[携帯モード] [URL送信]




毎年恒例の誕生パーティーの中、香奈が急に何かに目覚めた。
僕らは最初それには何も気付かず、香奈はただトイレに行ったのだと思っていたその時。
外から悲鳴が聞こえてきて、父が慌てて走りだした。

母が後から遅れて出てきて、2つの事を伝えた。
奈穂が牢屋から消えている事と、家宝の蒼剣が無くなっていた事。

3人で見た光景は、無惨…としか言いようが無かった。

血まみれになってそこらに転がる村人達…
飛び散った真っ赤な血…
半壊した建物の瓦礫の山…

それらの中心に立っていたのが…香奈。
虚ろな目に僕たちを写して立っている。

そうか…本当は香奈が檻に入っているべき存在で…奈穂は間違って幽閉されていたのか…。
僕の奈穂を憐れむ思いはより一層増した。



「お前が、アレを倒せ!」

これは、父が僕に言い放った言葉。
アレ、とは香奈の事。
もちろん、僕はその気だった。

父の口から次の言葉が紡ぎ出される前に、僕は武器を構え…両親を殺した。
いつも持ち歩いていた短刀で、思いきり。

そして、その短刀を香奈に向けて投げて刺す。
家系の中でも稀に見る霊力の持ち主である僕が所持していた、霊能者2人の血が付いた短刀を。

どんな仕組みかは分からないが、そうする事によって巨大な力の暴走は止められた。
そして、香奈は、その場に崩れたのだった。



.

[*前へ][次へ#]

3/5ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!