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目を開けば、そこは先程まで居た場所とは違って、目の前に大海原が広がっていた。

自分がいるのは砂丘なのだが、360°見渡しても砂と海以外に何も見えない。

…が、その時、遠くの海の上に人影を発見し、目が合うと話し掛けられた。

「おや、人間がこんな所まで来るとは…何千年振りの事であろうか…」

周りが静かだからか、遠いのに、声がよく聞こえる。

「あなたは、誰ですか…?」

「分からないのかね?
汝の家でも数年前までは崇められていた者なのだが?
神、とも呼ばれるが、実際には水のみを司る水神だ」

あぁ、二条院神社では水の神を奉っていると聞いた事があるような。

「さぁ、もうお行きなさい。
わざわざ此処に来なくても、汝の願った技は汝に授けよう。
自由に使いなさい」

それはどういう意味、と聞くが、答えは返ってこなかった…。





次に目を開けば、まだお兄ちゃんの術中にいた。

「…『蒼い水神』!」

この水神は、巨大な波を発生させ、その中に氷などを含ませる攻撃。
波自身は幻だが、波に含ませた物で攻撃が出来る。

それを想像していたので、さっきの海原に行った時は驚いたのだ。


蒼い水神によって攻撃された隼人お兄ちゃんは、怪我を負ったものの、まだ倒れない。
しかしその時、お兄ちゃんが私以外の何かに顔を強張らせた。

「隼人お兄ちゃん…?」

「…くる…ティキがキレた…!」

「…ぇ?」

隼人お兄ちゃんが私の腰を抱いて宙に浮く。
気を失っている間に、リナリーとチャオジー、ラビがロードに閉じ込められてしまったらしい。
後で助けてあげないと…。

辺りは、不穏な雰囲気に包まれていた。
風が巻き起こり、その中心に黒い球体が現れている。
ティキは、その球体の前にいた。

「ロード、何がどうなってるんだ!?」

「あ、隼人。
アレンが怒らせちゃったみたいなの〜」

「ははっ、ガキの喧嘩じゃあるまいし」

お兄ちゃんが明るくそう言ったが、急に重低音の声が響いてきた。
ティキの耳にお兄ちゃんの声が届いてしまったようだ。

「黙れ…お前も人間の端くれだろう?
妹一人殺せない人間のくせに…。
来い、ティーズ」

ティキがお兄ちゃんに手を向け、何かを呼び寄せたようだ。

「ぅ…ぐっ!?」

「お兄ちゃん!?」

お兄ちゃんが胸を押さえて苦しみだして、バランスを崩した私達はそのまま落下した。
私が『蒼い水晶』を盾に使わなかったら、危うく大怪我するところだった。



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