった後悔が含まれているようで―――。
「……わ、私の名前はルネア! ルネア=リリネット!」
彼の想いが果たせるのかどうか――?
見届けようと思った。
それは果たせなかった私の想いでもあるから。
「オズ=ベザリウスの救出、私にも手伝わせて!」
だから私はそう言った。
彼が振り返って驚いたような表情を見せる。
「………好きにしろ」
しばらくこちらを見ていたが、不意にに正面に向き直り、歩き去っていった。
私も今度は引き止めなかった。
「いやぁ、君も手伝ってくれるとは。助かりますヨ」
先程から黙ってこちらを見ていたブレイクが声をかけてくる。
「何と言っても君の力のタイプは貴重ですからネェ」
その顔にはいつも通りの内心の読めない笑顔が貼付けられていて、先程のシリアスな雰囲気のカケラも残っていない。
「それにしても君達は本当に……」
「……何ですか?」
いやいや、なんでもないヨー、と口元を隠し笑う。
だがふと笑顔を消し言う。
「先程の言葉ですが…あれは何もギルバート君だけに言った言葉ではないデスヨ」
……先程の?
「聞いていたデショ? 後ろで」
どうやらばれていたようだ。
「君の過去をとやかく言うつもりはありませんガ、君も彼と同じタイプの人間だ」
私と彼が……同じ?
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