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「…まずは君の中に香奈の記憶を移し、時期や状況によって思い出せるようにしたよ。
例えば日本での記憶は、日本での知人に会う事で思い…」
「そんな事して…意味あるの!?」
「んー…無い」
「じゃあ、何でそんな事…」
「徐々に思い出せば、ショックは減るかな…と思って。
僕の予定では、"あの日"を最後に思い出すはずだったけど…。
そこは、僕の計算違いだったな」
「隼人兄、結局"奈穂"の記憶は…」
「ユウ、さっき思い出した…」
「そ。
本当の記憶は、僕と過去について話す事で思い出す」
「そんな複雑な事…」
「おや、ユウ君は見ない間に馬鹿になったのかな?
いたって簡単な話さ」
「隼人兄は、それによってこいつがどんなに苦しんだのかを知らない!!」
「…それに、怒りっぽくなったな。
…奈穂、君を苦しめようと思った訳じゃ無い…」
「…ねぇ、私は結局、人を殺しては…」
「いない」
私は気の抜けたように、その場にヘタッと座り込む。
「家族は僕が、町人は香奈が殺したから…って、うわっ!」
構えた蒼剣は、発動状態。
「…僕を殺す気?」
「私がこれまでどんなに苦しんできたか…!!
…嫌いよ、隼人お兄ちゃんなんて大っ嫌いっ!!」
斬りかかった蒼剣はやすやすと止められる。
「ごめん…君の為を思っての事だったんだ…」
「それじゃあ、お父様と同じじゃない!!
相手の為になってないよ!
私はあの時…きっと、全てを受け止められた…!
いつまでも子供扱いしないで…」
身動きが取れない蒼剣を握りしめたまま、涙を流す。
「おい…じゃあ、何で今はノアと一緒にいるんだ?」
「それはねぇ〜?」
隼人の隣にヒョコッと顔を出したのは、紛れも無くロード。
「伯爵が隼人を仲間に入れたのぉ〜。
人間だけどぉ、不思議な力があるからって、特別に〜」
「居場所の無かった僕は、他に行く所が無かったんだ…」
「…私を置いて…?」
キッとお兄ちゃんを睨みあげる。
「一人だった私は、元帥に言われるがままに、教団に行くしか無かった。
何で…一緒に居たかったのに…記憶を消さなくても良かったのに…!!」
「奈穂〜そんなに隼人を虐めないでぇ?
ほら、香奈も悲しんでるよぉ〜」
そして、ロードが手で示した方に立っていたのは…。
「え…?
……香奈…?」
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