4
「あ、起きたの?」
「…はぃ」
「兄さんが、もう夕食の時間だから、そろそろ起こしておいでって」
「…お兄さんって?」
「ここの室長なの!」
私より一歳か二歳くらい年下のその少女は、顔をパァッと輝かせて言った。
「ねぇ、食べに行こう?」
「う、うん…」
「私はリナリーってゆうの!
貴方は?
何て呼べば良い?」
私の名前…、何だったんだっけ…。
「……ぁ…ぇっと………。
…香奈…。
………香奈……?」
頭の中にふっと浮かんできた名前。
別人の名前かもしれないけど。
「そう、香奈って名前だった…かも」
「香奈?
良い名前ね!
じゃあ、食堂に行きましょうよ!!」
手を差し延べてきたリナリーと一緒に、部屋を出ようとした。
―――が、
.
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!