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「昔話をしよう」と言って、隼人お兄ちゃんが話し始めた。
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僕らは、二条院家の子供だった。
長男である僕は幼い頃から後継ぎとして扱われ、育てられる事に苦痛を感じていた。
後を継いで、この神社を潰すことが僕の唯一の夢だった。
そんな中の10歳の冬。
双子の妹が出来た。
二条院家では災厄とされる双子の子供が。
僕は内心とても嬉しかった。
―――苦しむがいい。
心の中でずっと呪っていた両親が苦しんでいるのは、快感だった。
二条院家の言い伝えでは、片割れが片割れを吸収して得る巨大な力で以て、全てを破滅に追いやる、とか。
―――素敵ではないか。
そこで、生まれた双子は、厳正に調べられ、どちらかを殺す事になっている。
前例では、両方を殺した事もあったらしい。
―――両親が自責の念に駆られたら…最高。
そして、新しく生を受けた子供の中でも姉の方が、生まれた時から霊感を発揮していた。
それが、奈穂だった。
生まれた時から霊感を発揮するのは異例なので、すぐさま奈穂は疑われ。
―――殺してしまえ!!そして苦しめ!!
親戚中でも話題に上がり、処分しなければならない所まで追い詰められた。
しかし両親は娘を殺せず…結局、倉の奥にある牢屋の中に隠した。
結界を張って外界と遮断し、親戚には殺されたと伝えた。
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