5 「元帥〜。 まず、今はどこへ向かっているんですか?」 「さぁ、何処にしようね?」 「って、行き先決めてないのかよ!」 「神田は怒りっぽい性格してると、損するぞ」 あれから馬車に乗り込んで、かれこれ数時間は経っている。 「ゆったりできて良いんですけどね〜…」 「1番近くて宿がある町に行って、とは言ってあるよ」 「野宿はしなくて良いんですか!? 良かった〜」 「そこ以外も気にしろよ、周りの風景とか!」 「うん、ちょっと寂れてるけど…宿があるなら…」 「怪し過ぎるだろ!! おい、本当にこの先で合ってるんだろうな!?」 ユウが話しかけたが、運転手の返事が無い。 「あの、疲れたなら休んでも良いんですよ?」 「待て。 そいつ、何だかおかしいぞ」 クククッ…という声と共に、目の前の人がアクマになった。 「あれ〜人選ミスだったかな?」 「…師匠は人を信じる前に、(いっその事)疑ってください」 「こいつ、俺らをここにおびき寄せる気だったんだな!」 土の中から出て来たアクマ達が、私達を囲んでいた。 すぐさま発動するが、レベル2は大して強くもない。 「…呆気ないな」 確かに、ユウの言う通り、あまりにも事がはかどりすぎる。 これから後に、何かが待ち構えていそうで怖い…。 「香奈!!」 「え…?」 足元が光ったと思えば、急に何かの力で引きずり込まれてしまう! 「た、すけ…」 少しでも引きずり込まれるのが遅れるように、手をいっぱいに伸ばす。 最後に温かな感触が手に伝わり、この世界から離れてしまった―――。 . [*前へ][次へ#] |