3
私の対アクマ武器である蒼剣は、短剣の姿でジャケットのポケットに入れられていて、鞘から抜く。
ユウの六幻が日本刀ならば、私の蒼剣は西洋の剣。
握ると、鉄製の柄なのでヒヤリと冷たい。
――蒼剣、発動!――
刀身がスッと伸び、香奈が握り直す。
「さぁて、準備は良い?
ユウ」
「お前こそ。
女のくせして、オレに勝てると思うのか?」
「は!?」
ちょっとカチンときたので、何の前触れも無く斬りかかってみる。
あえなく防がれ、弾かれる。
まあまあの剣筋はあると見た。
…でも。
「イノセンス第1解放…」
蒼剣の刀身全体が青く光る。
「ユウみたいに中途半端な青じゃないから。
全てを真っ青に染めてみせる!」
僅かな微笑をたたえながらの堂々な宣戦布告。
二人の武器がぶつかり合い、弾き、斬りつける。
ユウが横一文字に斬りつけながら叫ぶ。
「災厄招来
界蟲『一幻』!」
先程の元帥との戦闘でも見たその攻撃はもう見切っている。
飛んできた怪物のようなものを、切り裂いて消し去る。
動かした軌跡には、水滴がほとばしった。
「…第1解放『蒼い水流』」
蒼剣を上下左右に動かし、十字架を描く。
その軌跡からユウに向け、膨大な量の水が溢れ出した。
「ぅわ…」
ユウはギリギリで逃げたが、それでもびしょ濡れになっている。
「…チッ」
思わず舌打ちしてしまった。
もう少しユウが逃げ遅れていたら、後ろにある木にぶつかっていたのに!
「なんかズルくないか?」
「ちっちっち。
甘いなぁ、神田クン。
君でもこういう特殊な攻撃は出来るはずよー?」
「(?…えっと…何だっけな…)
に…二幻式…!」
「ふぃ!?
(初心者が出来るの!?)」
ユウが右手で握る六幻から、左手の方へと光が伸びているではないか!?
「…六幻、二幻式」
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