6
「おい、そろそろ起きろよ!」
「まぁまぁ、神田」
「休める時に休ませてあげよう」
目が開く前に、意識がハッキリしてきた。
「…おはようございます…」
「!!起きたか!
大丈夫か!?」
「あれ?
私、何でここに…」
「覚えてないのかな?
また穴が現れて、そこから吐き出されたんだよ」
まだ少し頭がボーッとする。
「なぁ、それ…どうした?」
「え?
…あぁ。
香奈に刺されたの…」
三つ巴はまだ赤く、脈でも打っているかのように感じられた。
「別に大丈夫。
痛くもかゆくもないから」
「そうか。
…一つ言っておくけどな、俺がお前に惚れたのは教団で再会してからだ!」
見ると、真っ赤になっていくユウの顔。
「うん、励ましてくれてありがとう」
すぐに本部に連絡を取り、全てを話した。
理解してくれるのは難しいだろうが、私は“香奈”じゃなくて“奈穂”だから。
それから、デイシャ達の遺体を引き取りに来た探索班が持ってきた、新しい団服に着替える。
今私が着ているのは、3年前に教団を逃げた時から着ているので、とても古くなってきていた。
香奈に肩の辺りの服を破かれちゃったし。
それから、数日が経った。
「ところで、私達はどこに向かっているんですか?」
今は船に乗っている。
「次は、日本で適合者を探そうと思ってるんだ」
自然と、香奈が思い出され、右肩の三つ巴に触れる。
すると何故か、口が勝手に言葉を発した。
「…蒼龍、出て来て」
突如として三つ巴が蒼く光り、海の上には大きな影が。
暫く呆然と口を開いていたが、現れた蒼い龍に手を差し延べると、近付いてきた。
周りの人に聞いてみたが、見えているのはどうやら私だけらしい。
体が透き通っているのは、水か水晶で出来ているからなのだろうか…。
私以外の3人には不安だと思うが、せっかく呼び出したんだから、そこからはその龍を移動手段にした。
風を切って飛ぶこの龍は、香奈の力の一部らしい。
これが一部となると、香奈はどんなに重いものを背負って来たのだろう…。
やがて現れた改造アクマの案内で、日本は日本でも伯爵がいる江戸へと向かったのだった…。
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